Chapter: その2 第六話 妹との休日15.第六話 妹との休日 カーテンの隙間から陽の光が差し込んで目が醒めた。いつもならそれでもまだ起きたりせずゆっくり休むのだが。しかし、今日は土曜日だ。(きっとみんな集まる)と思って俺は仕事でもないのに休日の午前中にわざわざ着替えていそいそと出かける準備をした。 行き先はもちろん『麻雀食堂』だ。 麻雀食堂は仕事の帰りに寄るにはちょうどいいが休みの日にわざわざ行くには離れてる。けど、もう行きたくて仕方ない。「あれー、お兄ちゃん今日仕事ないんじゃないの? 起きるの早いじゃん。どうしたの?」「うん……ちょっとな」 俺は母と妹と俺の3人で暮らしてる。親父はけっこう前に俺達を捨てて出ていった。理由なんか知らない。ただ、あの優しい母さんが怒ってたってことは覚えてる。つまりろくでもないんだろう。そんな男なんてもう顔も忘れたよ。 母さんはタクシードライバーで、家にいない時はしばらくいない。今日は家に妹と2人だ。「これお母さんが、お兄ちゃんも休みだから今日は久しぶりに2人でごはんでも行けばって置いてったお金」 俺が学生の頃は妹の美咲と2人で近くのメシ屋までごはんを食べに行ったり弁当をスーパーに買いにいったり、そういう日が多かった。でも今は俺はもう社会人だし妹だってバイトしてる。いつまでお昼ご飯代を置いていくつもりなのか。お金なら俺も稼いでいるし、そもそも美咲は冷蔵庫の食材で適当に料理できるというのに。「俺はいらないから美咲が持ってろ」「ラッキー! ねえ、お兄ちゃん。ごはんはどうするの?」「パンでも焼くよ」「それは朝ごはんでしょ。そうじゃなくてお昼ご飯。何食べる?」 昼代はいらないと言ったはずだが、妹は俺がお昼を一緒に食べるものだと思っているようである。
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-02
Chapter: その2 第伍話 安全牌を危険牌にする14.第伍話 安全牌を危険牌にする メタが行った高度なツモ切りリーチとはどんなものだったのだろうか。俺は初心者だから聞いても理解できないかもなと思いつつも2人の話を聞いてみた。メタ手牌二三三四四伍七八九③④11 状況は2索が場に4枚見え。このダマをしてる時に6索のポンが入りツモ切りリーチ。「これねー。一見全然関係ないじゃん? でもここはツモ切りリーチが効果的なのよね」「さすがに俺にはわかりません。なんでですか?」「例えばね、6索のポンが入ったならその外跨ぎにあたる78索は使いにくいから通りやすいし9は当たり牌を見逃してることになるからやはり切りやすいの」「ふんふん」 俺はなんとなく納得して頷いた。「しかも今回は2索が4枚見えてることにより索子が手前は3索までしか無い場になってる。ということは56索という内跨ぎも同様に切りやすくなったという事。3索も9索と同様で見逃しをしてることになるから切りやすい」「なるほど」「という変化をした瞬間にリーチをしたとしたら?」「?」 わからない。したらどうなるんだろう。「つまりね、345789索は6索ポンにより安全性が高い牌という状況変化があり安全牌候補になった。でもその状況変化があった瞬間にツモ切りリーチをかけたことによりその今の今安全性が高くなった牌たちを狙った手ではないかという疑いをかけなければならなくなったの」「あっ……」「つまりこのツモ切りリーチは6種もの安全牌候補を6種の危険牌候補にしてしまったということ。まあ厳密に言えば残り1枚の6索もだけど」「ヤバ……考えが深過ぎる!」 麻雀の深淵をひとつ知ったような、そのくらいの衝撃だった。どう読んでるかを読んだ上のさらに深く切り込む戦術。こんな、ツモ切りをするというだけの行為にそこまでの考えがあるだなんて。「まー、あとはね。なんとなーくそろそろツモりそうだしリーチとか。そっちがそうくるなら威嚇しとくべきかなー、とか」「そうそう、他にはソバテンになっちゃったから誤魔化すためにダマってたやつをそろそろリーチしよう。とかね」「つまり『ツモ切りリーチには様々なパターンがあるけどリーチする前巡にそのヒントがあるケースはかなり多い』と覚えておけば間違いない感じですか」「「そーーーー!! そーゆーことよ!」」「やっぱりあなた凄いわぁ」「麻雀の
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-01
Chapter: その2 第四話 覚悟の上なら痛くない13.第四話 覚悟の上なら痛くない「例えばさっきのはスジだったけど、こういうパターンもあるよ」 そう言ってマキさんはタコワサを咀嚼しながら牌を並べ始めた。俺もタコワサをつまんだ。大きめにカットしてあるタコが美味い。例三四②③④⑨⑨⑨23488「伍萬は当たり牌だ……」「形の上ではね。でもリーチしとかないと伍萬では役がない」「そうか、それでツモ切りリーチしとくと伍萬もアガリになるし高目の二萬も出やすいかも、ということか」「解説不要の理解力。気持ちいいくらい頭良いねキミ。お姉さん好きになっちゃいそ」「あ、私も!」「ちょっと……からかわれるのは慣れてないんで。それはやめてください、それよりもっと麻雀の勉強したいです」「ちえーー。ちょっと本気なのになー」 そう言う言葉と裏腹に顔は二人共いたずらっ子のそれだった。どう見てもからかってる。 まあ、いいか。嫌な気分にはならないし。それどころか、俺はこの時ちょっと幸せを感じていた。これは多分、人生で初めての『モテてる』という気分だ。からかわれてるとしても、全然いい。「あとはね、役があるけど見逃してるというパターンもあるのよ」「そうそう、安目だったりターゲットからじゃなかったりね」 「他には、巡目的にそろそろリーチしとくかなってのもあるわね」「もう待ってても仕方がないかって思える巡目になった、とかね」「具体的には?」と質問した。これだけでは少し分かりにくかったので。「具体的……そーね、あやの任せた」「うん、例えばね字牌のドラ単騎の七対子とかよ。7.8巡目を通過しても切ってこないようならそれはもう一生切る予定がないか持ってないかのどちらかだ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-31
Chapter: その2 第三話 ツモ切りリーチ12.第三話 ツモ切りリーチ「リーチ」 犬飼真希がリーチをかけてきた。今持ってきた牌をそのまま切っての急な方針変更。いわゆる『ツモ切りリーチ』だった。どんな意図があったのだろうか。 流局したので聞いてみると「一手替わり三色になる手替わり枚数が多い手だったからね。でも、待ってる間に手替わりの牌が減ってきたからリーチにしたの」 なるほど。 次局「おっ、これもアレだわ」「なに?」「ツモ切りリーチ」 そう言って今度はあやのさんがツモ切りリーチをしてきた。「ツモ!」 和了形を見ると二萬と⑥筒のシャンポン待ちなタンヤオだった。「これはなんでツモ切りリーチなんですか?」「うん、まずは私がリーチする直前の河(ホー)を見てごらん。」「河?」「あ、『河』っていうのは捨て牌のことよ。麻雀は山から持ってきて河に置くの」「へぇ。そういうのは動画じゃ説明してくれなかったなー」 勉強会なだけあり勉強になる。「直前の河……ね」 あやのさんのリーチ直前の全体図はとくに俺には特別なものを見つけられなかった。「これが?」「マキの捨て牌に伍萬が出てきたでしょう。これがツモ切りリーチの理由よ」 なるほど。ツモ切りリーチということは前巡と手牌は変わっていないわけで。伍萬がロンできない手組みであることが読み取れる。 麻雀にはスジという読み方がある。二萬のスジは伍萬だ。(麻雀はメンツを作るゲーム。メンツ構成は枚数の関係上シュンツメ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-30
Chapter: その2 第二話 夜の麻雀勉強会11.第二話 夜の麻雀勉強会 オムライスを食べた日。あのあとしばらく残っていたけどいつものメンツが集まらなかった。たくさんいたお客さんも次々と帰っていき、今はもう店内にあやのさんと俺しかいない。 仕方ないから連絡先を知っている犬飼真希に連絡すると『すぐ行く』とのことだった。「犬飼さんすぐ来るって」「そう、良かったわね。私は2人きりの時間がもう少しあっても良かったケド〜」「えっ?」「なーんてね♡ 冗談よ、冗談」「あ、そう……」 あまり心臓に悪い冗談は言わないで欲しい。ただでさえ非モテな俺だ。そういうノリには慣れてない。 しかし、すぐと言っても女性は家を出るのに支度する時間が必要なはずだ。けっこう待つかなと思って構えていたのだが……ガラガラガラ 本当にすぐ来た。「お待たせぃ。私に会いたかったんでしょ。イヌイ君」「うん。ていうか全く待たされてないけど。電話切って5分経ってないっすよ?」「あはははは! 元々ここに晩酌しに来るつもりで支度してたら電話鳴ったのよ。びっくりしちゃった。店内あやのと2人だけだって言うしー。こりゃいかん、と思って急いだよね」「何がこりゃいかんなのよ。私とイヌイさん2人でもいーじゃない!」「ダメダメダメ。絶対だめ。とくにこの季節の閉店時間近いラストオーダー後はだめ。あんた暑いからってエプロンとって1枚になるでしょ」「……なるけど」「それがだめなの。エロいのよ! あんたの身体は。若い男には刺激が強いわ。自覚しなさいー。そのどデカい胸や美しすぎるくびれ。凶悪だから」「はぁ〜〜い」 あやのさんはシュンとしつつもちょっと嬉
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-29
Chapter: その2『モテ期突入? 編』第一話 愛情たっぷり、麻雀オムライス10.ここまでのあらすじ ごく普通のサラリーマンである乾春人はある日昼食をとるために適当に定食屋に入るとそこには美人な店主と麻雀卓があった。そこでは皆が家族のように集まり食事と麻雀を楽しむのだった。 その店の名は『あやの食堂』、別名『麻雀食堂』。【登場人物紹介】乾春人いぬいはると 主人公。ごく普通の会社員。ひょんなことから麻雀をやるようになる。ゲームの才能はピカイチだが、麻雀はまだまだ素人な26歳。髙橋彩乃たかはしあやの あやの食堂の店主。基本的に1人で店を回している。得意料理は唐揚げ。その抜群に美味い料理と彩乃の美しさに惹かれてか田舎の町はずれにある定食屋にもかかわらず一定数の来客が必ずある。メタめた 正体不明の中年。乾に親切にしてくれて麻雀も優しく教えてくれる良い人。麻雀の腕は達者なようだが、その実力はまだよく分かっていない。 瓶ビールと冷奴が好き。犬飼真希いぬかいまき 乾によくしてくれる吊り目の美人。かなり若く見えるが年齢は45歳。「30歳くらいに見える」とお世辞じゃなく本音で言ってくれた乾をとても気に入って連絡先を交換する。麻雀は達者だが麻雀を教えるのは苦手。寒沢司かんざわつかさ カンの愛称で親しまれる若者。直感が優れており、そう簡単には放銃しない。あやの食堂の唐揚げ定食が大好き。
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-28
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第十話 精神衛生管理179.第十話 精神衛生管理「例えばドラ1の高めタンヤオつく3面待ちをテンパイしたとして、リーチした時にどんな事を思うだろうか?(一発でツモれ?)それとも(高めツモって裏乗れ!)かな? 私ならこの時こう思考しています。(ツモれなくていい、出あがりで構わない。一発なんかじゃなくていい。裏ドラなんかなくていい。安目で全然構わない。贅沢は言わないからただ、この手をアガらせて下さい)って」 そう久本カズオに語るのは佐藤スグルであった。 スグル曰く、この謙虚さが大事だと言う。 欲張りだと神様がどうのこうのとかいうのではなくて、これが精神衛生上よい働きをしてるという話だった。 仮に欲張りな思考法でいるとこの場合は『リーチ一発ツモタンヤオドラ1裏1のハネマン』をイメージしてしまうことになる。すると、この手がアガリにならなかったらそれだけで12000損した気持ちになり精神的に下がる。 しかしスグルの心構えならこの手は2600であり、不発に終わった所で(ああそうですか、また次だ!)とすぐに立ち直れる。 麻雀は大抵の場合は長丁場だ。一回不発に終わったからって凹んでいられない。 瞬時に切り替えていく強さは精神衛生管理が出来ていてこそであり、思考法ひとつとっても勝ち続けるための戦略なのである。 大きく期待しても良いことはない。敵の方が多いんだから負けて当然、だからどうした。むしろ困難だから楽しいんだろという気持ちで、何度でも立ち上がるタフな戦士となること。そういう部分がスグルの強さであり、カズオに全くない所であった。 そして今、カズオはリーチしている。カズオ手牌二三四②③④⑤⑤⑥⑥⑦66 ドラ⑦
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-02
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第九話 補助の空切り178.第九話 補助の空切り 予選決勝卓というのはトータルスコア上位4名が集まる半荘1回勝負の卓。トップか二着が本戦に進む可能性が高い。まれに決勝卓に集まった4人以外が別卓で猛烈に大きいトップを取ってトータルポイントで決勝卓のメンツを捲ることがあるが基本的にはこの4人から本戦出場者が決定されるとみていいだろう。 カオリとwomanはユキとカズオの丁度両方の手牌が見える位置にいた。 すると気付く。カズオのその丁寧な麻雀に。北家カズオ手牌三三②③④677北北(白白白) ②ツモ ドラ① このドラが①筒での②③④筒という面子。ここに②筒を引いた時にカズオは②筒を※空切りしたのだ。確かに、面子構成上不要牌であってもそれは空切りをするべき牌だ。(※空切りとは。持ってる牌と全く同じ牌を引いた時に持ってきた牌と手の内の牌を入れ替える行為のこと。読む相手のミスリードを狙って行う戦術のひとつ) なぜなら今後①筒(ドラ)を引いたら間違いなく④筒と交換するからだ。その時②筒はツモ切りで④筒手出しなら④↔①クイックが露見してドラを1枚持っていることが判明するが②筒手出し④筒手出しとなれば話は別だ。②→④の順の手出しなら①筒周辺である危険牌の②筒をまず処理していったカンチャンターツ処理とも見えるのでドラクイックは露見しない。 今は何も役に立たない空切りでも次の変化をした場合に役に立つ『補助の空切り』というものもあるのである。先の変化までよくよく考えたカズオの空切りは非常に良い戦術であるし、何より相手をリスペクトしているのが窺えた。ここまで丁寧にやるべきだと思って戦っている。《わかりましたかカオリ。いまの空切りの意味》(ドラ引きに備えてんでしょ。すごい丁寧な人でビックリした)《これこそが怠けない麻雀ですよ。いいものを見ました》
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-01
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第八話 持たざるものの矜持177.第八話 持たざるものの矜持 カオリは師団名人戦の一般予選会場初日の受付をやっていた。そういう仕事もプロになるとやったりやらされたりする。新人だと特に断りにくい。キチンと給料は出るので、まあいいかでカオリは今回引き受けていた。「そう言えばユウは?」「いまは麻雀教室(オールグリーン)のことで忙しいから今回は任せるって言ってました」(ほっ、良かった。ユウまでいたらいよいよ面倒なことになる。あのユウが予選落ちするとは到底思えない、参加されたら絶対に厄介なことになるのは容易に想像がつくものね)《随分と弱気じゃないですか、カオリ》(私はいつもこんな感じよ。過去に一度でも私が強気だったことなんてあった?)《……そう言えば無いですね》 色々な人がいたけど、今日の参加者36名の半数近くは高齢者だった。昔からあるクラシックルールというのがお年寄りには馴染みのあるルールなのかもしれない。 麻雀部の女子たちは集まって全員で気合いを入れた。「全員予選通過するぞー!」「「おー!」」 するとカオリが一言。「気合い入れてるとこ悪いんだけどさ…… 今日のこの東京1区予選会場からは上位2名しか予選通過しないからね? 今日の予選だけで全員通過は不可能よ」「ええっ!? うそお! 厳しすぎ!!」「大会予選ってそんなもんだよ。プロ予選だともっと通過しやすいんだけどね。だから、アマチュアなのにタイトル戦優勝とか準優勝してるユウはホントにすごいのよ」「へぇ~~」「さ、もうすぐ時間よ。私も仕事に戻るから、みんな頑張ってね」そう言うとみんな第一試合の卓に移動した。 アンだけは目の前の卓が第一試合だったのでカオリとまだ話していた。「カオリ先輩。私は必ず予選通過してみせます
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-31
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第七話 今が私の全盛期176.第七話 今が私の全盛期 左田純子は『全盛期』という言葉が嫌いである。こと麻雀においては年齢による衰えなどそうは無いと考える左田は「全盛期なら」などと言うのは言い訳にしかならないと感じていた。 弱くなったらそれは鍛錬が足りないだけ。『期』のせいにする者は日々鍛錬してない者。面倒くさがりな自分を認めたくない弱者の言い訳だ。 もう50代の左田はそれでも「私の全盛はいつだって『今』だ」と言う。 なので第30回雀聖位決勝戦最終局の5面待ちをツモれなかったことについても「全盛期の左田なら軽くツモっていたけどな」などと言う話をされるのが非常に不愉快であった。(舐めるなよ! 私はいつだって全盛だ! たしかに負けた。だが、それは相手だって強いんだから当たり前に起こる事。私が衰えたわけじゃない。むしろ私は…… まだ、これからだ!!) 自分はまだ成長する! これからが一番いい所なんだと。そう言う左田は出版社で新しい企画となる『月刊マージャン部』の編集をする傍らプロ活動にも力を入れた。「私の勝負はまだこれからだ!」それが左田純子の口癖であった。◆◇◆◇ 中條ヤチヨには物語を作る才能があった。就職先が決まったヤチヨはみんなが勉強してる時間に小説を書いていた。 それは『気付いたら年がら年中牌♡握ってた』というタイトルの実話を元にした青春小説だった。ヤチヨがなぜ麻雀部に入ったのか。どうしてこんなにハマってのめり込んでいったのか。今はもう生活の一部になったこの麻雀。それについて熱く語る主人公と、そのライバルや友人の物語である。ヤチヨが麻雀部でも抜け番にそれを書いていて、マナミがふと気になってそれを読んだ。「なにこれ凄い面白いじゃない! 物語のパートだけでなく麻雀の戦術パートもあって解説付きで理論的! しかも、これは私たちで開発した新戦術
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-30
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第六話 クラシックルール175.第六話 クラシックルール カオリはwomanとの別れが近いことを知り、このままではいけないと思った。私もタイトルを獲らないと! と。 これはとてもバカな考えである。タイトルなんてそう簡単に獲れるものではない。生涯に一度でも獲れたものなら大偉業という話なのであるが、何せマナミ、ミサト、ユウという同世代の3人は既にタイトルホルダーだ。カオリがそう思ったのも仕方ない。C3リーグを繰り上げ1位昇級というのも立派な実績なのだが、カオリにはまだその価値はわからない。 カオリは6月から予選が始まる競技麻雀業界史上最も格式の高いタイトル戦『麻雀師団名人戦』に参加することを決めた。ちなみに去年は参加していない。参加は義務ではないし、ルールも30000点持ちだったり飛びなしだったりと普段のものと違った『クラシックルール』を採用しているからまた一から覚えてそれ用の戦略を考えるのが面倒だったのもあった。 しかし、今年の師団名人戦は決勝戦が11月10日なのでギリギリ間に合う。カオリの誕生日は11月11日だ。womanに優勝した所を見てもらうにはこのタイトルを獲るしかない。 クラシックルールに精通しているのはプロ歴の長い成田メグミや杜若アカネだ。彼女たちに教えてもらいながら師団名人戦へ向けてカオリの特訓が始まった。◆◇◆◇ 一方、三尾谷ヒロコと中條ヤチヨは最近麻雀部によく来ていた。「あんた達3年生でしょ。私が言うのもなんだけど毎日遊びに来てていいの?」と心配するのは佐藤ユウだ。ここは佐藤家。当たり前だがユウはだいたいの日はここにいる。「いいのいいの、勉強は学校でちゃんとしてますから」と言うヒロコは大学進学を目指しているはずだが、本当に大丈夫なのだろうか。「私は高校卒業したら鹿島の叔父さんがセット雀荘オープンさせたらしいからそこ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-30
Chapter: 第1部 一章【財前姉妹】その13 第伍話 発熱174.第伍話 発熱 4月20日。明日はマナミの誕生日だ。ついにマナミも明日で二十歳。大人とされる年齢である。 その日の夜、マナミは夢を見た。○○○○○〈財前真実さん。ずいぶん強くなりましたね〉「だ、誰?」〈私はラーシャ、あなたに憑いたラシャの付喪神です〉「ラシャ? 麻雀マットのこと?」〈そうです。あなたがお姉さんからもらった麻雀マットを何年も大切に手入れしたので付喪神の私が憑いたんです。私はあなたの勝利をきわめてさりげなくアシストすることに徹していました。 あくまでお手伝いという形で、答えを教えることはせず〉「あっ、たまにビリッとくるのはもしかしてアナタがやってたの?」〈ええ、余計なお世話かとも思いましたが、でも最近は明らかに間違えた選択などはしなくなって来ましたよね。なので、私からのアシストはもう終わりにします。いいですよね。もう大人ですから。神様がいるのは小さい頃だけってのは物語のセオリーですし〉「えっ、いなくなっちゃうってこと?」〈私はいつでもラシャに宿っていますよ。ただ支援しなくなるだけです。見えなくても、聞こえなくても、いつもマナミのそばに――――ピピピピ! ピピピピ!ガシャ! 目覚まし時計が鳴ってそこで目が覚めた。今日は土曜日だがマナミは早番の日なので起きなければならない。 誕生日の日くらいゆっくり休んだら? とカオリは言っていたが早番でさっさと仕事を終わらせて、その後でゆっくりすることにしたのだ。「なんだか、変な夢を見てた気がする……」(断片的にしか思い出せないけど…… 私には付喪神が憑いてて、でももう大人だからいなくなる…
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-29