Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 791 - Bab 800

908 Bab

第791話

唯花は手羽先を手に持ち食べながら言った。「あなたに話してないことがあっただけで、家族だと思ってくれてないとか怒りだして、喧嘩を始めたでしょ。それなのにあなたは何よ?九条さんとお酒を飲みに出かけたこと、私には黙ってたじゃないの。おかげで私は悪夢を見ることになったわ」理仁は少し黙ってから言った。「あれは俺が間違ってたよ。今度悟と出かける時は、必ず君も連れて行くからさ。酒を勧められたら君が代わりに断ってくれよ、君が言えばあいつらも強要はできなくなるだろ」「そんなことしたら、みんなにあなたは尻に敷かれてるって思われるわよ」「そう思いたいなら、思ってればいいさ。あいつらはまだ独身だから、奥さんの尻に敷かれたいと思ってもできやしないんだ」その言葉を聞いて唯花は大笑いした。彼が怪我したり病気になるようなことをしなければ、彼女もそんなに彼に口うるさくするつもりなどない。食べて飲んで満足した後、唯花はもう一度持って行く物がきちんと揃っているか確認して、問題ないことがわかってから、夫婦は出かけていった。先に三匹いるペットと車の鍵を唯月に渡しに行った。唯月は夫婦が来てから、ようやくこの二人に正月祝いを手渡すことができた。理仁は妻を乗せて結城家の実家で正月を迎えるために車を走らせた。彼の実家は結城家の先祖代々が残したお屋敷で、昔の雰囲気に溢れていることは事前に聞いていて知っていたのだが、実際にそこに到着すると唯花は驚いてしまった。これは大昔の金持ち家ではないか。高層マンションではなく、全て古き良き雰囲気の漂う昔の建築物で、敷地内を囲む塀も非常に高かった。どこもかしこも監視カメラだらけで、安全面においては何も文句がないほどだ。敷地内にある東屋や書院、くねくねと曲がった回廊、日本庭園など、その屋敷へ一歩足を踏み入れた瞬間、まるで大昔にタイムスリップしてしまったかのようだった。「理仁さん、あなたがこの年代に生まれていたら、正真正銘の御曹司じゃないの」理仁は唯花をつれて結城家の古い屋敷内を案内し、その環境に慣れさせていった。彼女の言葉を聞いて笑って言った。「俺はその年代には絶対生まれたくないね、君に出会えないから」彼は現代でも正真正銘の御曹司であるわけだし。理仁の芝居に合わせるために、結城家の人間はみんな一足先にこの古い屋敷のほう
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第792話

「そうは言っても私ももう年だもの。毎日毎日を有難く過ごしている身なのよ。私がお星さまになる前に、あの子たちが結婚して子供を産んで、ひ孫の姿を見てみたいわ」彼女は星城市内に赴き、残りの結城家の若者世代に良い女性を探しに行こうと決めた。そして、彼らには自分が気に入った女性を口説かせるという任務を与えよう。もしその任務を遂行できなければ、八月末にあるおばあさんの誕生日パーティーには参加する資格を与えてやらない。「おばあちゃん、おばあちゃんは絶対に長生きするから」「私だってそう願っているわよ。女の子のひ孫に会いたいもの」女の子のひ孫が欲しいという話題になると、おばあさんは唯花のお腹を凝視した。そして唯花は申し訳なさそうに言った。「おばあちゃん、見る必要もないわ。私今日生理が来たばかりだから」おばあさん「……」理仁があんなに頑張ったというのに、まだお腹の中に娘はできていない。辰巳たち数人が市内に逃れた後、理仁と唯花もそんなに長くは留まらず、一月六日には市内へ戻ってきた。そして、あと数日の休みを利用して、理仁は毎日彼女を連れていろんな所へ遊びに行った。彼ももう誰かに出くわすのではないかとこそこそ動くことはなかった。それで、多くの人が様々な観光地でこの結城社長を目撃することになった。だから結城社長のあの謎に包まれていた愛妻も目撃したのだった。彼女はかなりの美人で、彼らはなんだか見覚えがあるような気がしたが、その名前まではわからなかった。彼らは結城夫妻に近寄って挨拶するような勇気もなく、みんなこっそりと写真を撮っていた。理仁は唯花に対してとても優しく気遣っていて、その溺愛ぶりといったら異常だった。その様子が他人の携帯には煌びやかな景色として映っていた。それで理仁自ら世間に知らせるまでもなく、勝手に広まっていった。そして、結城社長は妻を溺愛していると有名になったのだ。楽しかった正月は過ぎ、人々はそれぞれ仕事や学校に戻っていった。そして、あっという間にバレンタインの時期になった。唯花は一向にバレンタインデーなど特に気にする様子はなく、高校も始まって店が忙しくなり、明凛と一緒に朝早くから店で掃除したり、商品を並べたりしていた。二人はとても忙しそうにしていた。しかしこれと同時刻、理仁はスカイロイヤルホテルのペントハウス
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第793話

理仁の表情はとても優しかった。記者たち「……」あの結城社長がまさかここまで妻を溺愛しているのか。ただ奥様の名前を聞いただけだというのに、こんなに表情を和らげるのだ。記者たちは最近になってようやく、結城社長が妻を連れて遊びに出かけた時に見せる柔らかな表情を盗撮するのに成功していた。以前も結城社長を見かける機会はあったものの、彼はずっと冷たい表情をしていて、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。愛の力というものは、本当に偉大だ。こんなに冷徹な人間をここまで優しく思いやりある人間に変えてしまうのだから。「私の妻はどこかの名門家のご令嬢ではありませんよ。でも、彼女は結城家の若奥様という立場の人間ですから、すでに名家の貴婦人であることには違いありませんね。彼女の名前は内海唯花、今年二十六歳です。実際誕生日はまだ来ていませんがね。今年二十六であることには変わりないですが、今二十六歳って言ったら妻は認めないかもしれませんよ」若奥様の話になっただけで、今まで無口だったあの結城社長がこんなに饒舌になってしまうとは、これは驚いた。待てよ、内海唯花だって?「社長、奥様のお名前は『内海唯花』さんとおっしゃるんですよね?」この質問をした女性記者は非常に驚いた様子で理仁に確認した。理仁は彼女のほうを向くと、その瞳は一瞬にして深く沈み冷ややかなものへと変わった。表情もいつもの冷たさに戻り、鋭い口調で言った。「妻の名前が『内海唯花』であることが何かおかしいんですかね?」この普通の一言が結城理仁の口から発せられると、その言葉は厳しく冷ややかな空気をまとい、その女性記者を縮こませてしまった。しかし、彼らのようなメディア関係者たちは今までにどのような人間も追いかけ接してきた経験がある。理仁は確かに冷たい人間ではあるが、教養の深い人で、そんなに簡単に誰かを罵ったり、追い出したりするようなことはしない。だから、その女性記者は少し尻込みはしたものの、続けて口を開いた。「結城社長の奥様のお名前は別におかしなところがあるわけではありませんよ、ただ、どこかでお聞きしたような気がしたもので。そうだ、確か去年の十月に、ネットで不孝者の孫娘だと話題になっておられた方では?」女性記者は唯花のことを思い出した後、両目をキラリと輝かせた。唯花にはいろいろな情報が隠されていて
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第794話

「私自身もとても幸せだと思っていますよ」理仁のあのこわばった表情がまた和らぎ、再び優しい顔つきへと変わった。口元も思わずほころび、幸せそうな笑顔を見せた。彼が風邪をこじらせ、唯花が夜中に急いで飛行機で駆けつけてくれて、毎日吐きそうになりながら大量の漢方薬を飲まされるという世話を受けることになったわけだが、間違いないのは彼女が彼を愛しているということだった。そして、甘いハチミツのとろけるような幸福を全身に感じられたのだ。「あの、結城社長と奥様はスピード結婚でいらっしゃるんですよね?」理仁はそれに正直に答えた。「その通りです。彼女と結婚手続きをするその日まで、一度も会ったことはありませんでした。ですが、彼女はうちの祖母を救ってくれた命の恩人ですから、彼女のことは知っていたんです」「つまり、社長が彼女と結婚なさったのは、おばあ様の存在が大きいと?」「そうです。祖母のおかげで唯花さんとスピード結婚することになったんです。しかし、今では祖母にはとても感謝していますよ。もしあそこまでしつこく結婚しろと言われていなければ、きっと唯花さんとは結婚できていなかったでしょうからね」「社長、私どもは、本当に意外でした」結城社長のような方でもスピード結婚を選ぶものなのか。彼らは本当にそんなことは夢にも思っていなかった。それで結城社長が結婚してから数カ月経っているというのに、全く結婚したということを公にはしていなかったわけだ。そんなことをすれば、妻である内海唯花の日常を壊してしまうことになるのだから。それが今日、彼らのインタビューを受けることにしたということは……つまり、結城社長は結婚していることを公にすると決めたからなのか?数人の記者は突然テンションを上げた。彼らによって、結城社長が結婚しているという事実を世間に知らせることができるのは、とても光栄なことだと感じたのだ。「では、社長がスピード結婚をなさってすぐの頃、将来今のように奥様を溺愛するようになると想像されましたか?」理仁は笑って言った。「思っていませんでしたよ。明日のことだって誰にもわからないものでしょう?どのみち私にはそんな未来予知能力なんてありませんね、あなた方にはありますか?もし、あるなら、私と妻の第一子が男の子か女の子か予測してもらえませんかね?」それを聞いて、
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第795話

「社長、どうしてアクセサリーを三十セットも贈られるのですか?何か意味がおありで?」理仁は何も考えずにこう言った。「特に何も意味なんてありませんよ。一カ月はだいたい三十日でしょう。うちの唯花さんに三十セットプレゼントしておけば、一カ月毎日違うアクセサリーを付けられる、ただそれだけですが」それを聞いたその場の記者たちは、理仁のあまりにも常軌を逸した考えに唖然とした。本当に羨ましすぎる。男性記者でさえもそれを羨ましいと思っていた。だが、彼らは理仁とは住む世界が違うので、そこまで打撃は受けなかった。でなければ、結城社長と比べられて、彼女を探すのも難しくなるだろう。結城社長は本当に周りの男たちを追い込むようなお人だ。「社長、奥様は神崎夫人の姪子さんでいらっしゃいますよね。あなたと神崎社長とは不仲ですが、今後、奥様のためにも、神崎グループとは関係を改善させるおつもりですか?それから、神崎家のご令嬢は当初、あなたに公開告白をして、ずっと追いかけておられましたよね。今、ご令嬢と奥様は従姉妹同士ですが、それにはどう向き合われるおつもりですか?」理仁はそれには淡々と答えた。「プライベートでは我々両家は親戚同士ですが、ビジネス上では状況が異なります。相手も私もどちらも譲るようなことはせず、自らの実力で勝負していくことでしょう。神崎家のお嬢さんからは好意を寄せていただきましたが、私が愛しているのは唯花さんです。私の生涯を通して妻は彼女ただ一人だけです。私たち夫婦はもう一生一緒にいると誓い合いました。死ぬまで離れることなんてありません。私も別に何も悪いことをしていませんよ。真っ向から神崎お嬢さんとは向き合うだけです」記者はまた尋ねた。「私の知るところでは、社長はまだ神崎家へ訪ねられていませんよね」「神崎夫人は一家で正月は旅行に行かれたらしく、神崎社長以外はまだ戻られていないみらいです。それなのに神崎家の邸宅を見に行く必要でも?」記者は黙ってしまった。理仁はなんとも軽々とそう言ってはいるが、記者たちは神崎家が結城理仁こそが内海唯花の夫であると知ったら、一体どんな反応をするのか非常に興味深かった。それに、神崎お嬢様と内海唯花の関係は非常に良好だ。この二人はお互いに従姉妹同士だと知る前に、一度会っただけで気が合い、親友になったのだ。そして
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第796話

理仁は聞き返した。「おかしいですか?兄弟たちも料理はできますよ。うちの結城律の腕はスカイロイヤルのシェフよりも上ですが」女性記者たちは再び羨ましそうに言った。「奥様は本当にお幸せですね」「私こそ幸せな奴ですよ。唯花さんは私にとても尽くしてくれていますからね。彼女の料理もすごく美味しいんです。彼女が料理する時はいつも私が好きな家庭料理を作ってくれるんです」これ以上理仁に質問し続ければ、ここにいる記者たちは全員羨ましくて頭がおかしくなりそうだ。この夫婦は一緒にインタビューを受けていないが、結城社長の話と彼の表情を見るからに、彼らの結婚生活はとても幸せに満ち溢れているらしい。それからまた結婚生活のことを詳細に聞き、記者たちは今回のインタビューを終えることにした。「そうだ。みなさん、今後私の妻を追いかけるような真似はしないでください。何か質問があれば私のところへどうぞ。時間を作ってインタビューを受けますので。妻は静かに、平凡な日々を過ごすのが好きなので」彼らは急いで「結城社長の許可を得ない限り、奥様のお邪魔をするようなことはございません」と約束した。やっても盗撮するくらいだ。内海唯花を囲むような真似などできはしない。理仁はボディーガードを呼んできて、記者たちを見送らせた。記者が去った後、理仁は親友に電話をかけた。悟は電話に出ると言った。「理仁、君、まだ正月休みボケから抜け出せていないんじゃないか?仕事は始まってるんだ!君が会社に来ないなんて、この会社は一体誰のものかわかったもんじゃないな!」今年も仕事が始まってから、悟は忙しく走り回っていた。以前であれば、理仁がいたので悟もとても楽ができた。しかし、理仁が会社に来なければ、何をするのも悟が中心になってやらなければならないので、彼は我慢できずに不満を漏らしていた。結城家の会社であるのに、悟が牛馬のように働かなくてはいけないのだ。しかも今日はバレンタインだ。彼は夕方早めに仕事を終えて、明凛に花束を贈り一緒に食事に行こうと思っていたのだった。彼はすでに花屋に電話して、花束の予約をしてしまっている。「悟、俺はさっき記者からインタビューを受けていたんだ」「何のインタビューだ?」理仁は彼にそれを教えていなかった。彼は最近明凛にアプローチしていて、彼女に九条家
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第797話

理仁は表情を暗くした。「悟、励ましたり、応援したりちょっとくらいできんのか。俺は自信がないんだよ。唯花さんが本当のことを知ったら一体どんな反応をしてくるだろうか」「もちろん応援するさ、全身全霊で応援しまくるって。心の支えにもなってやるよ。君が何をしたって、俺は永遠に君の味方さ。理仁、俺は昔からずーっと君の忠実なる僕だぜ。理仁、頑張れ!たとえ天が降ってきても君は背が高いからきっとそれを持ちこたえられるだろう。大丈夫だ、最悪玉砕でもしろよ」理仁「……」「だけどさ、これ以上隠し続けて、万が一ある日奥さんに真実がバレたらさ、彼女はきっともっと怒りを爆発させると思うぞ。もしかしたら、君のことを捨てて離婚してやるとか言い出すかも。だから、その嵐を全身でしっかり受け止めろよ。突然の嵐が来たら、太刀打ちできないぞ。もし、奥さんが怒って君を無視するようなら、俺らは仲間同士だな、はははは。俺も毎日毎日君ののろけ話を聞かずに済むってもんだ」そして二人仲良く愛する者を追い求めようじゃないか。理仁「……なんだかこんな電話などに出ないほうが良かった気がするな。お前はまるで人の不幸を楽しんでいるようだ。椅子にポップコーンでも用意して、俺の近くでどうなるのか見るつもりだろう」「さすが俺をよく知る男、結城理仁だな!」悟は堂々とそれを認めた。彼は面白いものを見る気満々なのだ。「理仁、どうであれ、君はもうこの道を歩き始めたんだ。奥さんがどんな反応を示しても、君はそれに向き合わないとな。そうだ、今日はバレンタインだろ、君にはこういうイベント事の感覚もわからなければ、ロマンチックの欠片もない人間だ。だから、良かれと思って教えてやるよ、奥さんに花束を買ってあげるんだ」理仁は言った。「俺は唯花さんに一万円札百枚で作った花束を用意しているぞ。後で店まで持って行くんだ。それから、アクセサリー三十セットだ。どのセットもデザインは全く違う。そして、別荘に新車まで用意してある。なあ、これだけあれば足りると思うか?他に何か準備する必要があるだろうか。あ、あとブランドバッグを三十個買うべきだろうか、一カ月毎日違うのを持って出かけられるぞ。それから、服に、スキンケア、化粧品に、ああ、お前が教えてくれないから、準備が足りないことに今まで気づかなかったぞ」悟「……この、男の敵
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第798話               

書籍を注文して店舗に届くまでには結構時間がかかる。だから、彼女たちは高校生が大学入試試験の準備をしているこの時期、彼らが必要とするであろう大学入試用の参考書や問題集を多めに店に置いておく必要があった。星城高校に通う生徒たちが多く受験するであろう大学を調べて、その大学の赤本を業者に頼んでおくのだ。明凛はモップを元の場所に戻してから言った。「昨日の夜業者さんに聞いて、リストは作っておいたわ。私のかばんに入ってるよ。それを取り出して目を通してから業者に電話して、急ぎで届けてもらいましょ」センター入試前から第二次試験が行われる二月、三月あたりは高校生が受験する大学の問題集や、先生から勧められた学習資料などを買いに来るので、彼女たちの本屋は一番忙しい時期だった。唯花はすでに姉と清水に手伝いに来てもらうよう連絡してある。唯月の弁当屋のほうは、もう内装業者に連絡済みで、費用ももう相談してありそろそろ工事が始まるのだった。その工事が始まる前の期間は、唯月は妹の店を数日ほど手伝うことができる。「見てみるね」唯花はレジの後ろに行き腰かけると、明凛のかばんからそのリストを見つけて、パソコンをつけ、書籍リストを入力しようとした。明凛もやって来た。彼女は椅子を引っ張ってきて、唯花の隣に座ると、唯花がパソコンを起動させるのを見ていた。パソコンを開いた後、唯花はいつもと同じように音楽アプリを開いた。彼女はここで歌を聞くのが好きなのだ。そして、ある歌を流し始めた。「またこの曲なの、本当に好きだよね」「うん、理仁さんの車に乗ってる時に、この曲を流してて、すごくいい歌だなって思ったの」「そうだ、今日はどうして結城さんは音沙汰ないわけ?」明凛が突然尋ねた。唯花はその意味が理解できず尋ねた。「彼が音沙汰なくて何だって?今日は何かあるの?」明凛は笑って言った。「カレンダー見てみなよ。今日が何の日なのかすぐわかるから」「二月十四日でしょ、何か特別な日?」唯花はそう尋ねてからやっと気づき、笑った。「ああ、バレンタインね。私そういうイベント事とか全く気にしないからさ。私と理仁さんは仲良くやってて、毎日がバレンタインデーみたいなものだし。それに、仲が悪ければ、バレンタインデーなんか関係ないしね」「あなたがイベント事に興味ないのは知っ
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第799話

結城社長の奥さんが一体誰なのか、これは今明凛が一番知りたい人物だった。社長夫人にはあの冷徹な結城社長をあそこまでの愛妻家に育てられるすごい力があると思っているのだ。最近も、その愛妻への溺愛っぷりに関する噂をよく耳にしていた。彼女は悟に、社長夫人と知り合わせてほしいと頼んだことがある。悟は結城社長が最も信頼している人物で、早くから彼がすでに結婚していることを知っていたのだ。それならば、彼は絶対に社長夫人に会ったことがあるはずだ。しかし、そのお願いは悟に断られてしまった。結城社長自ら公にしない限り、彼らも結城社長の正体を他所にばらすわけにはいかないと言われたのだ。それで明凛はここ数日悶々としていた。悟は今彼女に好意を寄せているのに、このようなお願いをされてもそれを拒否してしまうくらいだ。そこからも結城社長が妻を守ろうとする強い思いが感じられる。芸能トップニュースに上がってきたくらいだから、一体どんな内容なのか見てみなければ。「何がおもしろいの?彼はすでに既婚者なのよ、どうせ別に変わった内容じゃないでしょ」唯花は失笑して言った。「あなた達噂好きは彼の奥さんが一体誰なのかものすごく知りたがってるけど、彼女の正体なんて私たちには関係ないでしょ?会うことだって難しいのに」ましてや社長夫人に夫の手懐け方を請うなんて、もっと難しいのだ。自分と理仁の仲は今非常に良く、いわゆる熱々のラブラブだ。唯花はわざわざ社長夫人に夫の手懐け方など教わる必要など今はない。今や理仁は十分すぎるほど彼女を溺愛している。「誰だって結城社長の奥さんが誰なのか知りたいに決まってるでしょ?姫華と電話して話してる時、誰かその奥さんの正体を知っている人はいないか聞いてきたもの」明凛と唯花が入れ替わったとしたらどうだろう。唯花が興味がないことは、明凛のほうは興味津々なのだ。「姫華は私にそんなこと言ってなかったけど」姫華は今また旅行に行っていて、今は星城にはいない。明凛はそのゴシップ記事の全文をクリックして開けながら言った。「姫華はあなたは全く興味がないって知ってるし、聞いても意味がないってわかってるからよ。それと比べて私は超、他人の噂話に興味津々でしょ、それに九条さんとも知り合いだしさ、姫華はきっと私が一番真っ先に社長夫人の正体を知るもんだと
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第800話

なるほど唯花と伯母がDNA鑑定をした後、理仁はすぐに出張に行ってしまったわけだ。それは伯母である神崎夫人との接触を避けるためだったのだろう。つまり彼のその高貴な身分がバレてしまうのを恐れていたのだ!スピード結婚をしてから今に至るまでの四カ月のことを、唯花は頭の中で一つ一つ思い返していた。そして、彼女の顔色はだんだんと青くなっていった。明凛は唯花がマウスを持つ手が震えているのに気づいた。「唯花、唯花、ちょっと大丈夫?しっかりして」明凛は唯花のこの時の反応に驚いてしまった。唯花をポンポンと叩いたり、体を揺さぶったりした。しかし、唯花はまるで人形になったかのように座ったまま全く動かず、いくら明凛が何か話しかけたり、叩いたり、揺さぶったりしても、ひとことも発しなかった。彼女はそのまま呆然とパソコン画面に映る理仁の端正な顔の写真を見つめていた。彼だ、間違いなく彼だ!彼は彼女の夫なのだから、彼女が間違えることなど有り得ない。彼らは最も親密な関係である夫婦で、彼女がどんどん信頼を寄せるようになった夫である。そんな彼がまさか大噓つき野郎だったとは。初めから今に至るまでずっと彼女を騙し続けていたのだ!「唯花、なんとか言ってよ、びっくりさせないで。あなたのこんな様子見てたら怖くなってきちゃった、私……唯月さんに電話をかけるわ」明凛は呆然としている親友を呼び覚ます術がなく、急いで携帯を取り出すと、唯月に救援を要請しようと電話をかけようとした。この時の彼女はかなり慌てていて、すぐには唯月の携帯番号を思い出すことができず、携帯の連絡先の中から探すしかなかった。暫くして、明凛はようやく唯月の新しい携帯番号を見つけ出した。慌てすぎてうっかり何度も見過ごして、見つけられなかったのだ。唯花の今の様子は、はたから見ているだけでも、非常に心配するほど恐ろしかった。その顔は、血の気が引いて真っ青になっている。この時、唯月は彼女の店にいた。そして、明凛からの電話に出て尋ねた。「明凛ちゃん、どうしたの?唯花に伝えて、私今日は昼そっちに行って食べないから」彼女は妹から昼食に来るように催促される電話かと思ったのだ。「唯月さん、今どこにいますか?時間あります?今すぐ急いで来てください!唯花が……」それを聞いて、唯月の顔からも血の気が
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