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終わらない夢に、君を探して

終わらない夢に、君を探して

Por:  岬 鯉(みさき こい)Completado
Idioma: Japanese
goodnovel4goodnovel
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36 calificaciones. 36 reseñas
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「神谷さん、検査の結果ですが……ステージ4のすい臓がんです。治療を中止すれば、余命はおそらく一ヶ月もありません。本当に、治療を受けないおつもりですか? ご主人の了承は……?」 「はい、大丈夫です。彼も……きっと、納得してくれます」 電話を切ったあと、私はしんと静まり返った部屋をぐるりと見渡した。 胸の奥が、ひりつくように痛んだ。 ただの胃痛だと思っていた。昔からの持病の悪化だと――まさか、がんだったなんて。 小さくため息をついて、リビングのテーブルに置かれた写真立てに目をやる。 写真の中で、十八歳の神谷蓮がこちらをまっすぐに見つめていた。 あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。 雪の降る帰り道、髪に舞い降りた白い結晶を見つけた彼が、冗談めかして言ったのだ。 「これって、いわゆる『共に白髪の生えるまで』ってやつかな?」

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Capítulo 1

第1話

ณ.ทะเลหนันไห่ (南海 = ทะเลใต้) อันกว้างใหญ่ มีพระราชวังสีเขียวมรกตงดงามตั้งอยู่ วังนี้เป็นที่ประทับของพญามังกร หรือเจ้าสมุทรหนันไห่ ทะเลแดนใต้นี้...ทั้งใหญ่และลึก จึงมีสัตว์น้ำและพืชน้ำหายากอยู่มากมาย

ท่านเจ้าสมุทรมีชายาที่งดงามมาก นางเป็นนางฟ้า...ที่เง็กเซียนประทานให้ มีนามว่า ซู่เจียว (淑娇) ทั้งคู่มีโอรส 2 องค์และธิดา 1 องค์

ธิดาองค์เล็กเป็นมังกรสาวมีเกล็ดสีรุ้งที่งดงาม แต่ซุกซนมาก วันนี้้นางก็ชวนบริวารกุ้งสาวกับปลาอีก 2 ตัว ว่ายน้ำไปเก็บปะการังที่เขตแดนของ ทะเลซีไห่ (西海 = ทะเลตะวันตก)

"พวกเจ้าว่ายน้ำให้เร็วกว่านี้ได้หรือไม่ หากชักช้า...เจ้าปูเกเรจะออกมาขวางเสียก่อน"

มังกรสาวกล่าวกับบริวาร

"องค์หญิง...พวกเราเร่งเต็มที่แล้วนะเพคะ เร็วกว่านี้คงไม่ได้แล้ว"

กุ้งสาวที่เป็นบริวารบอกกับนาง

"พวกเจ้าชักช้านัก ข้าล่วงหน้าไปก่อนล่ะ พวกเจ้าเร่งตามมาก็แล้วกัน"

มังกรสาวกล่าวแล้วก็เลื้อยไปอย่างรวดเร็ว แต่มีมังกรเกล็ดสีแดงมาขวางหน้านาง เขาคือโอรสองค์รองของเจ้าสมุทรหนันไห่ มีนามว่าองค์ชาย เพ่ยหลง (沛龍)

"น้องสาม...เจ้าจะไปที่ใด"

"พี่รอง...ข้าจะไปเอาปะการัง 7 สีมาถวายเสด็จแม่"

"เจ้าช่างซุกซนจริง รู้หรือไม่...ที่แห่งนั้นอันตรายนัก ฤทธิ์เจ้ายังน้อย เจ้าไปเอาไม่ได้หรอก"

"ทำไมจะไม่ได้ ข้าจะเอาเสียอย่าง ผู้ใดจะกล้ามาขวาง"

มังกรสาวพูดอย่างถือดี พี่ชายส่ายหัว...ระอาในความดื้อดึงของนาง

"ฉีลู่ (祺璐) เจ้าทะนงตนเกินไปแล้ว อย่าคิดว่าเจ้ามีหยกวิเศษ แล้วจะทำการสิ่งใดตามอำเภอใจได้นะ"

องค์ชายเพ่ยหลงปรามนาง นั่นเพราะมังกรสาวฉีลู่เกิดมาพร้อมหยกวิเศษที่กลมดุจไข่มุก มีสีรุ้งแพรวพราวและมีอานุภาพมาก

"พี่รอง...หากพี่ไม่คิดมาช่วยข้า ก็อย่าคิดมาขัดขวาง"

มังกรสาวสีรุ้งสะบัดหน้า เลื้อยไปโดยไม่สนใจพี่ชาย องค์ชายเพ่ยหลงคิดจะให้น้องสาวได้รับบทเรียน จึงไม่ขวางนางอีก แต่กลับไปบอกองค์ชายเวยหลง (威龍)...พี่ชายคนโต

องค์ชายเวยหลงมีเกล็ดสีเงินยวง เป็นมังกรที่สุขุมรอบคอบ เขาเป็นที่รักและเกรงใจของน้อง ๆ ตอนนี้... เขากำลังนั่งฝึกเวทย์ใหม่ ๆ อยู่เพียงลำพังในห้องพัก

"พี่ใหญ่...พี่ใหญ่"

องค์ชายเพ่ยหลงส่งเสียงเรียกมาแต่ไกล องค์ชายใหญ่เงยหน้ามอง

"น้องรอง...เจ้ามีเรื่องรีบด่วนอันใดหรือ จึงเรียกพี่เสียงดังเช่นนี้"

องค์ชายเพ่ยหลงแปลงร่างเป็นมนุษย์หนุ่มรูปงาม...เดินมาหาพี่ชาย

"ฉีลู่ซุกซนนัก นางกำลังจะไปเอาปะการัง 7 สี ข้าห้ามนางก็ไม่ฟัง"

องค์ชายใหญ่ถอนใจลุกขึ้นยืน เขาร่างกายกำยำสูงใหญ่กว่าน้องชาย

"ฉีลู่ทะนงตนว่ามีหยกวิเศษ จึงได้กล้าไปยังดินแดนอันตรายเช่นนั้น"

"เราจะทำอย่างไรดีพี่ใหญ่ หากเสด็จพ่อทรงรู้เข้า...ได้เกิดเรื่องแน่"

องค์ชายใหญ่นิ่งคิด

"ข้าว่า...พวกเราตามไปเถิด"

องค์ชายเพ่ยหลงพยักหน้า สององค์ชายคืนร่างเป็นมังกร เลื้อยออกจากวังมรกต...เพื่อไปยับยั้งน้องสาว

มังกรสาวฉีลู่มาถึงดินแดนที่อยู่ของปูยักษ์ เห็นปะการัง 7 สีส่องแสงแวววาวราวอัญมณี ฉีลู่จ้องปะการังกิ่งหนึ่ง นางแปลงร่างเป็นสาวน้อยโฉมสราญ กำลังจะเอื้อมมือไปดึง แต่กลับมีปูทะเลตัวมหึมามาขวางทาง

"เจ้าคิดทำสิ่งใด"

"ข้าปรารถนาปะการังไปถวายชายาเจ้าสมุทรหนันไห่ เจ้าให้ข้าสักกิ่งได้หรือไม่"

"ไม่ได้...ปะการังเหล่านี้เป็นของสูงค่า จะให้เจ้าเปล่า ๆ ได้อย่างไร"

"เช่นนั้น...จงบอกราคามา"

เจ้าปูยักษ์ใช้ตาที่ยืดยาวสอดส่ายมองมังกรสาว

"เจ้าควรมีสิ่งที่คู่ควรกับปะการังมาแลกกับข้าสิ"

"สิ่งใดที่เจ้าคิดว่าคู่ควรเล่า"

"มุกราตรีหนันไห่..."

"อะไรนะ...เจ้านี่ช่างกล้าขอนะ ปะการังของเจ้ามีค่าปานนั้นเชียวหรือ"

"ปะการัง 7 สีนี้ไม่เพียงมีต้นเดียวในหล้า มันยังสามารถใช้ชุบชีวิตได้ ต่อให้เคยตายไปเป็นร้อยปี...ก็สามารถฟื้นคืนชีพได้ด้วยการกินปะการัง 7 สีนี้"

"วิเศษปานนั้นเชียว"

ฉีลู่ทำหน้าไม่เชื่อถือ

"แน่นอน...เช่นนี้แล้ว คู่ควรกับมุกราตรีหนันไห่หรือไม่"

"ยังไม่คู่ควร ข้ารู้นะ...ไยเจ้าจึงปรารถนามุกราตรีหนันไห่ นั่นเพราะมันสามารถช่วยให้ปีศาจเช่นเจ้าแปลงร่างเป็นมนุษย์ได้ และหากเจ้ากลืนมุกเข้าไป ชีวิตเจ้าจะยืนยาวเป็นอมตะ ค่าของมุกจึงมีมากกว่าปะการังของเจ้ามากนัก ข้าไม่โง่เอามาแลกหรอกนะ"

ฉีลู่กอดอก จ้องเจ้าปูยักษ์อย่างดูหมิ่น เจ้าปูยักษ์โกรธ

"หากไม่ยอมแลก ก็อย่าได้หวังเอาปะการังของข้าไปได้"

"ข้าจะเอาเสียอย่าง...เจ้าขวางข้าไม่ได้หรอก"

มังกรสาวฉีลู่ปราดเข้าไปจะหักกิ่งปะการัง แต่เจ้าปูยักษ์พ่นฟองน้ำใส่นาง กุ้งสาวและบริวารที่มาด้วย รีบเข้ามาช่วยนายสาว ก็ถูกก้ามปูกวาดจนกระเจิง ฉีลู่ร่ายเวทย์เรียกกระบองออกมา เจ้าปูยักษ์เห็นกระบองก็หัวเราะ

"เจ้าจะใช้มันตีข้าหรือ"

"ใช่..."

"เจ้าคงไม่รู้ว่ากระดองข้าแข็งแกร่งนัก ไม่มีอาวุธใดทุบกระดองข้าแตกได้"

"เช่นนั้น...ข้าขอลองดูหน่อย"

ฉีลู่กระโดดขึ้นเหนือตัวปูยักษ์ นางฟาดกระบองลงมาที่กระดองปู เจ้าปูยักษ์ร้องลั่น รู้สึกได้ถึงความเจ็บปวดปานกระดองจะแตกเป็นเสี่ยง

"เป็นไปไม่ได้...เป็นไปไม่ได้"

มันร้องลั่น ที่กระดองปูมีรอยร้าว หากฟาดอีกที...เจ้าปูยักษ์ต้องตายแน่ ฉีลู่เงื้อกระบองขึ้นเตรียมจะฟาดลงมาอีกที...เพื่อปลิดชีพเจ้าปูยักษ์

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まかろん
まかろん
何度もメールが届いて紹介されるたびに読んでしまいます。とてもせつなくて泣けます。そこまで後悔するわりに、前半はひどすぎた。愛人にもっと制裁がくだればいいなと思いました。読み終わったあと、しんみりハピエンを願うばかりです
2026-06-21 20:41:51
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janet an
janet an
妻に対してのダメ夫の後悔と悲しみがとても伝わってきました。私の中で心に残る小説でした。
2026-04-08 03:18:10
11
0
もょ
もょ
すごく泣いた。女性側が亡くなってから死ぬほど後悔する系が結構すきなのでこれは本当にいい。終わり方も、芽衣に「死ねばいい」とまで吐き捨てた蓮にはまぁ丁度いい、もしくはまだ温い生き地獄だったと思う。死後、芽衣に直接謝れる機会に恵まれるといいね。
2026-03-23 13:49:39
16
0
りんご
りんご
続き気になるから見たいのに読めないのが悲しい
2026-03-16 15:55:37
35
0
和田充穂子
和田充穂子
7話目からの読み方をしりたい!
2026-02-22 05:23:57
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0
19 Capítulos
第1話
「神谷さん、検査の結果ですが……ステージ4のすい臓がんです。治療を中止すれば、余命はおそらく一ヶ月もありません。本当に、治療を受けないおつもりですか? ご主人の了承は……?」「はい、大丈夫です。彼も……きっと、納得してくれます」電話を切ったあと、私はしんと静まり返った部屋をぐるりと見渡した。胸の奥が、ひりつくように痛んだ。ただの胃痛だと思っていた。昔からの持病の悪化だと――まさか、がんだったなんて。小さくため息をついて、リビングのテーブルに置かれた写真立てに目をやる。写真の中で、十八歳の神谷蓮(かみやれん)がこちらをまっすぐに見つめていた。あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。雪の降る帰り道、髪に舞い降りた白い結晶を見つけた彼が、冗談めかして言ったのだ。「これって、いわゆる『共に白髪の生えるまで』ってやつかな?」胸が締めつけられるような、かつての幸福の記憶。私と蓮は幼なじみで、十八のときに恋人同士になった。大学を卒業してからは、狭いボロアパートで彼と二人、夢を追いながら苦労の日々を過ごした。やがて彼の会社は軌道に乗り、私は新しいマンションと車を手に入れた。私はオシャレが好きで、ブランドの新作は毎シーズン届けられた。旅行が好きな私のために、彼は忙しい合間を縫って、よく遠出にも付き合ってくれた。誕生日も記念日も、彼からのサプライズは欠かさなかった。私が不妊症だとわかったときも、彼は一言も責めることなく、「全部俺のせいだ」と言った。誰もが口をそろえて言っていた。――神谷蓮は、私のことを溺愛しているって。でも、その彼が、結婚七年目にして――秘書の女と、外にもう一つの家を作った。彼はその女、望月寧々(もちづきねね)に豪華な一軒家を買い与え、「愛の巣」だなんて言っていたらしい。毎晩まっすぐ帰ってきた人が、ある日を境に夜帰らなくなり。望月への態度はどんどん甘くなり、私への態度は冷え切っていった。私を見るたび、彼はまるで嫌悪するかのように眉をひそめた。考えたくもなくて、床に落ちたガラスの破片を拾い始めた。数日前、蓮との口論の末に割ってしまった花瓶の残骸だった。あの日は結婚記念日だった。私は彼の好物を用意して、家で待っていた。「今日は早く帰る」と言っていたのに、帰ってきたのは午前二時。――また、彼女と一緒にいたのだろう
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第2話
数日ほど静養した後、私は馴染みのリユースショップの担当者に連絡し、手持ちの服やバッグ、アクセサリー類をすべて手放すことにした。「奥さま、神谷社長はほんとに優しい方ですね。昨日、今季の新作をまとめて注文されたばかりなのに、今日にはもう衣装部屋を空けるなんて……」そんな言葉を聞きながら、私はただ静かに微笑んだ。スマホの画面を指先で滑らせていくと、望月寧々のSNSが表示された。投稿されたばかりの写真には、まさに今季の新作バッグが映っている。――どうやら、新しい「持ち主」は、もう決まったようだ。業者を見送ったあと、私は親友の須藤ことり(すどうことり)を誘って「一つ付き合って」とだけ伝え、車を出した。目指したのは、郊外の静かな丘にある霊園だった。車が霊園の前で止まったとき、ことりは驚いたように私を見る。「……ここって、墓地じゃないの?」私は何も言わず、彼女の手を取って管理棟へと向かった。受付では、丁寧な対応のスタッフがパンフレットと区画図を渡してくれた。案内を受けながら、私は樹木葬エリアを中心に見学した。桜の木の下、陽当たりのいい場所にある一角がなんとなく気に入って、そこに決めた。そして、その場で仮契約と内金の支払いも済ませた。私には、もう身寄りがいない。両親は数年前に他界し、兄弟もいない。亡くなったあと、誰かがお墓を訪れることもないだろう。だったらせめて、自分の最期くらいは自分で準備しておこうと思ったのだ。……今まで、蓮が稼いできたお金を私はあまり使おうとしなかった。彼のためにと遠慮して、贅沢もそこそこにしてきた。だけど、ようやく「使ってもいい」と吹っ切れたときに、それが自分の墓になるなんて。――男に尽くす人生なんて、本当に馬鹿らしい。スタッフに「墓所名義のお名前をお願いします」と言われ、私は迷いなく自分の名前を書き込んだ。「神谷……芽衣です。自分のために見に来たんです」驚いた様子の職員と、目を丸くしたことり。その視線を気にも留めず、私は静かに手続きを終えた。霊園を出たあと、ことりが運転席で怒鳴るように言った。「芽衣!どういうこと!?なんで自分のお墓なんて見に来てんのよ!?」その声には、焦りと不安、そして深い恐怖がにじんでいた。彼女は、私が消えてしまうことを本気で恐れている。私はぼんやりとした目
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第3話
蓮は望月寧々をしっかりと腕に抱き寄せた。声を出そうとしたけれど、喉の奥が締めつけられ、何も言葉にならなかった。涙が頬をつたう頃には、もう彼の背中は遠ざかっていた。私は、どうしても今の彼を、あの十八歳の少年と重ねることができなかった。――あの日、雪が降る駅前で「ずっと一緒に白髪になるまで」と笑ったあの人とは、もうまるで別人だ。「……芽衣、もしお前が本当に死にそうだったとしても、俺は同じことを言うと思うよ」彼は一度も振り返らず、そう言い残して出ていった。「死んでくれるなら、やっと静かになる。だったらさっさと死ねばいい」その瞬間、全身から力が抜け、私はその場にへたり込んだ。……ああ、この人、本気で私が死ぬことを願ってるんだ。それからというもの、蓮は二度と家に戻ってこなかった。私ももう、何も期待していなかった。遺品整理リストを作り、遺影用の写真を撮り、最期に着る服を買いに行った。数日後、写真屋の店主から「現像できましたよ」と連絡を受け、私は受け取りに向かった。帰ろうと角を曲がったところで――蓮と望月にばったり出くわした。「……何してる。まさか俺を尾行でもしてるのか?」くだらない言い合いはしたくなかった。腹の奥がまた疼きはじめていて、私はただその場を去りたかった。「神谷さん、奥さま、写真を撮りに来たみたいです」望月がそう言って、私の手元にある封筒に手を伸ばそうとした。私は思わず一歩引いた。「奥さま、見られたくないみたいですね。そんなに秘密にして……もしかして、何か隠してるんじゃ?」彼女の声音は一見控えめで、けれど含みをもったその言葉に、蓮が目を細めた。視線が私の腕の中の写真フレームへと向かう。「何を隠してる?」痛みがどんどん強くなる。それでもここで立ち去ることだけを考えていたのに、蓮が私の手首をぐっと掴んだ。その瞳にあるのは、かつての優しさではなかった。あるのは――嫌悪と疑念。でも、私はもうその目に傷つくような女ではなかった。「別に……あなたには関係ないことよ」私は静かに彼の手を振りほどこうとしたが、彼は封筒を掴んで離さなかった。その拍子に写真フレームが落ち、袋から滑り出た中身が地面に露わになった。――私の遺影。モノクロの、それはもう「別れの準備」だった。「……え? これ……白
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第4話
日々は、ただ静かに過ぎていった。けれど、私の身体は確実に蝕まれていった。眠気に勝てないことが増え、痛みも徐々に頻度を増していった。ことりは「うちに来て」と言ってくれたけれど、私は首を横に振った。――誰にも気を遣いたくなかった。ただ一人で、穏やかに終わりを迎えたかった。けれど、望月寧々は、そんな私を放っておこうとはしなかった。彼女は頻繁にメッセージを送ってきた。蓮との旅行の写真、ラグジュアリーホテルのペアルック自撮り、そして――彼の寝顔。どれも、これまでの私だったら心を抉られるような写真ばかりだった。けれど不思議と、何も感じなかった。……そう、あの日までは。ある日、彼女から一枚の写真が届いた。それは――私と蓮が昔住んでいた、あの思い出の家だった。動揺しながらも【これは何?】と打とうとした瞬間、彼女からの新たなメッセージが届いた。【プレゼント。】嫌な予感がして、私は慌てて蓮に電話をかけた。しかし、応答はない。いても立ってもいられず、私はタクシーを拾ってその家へと向かった。――あの家は、私たちがボロアパートから抜け出して、初めて手に入れたマイホームだった。彼の会社が少しずつ成長し、ふたりで夢を語り合いながら暮らした大切な時間。そのすべてが、あの場所に詰まっている。彼が高級マンションを買ってくれても、私はこの家だけは手放さなかった。思い出の詰まった、私たち「だけ」の居場所だった。到着して目に飛び込んできたのは、開け放たれた玄関と、出入りする工事業者の姿だった。中はひどく荒れていて、床にも壁にも養生シートが敷かれ、家具もすでに運び出されていた。――私は、崩れた。「やめて!やめてください!」必死に声を上げたけれど、誰も耳を貸さない。混乱する中、私は蓮に何度も電話をかけた。十数回目、ようやく彼が出た。「……ああ、あの家、リフォームしてる」「寧々が住みたいって言うから」その一言で、胸の奥が、音を立てて崩れ落ちた。蓮がやって来たのは、すでに深夜1時近くだった。業者たちはすでに帰った後だった。私はそこで、5時間以上待っていた。でも、それすらも、もうどうでもよかった。「……なんで、こんなことするの。あの家がどんな意味を持ってたか、あなただ
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第5話
蓮は望月を連れて、そのまま出ていった。私は玄関の外の壁にもたれかかり、息を整えようとしていた。胸がきゅっと締めつけられて、うまく呼吸ができなかった。そのとき、スマートフォンが震えた。メッセージは、望月からだった。【私の勝ちね。】【これからあなたが持っていたもの、全部、ひとつずつ奪っていくつもりよ。】私は無言で画面を閉じ、スマホの電源を落とした。そして、ゆっくりとあの家の中に戻った。すでに家具は何もなかった。床は剥がされて凹凸ができ、陽の当たるバルコニーの隅には、望月好みの淡いピンク色の塗料が未開封のまま置かれていた。室内はがらんとして、何ひとつ残されていなかった。私が一番好きだった出窓の台は、無残にも砕かれ、お気に入りだった小花柄のテーブルクロスは、ゴミ袋の中にくしゃくしゃに詰められ、蓮とふたりで選んだカーテンは、今や誰にも見向きもされず、外のゴミ捨て場に丸めて放り込まれていた。私は部屋の中を何度もぐるぐると歩き回った。そして、ようやく現実を受け入れた。もう、ここは私たちの「家」ではない。最後に一度だけ、玄関から振り返ってその場所を見つめ、私は何も言わず、背を向けて歩き出した。家に戻ると、ふと、望月が言っていた言葉が思い出された。この別荘の家具も、あれこれと彼女が口にしていたものだ。私はすぐにリユース業者へ連絡し、彼女に触れられたものをリストアップして、すべて処分した。もう、私の残された時間には、何ひとつ邪魔されたくなかった。業者を見送る頃には、深夜になっていた。汗ばむ身体のままカーペットに寝転び、私は初めて、心からの安堵を感じていた。カレンダーは毎日、紙を削るように薄くなっていった。でも、驚くほどに、私の心はどんどん澄んでいった。痛み止めを飲む回数は増え、意識がはっきりしている時間は短くなっていった。けれど、ある日、ふと身体が軽く感じられた。その日、私は郵便屋さんに二つの封筒を託した。ひとつはことり宛て。中には私の想いと、名義財産の明細。私の最後の整理は、すべて彼女に託した。もうひとつは――神谷蓮宛てだった。中身は、すでに署名を終えた離婚届。たとえ死ぬとしても、私はこの人との縁を、すべて断ち切りたかった。もう顔を合わせる必
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第6話
神谷蓮がその荷物を開けたのは、届いた翌日のことだった。前日の午後にはすでに配達されていたのに、宛名を見ただけで無造作に玄関の棚に放り投げていた。それを思い出したのは、望月が一言口にしたからだった。「……あの封筒、開けないんですか? もしかして奥さま、怒って送ってきたのかも……」神谷蓮が封を切ると、中には離婚届が入っていた。しかも、すでに署名まで済ませてある。「……離婚? なんだよこれ、子どもじゃあるまいし……」彼の声には呆れと苛立ちが混じっていた。「奥さま、お怒りになってるんですよ。たぶん、あの家のことじゃないかと……」「でも神谷さん、ちゃんと説明しましたよね? 私が仕事の都合で住みたいって言っただけだって。奥さま、きっとわかってくれるはず……。やっぱり、私、引っ越すのやめましょうか?」その一言が、神谷蓮の怒りに火をつけた。「……なんでだよ。なんでお前が我慢しなきゃなんねぇんだ」「いいか、あの女、今回ばかりは俺が思い知らせてやる。施工業者に連絡しろ、工事のペース上げろって伝えとけ!」怒りに満ちたその命令に、望月は満足そうな笑みを押し隠しながら、かすかにうなずいて部屋を出て行った。――もっと騒げばいい。神谷芽衣が暴れれば暴れるほど、自分の立場は確実になる。神谷蓮は離婚届をテーブルの上に放り投げ、スマホを手に取って芽衣に電話をかけた。だが、コール音が鳴るばかりで誰も出ない。何度かけても同じだった。とうとう彼は、「直接確かめに行く」とばかりに、車を出した。――どこまで騒ぐ気だ?離婚したいって言うなら、いいさ。望みどおりにしてやる。家に着くと、人気はなかった。家具も、明らかに減っていた。彼は気に留めることもなく、声を張り上げた。「……芽衣?」返事はない。階段を上がり、寝室に向かう。クローゼットはがらんどうで、かつて芽衣が「絶対に飾っておきたい」と言っていた彼からの贈り物も、すべてなくなっていた。なぜか――胸の奥が、ひどく冷えた。そこに残っていたのは、ひとつの古びたノートだった。角はすっかり黄ばんで、表紙も少し剥がれていた。蓮は何気なくそのノートを手に取った。開いた最初のページには、丁寧でかわいらしい文字で、ふたりの名前が書かれていた。間には
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第7話
「……今度こそ、本当に死んだのか?」神谷蓮は鼻で笑った。その声音には軽薄ささえ混じっていた。まさか芽衣が、ことりと組んで自分を騙すなんて。理由は――あの古い家か?彼は苛立たしげに眉をひそめ、カーナビに須藤ことりの住所を打ち込んだ。「もういい加減にしろ。芽衣がそっちにいるのは分かってる。電話、代われ」「離婚したいんだろ? いいよ、サインしてやる。早く出てこいって伝えろ」ここ最近の理不尽な振る舞いの数々を思い出しながら、彼は心の中で憤っていた。――どこまで図に乗るつもりだ?だったらこっちだって、本気で終わらせてやる。彼女が“自分なしでどう生きるか”、見ものだ。その時、電話の向こうで怒鳴り声が響いた。「このクズ男!……あんた最低だね!!」怒りに震えた須藤ことりの声に、蓮の目が鋭くなる。「芽衣は、本当に死んだのよ!」「今すぐ、火葬場まで来い。……署名が必要なの。あんたしかできないのよ!」ことりが伝えた住所をメモする間も、神谷蓮の頭の中は真っ白だった。手が、微かに震えていた。――まさか。そんなはずない。「……芽衣……」思わず彼の口から、その名前がこぼれた。玄関の方へ無意識に目を向けてしまう。もしかして、今にも彼女が「ただいま」と帰ってくるんじゃないか。そんな、ありえない幻想が脳裏をよぎる。……死んだ?芽衣が……本当に?彼は慌ててスマホを開き、震える指でアシスタントの番号を探す。その時、望月から電話がかかってきた。彼は無言で切ったが、すぐにまた着信。今度は仕方なく応答した。「神谷さん、もうレストランに着きました。いつ来ますか……?」「今、急用ができた。しばらく行けない」声をできるだけ穏やかに保とうとしたが、頭の中は芽衣のことでいっぱいだった。「でも……ここの予約、すごく取りにくいんです……次はもう取れないかもしれないのに……」望月は泣きそうな声で言った。いつもなら、それが彼の心をくすぐったはずだった。だが今回は、まったく響かなかった。「……同じことを二度言わせるな」「一人で食え」言い終えると、彼は通話を切り、すぐに秘書へ連絡した。「今すぐ芽衣を探せ。何があったのか、すぐ調べろ!」1時間もしないうちに、神谷蓮は火葬場に到着した。途中、何度もメッセージ
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第8話
「あり得ない……そんなはず、あるわけが……!」神谷蓮はよろけるように数歩あとずさった。けれど次の瞬間、何かを振り払うように前に駆け出した。まるで狂ったように、彼は担架の上の白布を乱暴にめくった。周囲からは驚きと困惑の声があがる。「……違う、違う……これは芽衣じゃない……じゃあ、どこに……どこにいるんだ……!」頭の中が真っ白になっていた。混乱の中で、彼は視線をさまよわせた。そして――「遺体安置室」という案内板を見つけるや否や、飛び出すようにそちらへと走った。「関係者の方ですか? 入室には記録が必要です」入り口で職員に制止され、神谷蓮は無意識に唇をなめた。乾ききった喉から絞り出すように名前を告げる。「……神谷芽衣」職員が確認のために端末を操作している間、神谷蓮の心臓は今にも破裂しそうだった。いないでくれ……頼むから、名簿にいないでくれ……!――だが、現実は非情だった。職員は無言で彼を一角へと案内した。そこに――銀色の鉄のベッドに、芽衣は静かに横たわっていた。顔は青白く、両目は閉じられ、まるで痛みすらなかったような穏やかな表情だった。だが、頬はこけ、頬骨が浮き出ていた。胸元までかかった白布の下――肋骨の形がはっきりと浮き出ている。「……どうして、こんなに……痩せて……」彼女が、どれだけ苦しかったのか。なぜ、自分はそれに気づかなかったのか。拳を強く握りしめながら、彼は一枚のカードを見た。【神谷芽衣】まぎれもない現実が、胸を貫く。神谷蓮の心は何度も打ち砕かれた。気づけば、全身が震えていた。――戻れない。もう、二度と。彼女は、自分にとって唯一の存在だった。心臓の一部のような、大切な人だった。それを、自らの手で傷つけ、壊してしまった。「芽衣……冗談だろ?起きてくれよ……俺が悪かった、全部、俺が……」彼は震える手で彼女の頬を撫でながら、膝をついて地面に崩れ落ちた。その時、職員が一枚の紙を彼の前に差し出した。「ご遺族の方、どうかお悔やみ申し上げます。こちらが死亡確認書類になります。内容をご確認の上、火葬の手続きを進めるための署名をお願いいたします」火葬――その言葉に、神谷蓮の身体がびくりと反応した。「……火葬? なぜ……?」
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第9話
芽衣の遺体が、静かに火葬室へと運び込まれた。神谷蓮は、その扉の前に立ち尽くしていた。けれど、涙は一滴もこぼれなかった。「……彼女、どうして亡くなったんですか?」「ステージ4の膵臓がん。――一ヶ月前に見つかったんだそう」その言葉に、胸の奥がずきりと痛んだ。唇をきつく噛み締めたまま、蓮はかすれた声を漏らした。「……どうして……どうして言ってくれなかった……俺が、もしもっと早く知っていれば……!」「芽衣は……あんたなんかに伝えたくなかったんだよ。もしくは、もう完全にあんたに見切りをつけていた」ことりのその言葉に、神谷蓮は雷に打たれたかのようにその場で固まった。――芽衣は、ずっと前から自分に絶望していた。心の中で、彼は繰り返した。自分は理解しているつもりだった。ただ、子どもが欲しかっただけ。望月なんてただの遊びだった。誰も、芽衣の代わりにはなれない。離婚するつもりも、決してなかった。でも、彼女は……諦めていた。死ぬとわかっていながらも、何も言わなかった。それほどまでに、自分に――愛想を尽かしていた。滲んでゆく視界の中、神谷蓮の脳裏に、かつての記憶が浮かび上がった。――「一生愛している。絶対に、お前を悲しませない」それは、彼が芽衣にプロポーズしたときの言葉だった。あのとき、自信に満ちていた。彼女を誰よりも愛していると信じていた。この気持ちは永遠だと、心から思っていた。――けれど、いつからだろう。体外受精の失敗。周囲のプレッシャー。女たちからの誘惑。そして、望月の差し出してきた、あまりにも都合のいい「優しさ」。気づけば、神谷蓮は流されていた。あの頃の真心は、いつの間にか手のひらから滑り落ちていた。彼は、芽衣の疲れた目を見て見ぬふりをした。何度も見ていたはずなのに、自分はまだ愛されていると思い込んでいた。――彼女はもう、限界だったんだ。誰にも言わずに病院に通い、ひとりでお墓を選び、遺影を撮り、静かに最期の準備をしていた。すべては、ずっと前から兆しがあった。けれど――自分は、見ようとしなかった。「……芽衣、ごめん、ごめんな……」神谷蓮は、その場に膝をついて泣いた。目の前の炉の炎が、彼女を飲み込んでいく。「俺が悪か
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第10話
須藤ことりが去ったあと、神谷蓮はどれくらいの時間、火葬場にいたのか分からなかった。ぼんやりとスマホしまい、気づけば、ふらふらと街をさまよい歩いていた。はっと我に返ったとき、彼は――あの家の前に立っていた。あの「思い出の家」。芽衣とふたり、かつて暮らした、最初のマイホーム。見上げた窓は、すでに色あせていた。あの窓辺で、芽衣はいつも自分の帰りを待っていた――……けれど、もう彼女はどこにもいない。蓮はゆっくりと階段を上がり、扉を開けた。中では、工事作業員たちがリフォーム作業を続けていた。部屋は荒れ、生活の痕跡など、もう何も残っていなかった。かつての家具や生活道具は、片隅に無造作に積まれていた。そこには、芽衣が気に入っていた照明、ふたりで選んだ家具、そして一緒に使っていた食器もあった。そのなかに――泥で汚れた一枚の水彩画が目に入った。十八歳の誕生日に、芽衣が描いてくれた絵だった。雪が舞う中、寄り添うふたりの後ろ姿。懐かしい情景に、彼の胸が熱くなった。裏返すと、右下には小さな文字があった。【このままずっと、あなたと年老いていきたい。】神谷蓮は、その文字を指先でなぞる。一字ずつ、一画ずつ。まるで彼女のぬくもりを感じようとするかのように。「……芽衣、ごめん。約束、守れなかった」「……ほんとうに、ごめん」彼は丁寧に袖で絵についた泥を拭い、胸に抱きしめた。そのとき、怒りが湧き上がった。「誰が……誰がこれを捨てろと言った!?」怒鳴った声に、作業員たちは驚き、顔を見合わせた。「……神谷さん、あの……望月さんの指示でした。全部いらないから処分しろと……」「でも……確かに聞きました。ご自宅の改装はすべて彼女に一任すると……」作業員たちは不安そうに視線を交わす。神谷蓮は黙って、積まれた荷物のなかに手を伸ばした。「……全部、戻せ」彼はひとつひとつ拾い上げながら、言葉を絞り出した。「一ヶ月やる。いいか、この家を――あの頃のままに戻せ。一分一秒、寸分も違わずだ」家に戻ると、リビングのテーブルには――離婚届が、まだそこにあった。以前、神谷蓮が帰ってきたとき、無造作に放っておいたもの。今では、それが彼女の「残した最後のもの」になってしまった。彼は椅子
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