289.魅力的な女性

瑛斗side

「ああ。それより神宮寺会長と華さんのところ行ってきたんでしょう？二人はどんな様子だった？」

「会長は、大変ショックを受けて一人にさせて欲しいと部屋に籠ってしまったよ。華は、会長を支えると言って気丈に振る舞っていた」

「そうなんだ。華さんは強いね。本当は華さんだってつらいと思うのに。でも、本当に大丈夫なのかな？」

「それが……弱音を吐ける相手はいるかと聞くと『大丈夫だから心配しないで』と笑顔で言われてしまったんだ」

「え、それってどういうこと？相手がいるの？」

「俺に聞くな！！むしろ俺が聞きたい方だ。ただこの前、華が男と歩いているのを見た。北條湊という茶道家で、その男の仕事の手伝いをしているそうだ」

空に八つ当たりすると、空は苦笑して仕返しのように意地悪く返してきた。

「華さんって魅力的な人だもんね。美人でおしとやなか雰囲気だけれど、芯の強いところもあるし、惹かれるのは分かる気がするよ」

「……空は、一体何が言いたいんだ。俺を煽っているのか」

「違うよ。瑛斗は、華さんのことが忘れられないんでしょう？瑛斗のお父さんは華さんとの再婚