もし州平が背後で手を貸していなければ、清ひとりの力で会社を設立するなんて到底不可能だった。ましてや、今のような成功を手にするなんて、夢のまた夢だ。かつて梨花は、命を懸けるような愛で彼を支えていた。孝典がどれほど割って入ろうとしても、その隙間すらなかった。だが今、その愛に裂け目ができた。それは清自身が蒔いた種だ。孝典には確信があった——その小さな亀裂を少しずつ広げていけば、いずれは完全に砕け散ると。……大使館。希実は車中でずっと泣き続けていたが、それでも海咲と州平の決意を変えることはできなかった。車が停まると、海咲はドアを開けて外へ出た。そして後部座席に回り、希実を車から連れ出そうと
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