もしここで彼女が出て行けば、宮沢家の父子の関係はさらに悪化するだけだろう。彼女は、光景に嫌われることなんて怖くはない。恐れているのは、すでに危うい立場にある隼人が、さらに追い込まれることだ。「みんなから指を指されて、唾をかけられる、か。お前が言ってるのは、秦のことだろう」隼人は白露を一瞥もせず、冷徹な声で脅すように言った。「忠告しておく。おとなしくしてろ。それでもまだ目を覚まさず、あの母親の罪を帳消しにしようとするなら――俺は必ず、お前をその母親と同じ道に送る。母娘そろって、牢屋で仲良く過ごせばいい」その言葉は、白露だけでなく光景にも聞かせるためのものだった。言外の意味は一つ――秦を、誰にも助けさせないという宣言だった。「隼人!あんた……なんてひどいことを!」白露は足を踏み鳴らし、涙をこらえきれずに光景の腕にすがりついた。「お父さん!隼人お兄ちゃんが、なんてこと言うのよ!あの人はお母さんを殺そうとしてるの。お父さんの奥さんを殺そうとしてるんだよ!それだけじゃない、お母さんだけじゃなくて、私まで殺そうとしてる!私、いったいどこであの人を怒らせたっていうの?」光景は彼女に揺さぶられ、頭がさらに混乱していく。苛立ちを覚えつつ、腕を振りほどけなかった。「宮沢会長……宮沢会長……」裕太は、宮沢家の親子関係がここまでこじれているのを見て、今がチャンスだと思った。慌てて床から起き上がると、鼻血をぬぐいながら、泣きそうな顔で光景の前に立つ。「宮沢会長……僕は、ただ会長と宮沢家のためだけに働いてきました。身を粉にして、命を削って……そのことは、会長もご存じですよね?隼人社長と奥様の間に深いわだかまりがあるのは承知しています。でも、僕は弁護士として自分の職務を果たしただけで……それなのに、隼人社長は自分の怒りを、全部この僕にぶつけてきて。宮沢会長、これじゃあ、とんだとばっちりじゃないですか!」光景は裕太の顔に血がついているのを見て、目を向けることもできず、淡々と言った。「裕太先生、すまなかった。この件は、こちらで対処する」隼人は、宮沢家という存在に関わるすべてに心底うんざりしていた。「桜子、帰るぞ」これ以上、光景と同じ空気を吸っていたくなかった。隼人は桜子の手を引き、堂々と出口に向かって歩き出した。裕太のそ
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