唯花は手羽先を手に持ち食べながら言った。「あなたに話してないことがあっただけで、家族だと思ってくれてないとか怒りだして、喧嘩を始めたでしょ。それなのにあなたは何よ?九条さんとお酒を飲みに出かけたこと、私には黙ってたじゃないの。おかげで私は悪夢を見ることになったわ」理仁は少し黙ってから言った。「あれは俺が間違ってたよ。今度悟と出かける時は、必ず君も連れて行くからさ。酒を勧められたら君が代わりに断ってくれよ、君が言えばあいつらも強要はできなくなるだろ」「そんなことしたら、みんなにあなたは尻に敷かれてるって思われるわよ」「そう思いたいなら、思ってればいいさ。あいつらはまだ独身だから、奥さんの尻に敷かれたいと思ってもできやしないんだ」その言葉を聞いて唯花は大笑いした。彼が怪我したり病気になるようなことをしなければ、彼女もそんなに彼に口うるさくするつもりなどない。食べて飲んで満足した後、唯花はもう一度持って行く物がきちんと揃っているか確認して、問題ないことがわかってから、夫婦は出かけていった。先に三匹いるペットと車の鍵を唯月に渡しに行った。唯月は夫婦が来てから、ようやくこの二人に正月祝いを手渡すことができた。理仁は妻を乗せて結城家の実家で正月を迎えるために車を走らせた。彼の実家は結城家の先祖代々が残したお屋敷で、昔の雰囲気に溢れていることは事前に聞いていて知っていたのだが、実際にそこに到着すると唯花は驚いてしまった。これは大昔の金持ち家ではないか。高層マンションではなく、全て古き良き雰囲気の漂う昔の建築物で、敷地内を囲む塀も非常に高かった。どこもかしこも監視カメラだらけで、安全面においては何も文句がないほどだ。敷地内にある東屋や書院、くねくねと曲がった回廊、日本庭園など、その屋敷へ一歩足を踏み入れた瞬間、まるで大昔にタイムスリップしてしまったかのようだった。「理仁さん、あなたがこの年代に生まれていたら、正真正銘の御曹司じゃないの」理仁は唯花をつれて結城家の古い屋敷内を案内し、その環境に慣れさせていった。彼女の言葉を聞いて笑って言った。「俺はその年代には絶対生まれたくないね、君に出会えないから」彼は現代でも正真正銘の御曹司であるわけだし。理仁の芝居に合わせるために、結城家の人間はみんな一足先にこの古い屋敷のほう
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