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第2話

Author: 果てぬ願
ぐつぐつと煮えたぎるこの薬膳粥は、私が陸仁のために千回以上も煎じてきたものだ。

それを今、彼はそっくりそのまま煎じて、私への謝罪として差し出してきた。

まるで別の誰かを世話する習慣を、そのまま私に適当に当てはめたかのようだ。

この家で一体誰の胃を労わる必要があるのか、彼はそれすら分かっていない。

土鍋を手に取ったものの、私の手はゴミ箱の上でピタリと止まった。

身体に染みついた習性が、無意識にスプーンを取り、表面に浮いた薬かすをすくい取ろうとさせた。

7年もの間、彼のために何千杯もこのお粥をよそってきた。その動作はとうの昔に骨の髄まで刻み込まれている。

私はふと動きを止め、宙に浮いた自分の手を見て、ひどく滑稽に感じた。

そして、お粥をゴミ箱へとぶちまけた。

身支度を整えた後、私はタクシーを拾い、彼の写真スタジオへ向かった。

休憩室のドアを開けると、陸仁がソファに寝そべるようにして胃を押さえていた。

帆夏が彼のそばに座り、湯気を立てる熱いおしぼりを丁寧に彼のシャツの上から当てていた。

「陸仁さん、熱くない?」

「ちょうどいいよ」

帆夏は顔を向けて私に気づくと、ビクッと手首を震わせ、熱いおしぼりを陸仁の脚に落としてしまった。

彼は勢いよく頭を上げた。

私を見た瞬間、彼の瞳の奥に微かな動揺が走ったが、それはすぐに期待へと変わった。

なぜなら彼は、私のバッグのサイドポケットから覗く、特効薬の胃薬の箱を目ざとく見つけたからだ。

7年。

その薬の箱を、私は彼のために7年間ずっと持ち歩いていた。

彼が胃痛を起こせば、私がどんなに怒っていても、どんなに激しく口論していても、最終的には私が折れて、薬を取り出して彼の口元に運ぶのだ。

今回も例外ではないと、彼は確信していた。

私はソファの前まで歩み寄った。

陸仁は無意識に背筋を伸ばし、わずかに口を開けた。

過去7年間のあらゆる時と同じように、私が薬を取り出し、彼の唇に運んでくれるのを待っていた。

私の手はバッグの中へ伸び、その薬の箱を握った。

指先は、過去の数え切れないほどの深夜に、アルミシートから薬を押し出したあの感触すらありありと思い出せた。

しかし私の視線は、彼のそばにある、帆夏の口紅がついたぬるま湯のグラスに落ちた。

私は薬の箱を取り出した。

陸仁の目がパッと輝いた。

次の瞬間、私は彼の目の前で、手首の力を抜いた。

「カチャリ」という軽い音が響いた。薬の箱は彼の足元にあるくずかごに落ち、紙屑の中に紛れ込んだ。

彼の目に宿っていた光は、その一瞬で綺麗に消え失せた。

「愛梨さん、誤解しないで……」

帆夏が慌てて立ち上がった。

私は彼女を無視し、青ざめた陸仁の顔も見なかった。

「なんだか急に、バカバカしくなっちゃった」

手についた目に見えない埃をポンポンと払う動作をしながら、私は静かな声で言った。

「この薬は、彼の胃は治せても、心の中の病気までは治せないから」

私は背を向け、外へ向かって歩き出した。

大きなガラス窓から陽光が差し込み、私の影を長く伸ばしていた。

私はふと、最後に彼が「愛している」と言ってくれたのがいつのことだったか、思い出せなかった。

たぶん、一度もなかったのだろう。

……

家のドアを開けると、リビングの中央に巨大な段ボール箱が置かれていた。

これは2ヶ月前、私が海外の高級アトリエでオーダーメイドしたシルクのウェディングドレスで、今日国際便で届いたばかりだった。

私はカッターナイフでガムテープを切り裂いた。

純白のサテン生地が光沢を放ち、襟元にはクリスタルが散りばめられている。

私はそのドレスに触れなかった。

スマホを取り出し、デザイナーへ国際電話をかけた。

「もしもし、水橋愛梨ですが。あのウェディングドレス、もう必要なくなったので、返品の手続きをお願いします」

電話口のデザイナーは数秒間言葉を失った。

「水橋さん、こちらのドレスはあなたのサイズに完全に合わせて仕立てております。今から返品となると、手付金の200万円は一円もご返金できなくなってしまいますが……」

「構いません。結婚しないことになったので、そちらで処分してください」

通話を切り、私は段ボール箱の蓋を再び閉じると、足で部屋の隅へと蹴りやった。

スマホの画面が光り、陸仁からのメッセージがポップアップした。

【後で車で迎えに行くから、デパートに結婚指輪のサイズ合わせに行こう。終わったら、お前がずっと行きたがっていたあの料理店で食事にしよう。もう駄々をこねないで、いい子にしてくれ】

「いい子にしてくれ」という文字を見つめていると、胸の底から不快な吐き気が込み上げてきた。

彼はいつだってそうだ。散々酷い仕打ちをしておいて、後から機嫌を取るように優しくなだめてくる。

自分が軽く手招きでもすれば、私がありがたがって泣いてすり寄ってくると高を括っている。

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