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第618話

Penulis: 小春日和
「離婚してなかったら、こんなところに座ってませんわよ」

真奈のあっけらかんとした一言に、場の空気が一気に和やかになった。

コメント欄はさらに沸き立った。

【離婚してなかったら座ってないって、名言すぎる!ストレートすぎて逆に気持ちいい】

【この子、絶対まだまだ爆弾持ってる気がする。ほんと、裏表なさそうで!】

【てか、秋月……ちょっと踏み込みすぎじゃない?】

……

真奈の率直な態度に、コメント欄の支持は一気に高まった。

そんな中、秋月がまたも興味津々に声を上げた。「理由って……あの写真のことですか?」

まるで核心に触れるかのような、しかしどこかぼかした言い方。カメラはしっかり秋月にズームインした。

コメント欄はさらに騒然。

【うわ、聞いた!マジで聞いちゃったよ!現代のヒモ王って言いそうだった!】

【マジかよ、本当に聞いちゃうんだ!逆にすごい】

【お願い、答えて瀬川さん!国民みんな知りたがってる!】

……

ディレクターは配信画面に次々と流れ込む100万超えのアカウントを見て、思わず息をのんだ。

視聴者、どんだけゴシップ好きなんだよ。親戚一同総出で見に来てるんじゃないか、これ……

「――あの人は、私の恋人ですよ」

真奈のその一言が、まるで火種に油を注いだかのように、ネットを一瞬で沸騰させた。

【彼氏!?はい注目!彼氏です、ヒモやホストじゃなくてね!】

【これはガチでデカいネタ、今日のゴシップは当たり回】

【誰か冬城総裁の表情に気づいて……ブラックホール並みに暗いよ?】

……

真奈のぶっちゃけた回答に、秋月はさすがにそれ以上追及できなくなった。

「ってことは……あなたたち、もうずっと前に離婚してたの?」

そう口を挟んだのはウェンディだった。彼女の視線は、冬城と真奈の間を行ったり来たりしている。

真奈は言った。「とっくに離婚してましたの。ただ、いろんな事情があって公表できなかっただけです。今回たまたまバレたけど、私にも冬城にも、ある意味でいいきっかけになったんでしょう?ねえ、冬城総裁?」

そう言って彼女が視線を向けると、冬城は相変わらず感情を見せない表情のまま、静かに答えた。「……ああ」

【えっっっ!?とっくに離婚してたの!?】

【ビジネスの理由で離婚を公表しなくても別に問題ないでしょ?そもそも一般人なら、発表義務ないし
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