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第8話

Author: カミちゃん
そうね、どっちもどっちだわ。同じような人同士が引かれ合うのね。

私は話題を変えて提案した。

「お義母さん、バーに行かない?イケメンだらけのところよ」

話が終わるや否や、私はオープンカーで義母を連れてバーへと向かった。

義母は初めてのこういう場所で、私が一緒だからか、とても楽しそうだった。

たくさんお酒を飲んで、私に色々な話を打ち明けてくれた。

辛い話になると、涙を流していた。

泣けば泣くほど、余計な思いも流れていくというもの。

義母と夜遊びをした代償は、私たち二人が肩を組んでフラフラになって帰宅した時に現れた。

残業から帰ってきたばかりの大輔と鉢合わせてしまったのだ。

私たちを見た大輔は険しい表情を浮かべていた。

義母を部屋に送り届けた後、大輔は私を寝室に引っ張り込んだ。

彼の眉間のしわを見て、私は手を伸ばして伸ばそうとした。

でも逆に両手を掴まれ、壁に押し付けられた。

「奈津美、随分と図太くなったな。お母さんをバーに連れて行くなんて」

私はまだ酔いが回っていて、ぼんやりした頭で彼から逃れてベッドで寝たいことしか考えられなかった。

「あなたには分からないのよ。イケメンをたくさん見れば、昔の恋人なんて忘れられるわ。

見聞を広めなきゃ、未来も見えてこないでしょう?」

大輔の眉間のしわは更に深くなった。

「じゃあ俺は新しい恋人なのか、それとも古い恋人なのか?

見聞を広めた今、俺から離れて未来に向かうつもりなの?」

明らかに嫉妬している様子に私は笑みを浮かべ、身を乗り出して彼ののどぼとけに噛みついた。

そして耳元で囁いた。

「あなたが私の未来よ」

私に挑発された大輔は息を荒くし、私の手を放して代わりに腰を掴み、抱き寄せた。

容赦なく唇を奪ってきた。

私は彼のキスで頭が真っ白になり、足がふらつき、全身を彼に預けるような形になった。

大輔の表情から怒りは消え、艶めかしい色気を帯びていた。

もっと近づいて、彼の腹筋に触れたかったのだが、お姫様抱っこで抱き上げられてベッドに投げ出された。

一晩中、思う存分触らせてもらった。

翌日の昼、目を覚ますと全身が筋肉痛だった。

大輔はすでに出勤していて、テーブルには彼が用意した朝食とメモが置いてあった。

「次にゲイバーに行きたくなったら、俺も一緒に行くよ」

なるほど、昨日私が義
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