LOGIN後の麻雀界を大きく前進させる男たちがいた。彼らは運命的に出会い、切磋琢磨し、時には別れ、また邂逅する。 自分こそが麻雀神であると言い放つコテツ。その神のライバルであるという誇りを持ち、進化するアキラ。コテツとエースの座をかけて戦うメタ。3人の男が激しくぶつかり合いながら成長していく【牌神話】麻雀烈士英雄伝 伍――。
View Moreごきげんよう、彼方です
今回の舞台は『雀荘』
高レートともノーレートとも競技麻雀とも違う普通の雀荘。
普通の雀荘とはどんなものかをこの物語で知ってもらえたらなと思って筆をとりました。
これを読んで、雀荘楽しそうだなとか行ってみたいな、なんて思ってもらえたら幸いです。
◆◇◆◇
もくじ
➖️メインストーリー➖️
麻雀烈士英雄伝
【カラスたちの戯れ】
➖️表紙イラスト➖️
しろねこ。
◆◇◆◇
今回の物語は作者が一番最初に書いた物語です。なので主人公が作者自身であったり、ほぼ実話であったりと、若干恥ずかしくもある小説で、一番思い入れの大きな作品です。そんな『牌神話〜麻雀烈士英雄伝〜 伍』別名『麻雀青春物語〜カラスたちの戯れ〜』をぜひ最後まで楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
他の牌神話をまだ読んでない? これって第2部なんでしょ? 大丈夫です。順番が前後してもなにも問題ありません。どの順番で読んでも同じ感動を与えてくれるよう書きましたので。
牌神話(伍)とありますが、この伍は『5巻』という意味もあるし『伍』という文字自体がもつ言葉の意味では『仲間』という意味もあります。つまり、この巻は『牌神話5巻』というよりは『牌神話【仲間編】』だと思って読んでもらえたらなと思っております。
ちなみに、この小説の読み方は
────
──
これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。思考吹き出しのイメージですね。
──
────
これは時間の遡りです。
────
これはちょっとした区切りです。
◆◇◆◇
これは視点変更か大きな区切りです。
これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。
では、最後に。本編に入る前に確認しますけど。あなたは麻雀に精通してますか? してる? では次に進んで下さい。でももし、まだわからない。よく知らない。まるで無知。という方は読めない漢字があるかもしれません。それをここでざっと書いておきましょう。
まず牌(はい)の名称です。
1〜9の数字があり、スートは3種です。スート……スートって何か言い換えられないかな。色、絵柄、いや種類……かな。まあ、種族というか。そんな感じ。
で読み方は
1=いー
2=りゃん
3=さん
4=すー
5=うー
6=ろー
7=ちー
8=ぱー
9=きゅー
これが基本。
種族の読み方は
萬=まん(わんとも言うが基本はまん)
筒=ぴん
索=そー
でもこれは略してて実際は萬子筒子索子(まんずぴんずそーず)と言うもの。
漢数字が萬子
数字に丸が囲ってあるのが筒子
全角数字が索子です。
つまり二とあればこれはりゃんまんを持ってるってことで⑤ならうーぴんを持ってるってこと。OK?
ここまでが数牌(すうはい)の説明。
で、他にも字牌(じはい)というのがありまして。
まず字牌の風牌(かぜはい)から。
東=とん
南=なん
西=しゃー
北=ぺー
で、もうひとつの字牌が三元牌(さんげんぱい)
白=はく
発=はつ
中=ちゅん
これが牌の読み方の全て。
続いてよく使われるのが『家』。これ単独では使わないけど西家とか起家とかね。これ、読み方は(いえ)じゃないんです。
麻雀の世界で家は(ちゃ)と読みます。つまり、西家なら(しゃーちゃ)。起家ならおきちゃ? いいえ、これは(ちーちゃ)と言ってこの人の親番からこのゲームは開始されたよという、最初に親番を担当した人を指す言葉。……よく考えたらあまり必要ない言葉だな。なんであるのかは不明。
あとは聴牌(てんぱい)とか
一向聴(いーしゃんてん)とか
和了(ほーら)とかかな。出てきそうな専門用語は
テンパイってのは完成まであと1つの状態を指すもので、イーシャンテンはそれのまた1つ前。さらに前だとリャンシャンテンとかサンシャンテンとか言うんだけどそのへんはイーシャンテンわかるならわかるよね。
ホーラってのはアガリのこと。完成ってことですね。
これくらいを覚えておけばあまりつまづく事なく読めると思うんです。もし分からないことがあったらいつでも私に質問して下さい。感想欄でもメールでも方法は何でもいいです。必ず分からない系のご質問には答えますので
長くなりましたが、それでは、元競技麻雀プロである著者が描く彼方流低レート麻雀小説の世界をお楽しみ下さい――
47.第十七話 友ならば敵であれ 色々あって今日からコテツも富士2で働くことになった。 アキラはコテツに仕事を教える教育係だ。 「入り口に背を向けている席から反時計回りにA、B、C、Dと席番号。入り口に近い方から1卓2卓3卓で二列目は5卓6卓7卓三列目が8卓10卓とカバーがかけてあるのは11卓というか食卓。入り口に1番近いこの席は1Aってことね」「4卓と9卓が無かったけど?」「勝負事だからね、4(死)や9(苦)といった縁起が悪いことを連想させる数字は使ってないんだ」「ふうん。そういうもんなのか」「おつまみのメニューにあるイカとかもそうだよ。スルメのことをアタリメって言ってるだろ。勝負の場で『スる』だと縁起が悪いから『アタリ』って呼んでるだけで実際には同じモノなんだよ」「へぇ、なるほど。面白いね」 その日は店内の配置の説明や接客のマニュアルなどを教わって麻雀牌には触れずに終わった。 ――数日後。 一通りの仕事を覚えたコテツはもう本走一番手で活躍していた。アキラは同番なのでコテツによって苦しい戦いを強いられていた。「コテツくんお手柔らかにね」「アキラくん、悪いけどおれは不器用でね。手加減とか難しいことは出来ないんだ。オンとオフしかない安物のホットプレートと同じでさ。全力火力の本気しか出せない」「たく、これだもんな。これ以上負けたら働いてる意味ないし、今日は負けねーよ」「望む所だよ」「『友ならば敵であれ』だな」とマサルが言う。「なんですかそれは?」と2人が言うと待ち席でラーメンを食べていた中村さんがこう説明する。「マサルの言ったそれはニーチェの言葉だな『友ならば敵であれ、友ならばせめて敵であれ。自分の友の中に自分の最善の敵を持つべきである』高
46.第十六話 アガリ牌を鳴く 松戸のガンダルミュージアムに行った帰りにアキラとコテツは駅前にあった雀荘に行った。 するとアキラがある人を見つけた。 棋士の竹田シンイチ四段だ。若い頃に(今でもまだ若いが)小さな麻雀大会で優勝していて麻雀好きとしても有名なプロ棋士。 アキラは彼が書いていた麻雀のコラムを読んだことがある。現代麻雀という麻雀雑誌の一番後ろに載っていたそのコラムはいかに麻雀を真剣に考えているかがわかる内容であり並の麻雀プロよりも考察が深かったのでとても面白いという評判で連載期間も長かった。 カラーで写真付きの時も何度かあったので顔は知っていた。(間違いなくあの人は竹田四段だ)とアキラは確信する。 すると偶然にもコテツとアキラは竹田四段と同卓となった。アキラはミーハーなので内心ワクワクしていたがコテツは「あの人棋士だよ。竹田四段」とアキラに聞かされてもその凄さはピンと来なくて「フーン」という感じだった。 メンバーワン入りで開戦── 東1局のコテツの手がすごかった。 開局早々に白を叩いたコテツが上家の竹田四段から出た九萬をチーして②筒切り。ドラは南だ。 次巡も何かを引き入れて②筒切り。そして── 「ツモ! 6000オール」コテツ手牌一二三四伍六南 南ツモ(七八九)(白白白) それを見て竹田四段が思わず質問した。「それ、②筒対子落としした時に引き入れたの南だったよね。一番端の交換しかしてないってことはそうだよね?」「ハイ」「つ、つまり、九萬は高め2900で出
45.第十伍話 麻雀以外の趣味 アキラはバイトを掛け持ちしていた。 収入が安定しない雀荘のバイトだけでは安心出来ないと考え駅ビルに入っているレンタルビデオ屋『nana』でもアルバイトをしていた。 nanaはそれなりに忙しかったがリスクがあるわけでもない確実な収入源だったのでここで働くのも嫌ではなかった。仕事は楽しくはなかったが。忙しいおかげで時間が経つのが早かったのは救いだった。楽しくない上に時間の経過が遅かったらいくらなんでもつらい。 バタバタと働いてレジを捌いていたらうつむきがちのアキラの顔を下から覗き込むようにしてきた客がいた。「よっ! 似合うじゃん店員の黒エプロン」 コテツだった。「あれ? 言ってたっけここで働いてんの」「いや、知らなかったけどたまたま目に入ってね。今日は一日家でガンダル観ようと思ってたんだよ、いま旧作100円なんだろ?」と言ってコテツはガンダルのビデオをドサッとレジに持ってきた。「ガンダルかー。僕まだちゃんと観た事ないんだよね。面白かったら感想聞かせてよ。お会計400円になります」「オッケー。じゃあまた富士2でな」と言いコテツは400円を置いて帰った。 ――数日後 コテツは次から次へとガンダルシリーズをレンタルしていた。どうやら相当面白かったらしい。よく見たらリュックにもガンダルのキーホルダーをぶら下げている。あれはたしかVガンダルだ。もうそんなに先まで観たのか。と驚いた。「ねえ、そんなに面白いんだ?」「面白いっていうだけでは表せないね。深い作品だったよ。少なくとも子供向けではない。とくに最初のやつ、初代ガンダルは観てて涙出るよ」「ファーストガンダルって言われるやつね。そっかあ僕も観た方がいいかな?」「観て欲しい! 麻雀
44.第十四話 虎穴に入らずんば虎子を得ず その日はアキラの出番はほとんど無く、まったりとした1卓丸が続いていたので掃除も飽きたし(終わったわけではない。というか掃除に終わりって来るのか? とりあえず、やるべき掃除は終わらせた)コテツくんの麻雀でも見て勉強するかな。とアキラはコテツの斜め後ろで立ち見していた。こういうことが出来るのは雀荘メンバーの特権である。 気になる人の麻雀を見て学ぶことが許されるのはこの当時ではかなり有利なことだった。なにせ対局を気軽にケータイで見れるような環境はまだない時代だ。強者の後ろ見をして学ぶ研究方法は当時最も有効な勉強法だったように思う。 見てみると丁度今からオーラスで南家のコテツが34400点持ちトップ目。そこに親から5巡目にリーチが飛んでくる。「リーチ!!」 まあまあ気合いが入っているので安くはないだろう。とは言え親は11000点持ちのラス目からのテンパイなのでどんな手でも多少の気合いは入るだろうが。親はリーチ棒を出したので現在10000点。 親リーを受けたその次巡、コテツにもテンパイが入る。二-伍-八待ちタンピンドラ1。安パイ切りでテンパイに取れる完璧な引きである。現物待ちとかではないがトップ目だし役ありだしでダマで構えて自力決着を目指しつつ無理はしないという思考になる場面だ。 ちなみに全員の点棒状況は東家10000点持ち南家34400点持ち西家27800点持ち北家26800点持ちで場に親が出したリーチ棒が一本供託されている状態だった。(ナイス3面待ち! まあここはとりあえずダマ一択。リーチ意味ないし)とアキラは見ながら思ったがコテツは何か少し止まって考えている。(ん? なんの躊躇だ? 何を考えているのだろう……)
6.第六話 計算女王 シオリ シオリは計算機のような女だった。一流大学大学院まで行って化石の研究チームにまで入って勉強していたが時給の高いアルバイト先の雀荘で「本走入れればもっと時給上がるよ」と言われて麻雀を覚え「プロになればさらに時給上がるし今なら社員旅行で沖縄も行けるよ」と言われたのでプロ試験を受けた。結果はなんと首席合格。大学院は2年で辞めてプロ麻雀プレイヤーとしての道を進む。 シオリは瞬く間に頭角を表した。時給UP&沖縄旅行目当てでしかないのでプロリ
5.第伍話 4人目の男 アキラ お父さんは普通のサラリーマンで夜6時に帰ってくる。お母さんはスーパーのレジのパートタイマーとして働いていてごく普通の家庭に育った。 特別なことはなく、どこにでも当たり前にある平凡な暮らしをしていたと思う。 妹が1人いて兄としてしっかりしないとという気持ちはあったから普通に進学して普通に就職を何となくだけど目標にしてた。 特別とは程遠い普通の人。それが自分。 そう自己紹介するのは4
4.第四話 コードネーム ジンギ いわゆる義賊の真似事だった。 悪人から大金を巧妙に騙し取って。表に出せない金だから泣き寝入り。そんな、悪人を騙しまくる天才イケメン詐欺師ギンジ。 巷ではその悪人だけ狙った義賊的な活躍からコードネーム『ジンギ』と呼ばれていた。 ジンギが悪党から奪った金は2億円にもなった。 それだけあればもうリスクを背負って詐欺を働く必要もないと思い、そこで詐欺師稼業か
3.第三話 責任者 マサル マサルは家庭環境に恵まれていなかった。 幼少期に両親が離婚していて母と姉との3人家族で質素な暮らしをしていた。 趣味と言えば将棋で。いつも近所に住む同年代の仲良し3人組で将棋を指していた。 マサルには将棋の実力があったが、3人の中では1番強いのはシンイチ君で、マサルは2番手か3番手の実力だった。 マサルの学力は高くて、中学に入学してからも難なく学力テストは