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第4話

Author: エン・ロクイ
「好きにすれば」

私は指輪を外し、村上誠司の手の上に置いて階段を上がった。

「雲ちゃん、先に上がってて。タバコ買ってすぐ戻るから!」

村上誠司は私の背中に向かって叫んだ。

私は階段の曲がり角から、二人が手を繋いで車に乗り込むのを見ていた。

マンションの入り口の街灯が切れていて、辺りは真っ暗だった。

村上誠司と浅井美咲は後部座席に座っていた。

私は柱の陰から、規則正しく揺れる車を見つめ、二人の小声の会話が聞こえてきた。

「あの花束を彼女にあげたなら、私にはもっと素敵なのを買ってよね」

「それに指輪も。私にプロポーズするって約束したのに、どうして彼女にあげたの?」

浅井美咲は村上誠司の耳に噛みついた。

村上誠司は荒い息を吐きながら、「何で彼女と争うんだよ。お前が俺を満足させてくれれば、何でも与えてやるだろ?」

「じゃあ、正式な立場も?それもくれるの?」

浅井美咲の声は震え、その間に漏れる吐息が混ざっていた。

私は冷たい風に吹かれながら、二人の一挙手一投足を見つめていた。

風は冷たく、私の両足はすでに感覚を失っていた。

風は静かで、二人の声が鮮明に耳に届いた。

私は皆の前で裸にされた道化のような気分だった。

最後に村上誠司が彼女を愛していると言うのを聞いた時、私はもう顔を覆って逃げ出すしかなかった。

家に戻ると、この部屋の隅々を見渡した。浅井美咲の方が、この家の女主人らしく見えた。

この現実を受け入れた時、私の心は完全に死んだ。

そこへ村上誠司と浅井美咲が前後して家に入ってきた。

私がリビングにいるのを見て、二人は少し気まずそうな表情を見せた。

「雲ちゃん、まだ寝てないか?俺が寝かしつけなかったからか。さあ、寝よう」

村上誠司は私を優しく抱き上げ、寝室のベッドに寝かせた。

その夜、私は一睡もできなかった。夜が明けるまでずっと目が覚めていた。

目を覚ました時、家には誰もいなかった。

私は浅井美咲の部屋に入り、彼女のクローゼットを見た。そこには村上誠司のベルトや靴下、下着まであった。

二人の関係は、もう長いことが分かった。

私は彼の持ち物を全て私の寝室に移し、そのまま家を出た。

昼頃、村上誠司が帰ってきて私がいないことに気付き、慌てて探し回った。

寝室で自分の持ち物を見つけた時、やっと私が全てを知ったことに気付いた。

彼は完全に取り乱し、すぐに私に電話をかけ始めた。

今日は私が検査に行く約束の日だったので、村上誠司は病院に行き、担当医を見つけた。

「佐々木さんは今日来てませんよ。妊娠が分かったんですから、これからは月一回の検診でいいんです」

「奥様に聞いてないんですか?長年の苦労が報われましたね。家でゆっくり休ませてあげてください」

医師は不思議そうに彼を見ながら、詳しく注意事項を説明した。

村上誠司は真っ青な顔で一言も聞き取れていなかった。ただ、全てが終わったということだけは分かっていた。

「雲ちゃん、話を聞いて。説明させて。無視しないで。どこにいる?会わせて」

彼は必死にボイスメッセージを送ってきたが、私はもう開くことはなかった。

結局、彼の愛する人は別にいたのだから、子供を産むのも他の人にお願いすればいい。
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