人は死んだら透明な魂になるって、前に幼稚園の先生が言っていた。どうやら、あれは本当だったみたいだ。 魂になった僕は今、ふわふわと浮きながらママのそばにいる。 ママ――白石琴音(しらいし ことね)は人気の声優で、ちょうど収録スタジオの休憩スペースで仕事仲間とおしゃべりをしているところだった。「ねえ白石さん、聞いた?元旦那さんが住んでるあの大型タワマンで、すごい事件があったらしいよ」 ママは眉をひそめて、心底嫌そうな顔をした。「もう赤の他人なんだから、あの人の話はしないでちょうだい」 ママはパパのことが大嫌いだ。だから二人は離婚した。 僕は小さな体を動かして、そっとママの隣に寄り添った。 幽霊になるのも、悪くないかもしれない。だって、こうしてママにぴったりくっついていても、もう鬱陶しいって突き放されないもん。「それがさ、まだ小さい男の子が亡くなったんだって。見つかった時、ソファに縛り付けられてて……どうやら餓死だったらしいよ」 スマホでニュースを見ていた別の同僚が、うわっ、と顔をしかめた。「ひどい現場だな、これ……あ、白石さんは見ない方がいいですよ。気分が悪くなるから」 ママは画面を見ようとしなかった。昔から、そういう怖いものやむごい場面がすごく苦手だからだ。 けれどママは苦しそうに眉を寄せて、大きな瞳にぽろぽろと涙を浮かべた。「なんて残酷なことを……まだ小さい子供に、どうしてそんなひどい真似ができるの……?」 涙ぐむママを見て、同僚たちは感心したように頷いた。「白石さんって本当に感受性が豊かですよね。見ず知らずの子のニュースでそこまで泣けるなんて、さすが役者さんだなあ」 僕はぼんやりとママの横顔を見つめた。 ……ママ、僕のために泣いてくれてるんだ。 ママは素敵なアニメにたくさん出ている。テレビをつければ、国中の子供たちにママの優しい声が届くのに――本当の子供である僕のそばには、ちっともいてくれなかった。離婚してからずっと、僕はパパの家に残されるしかなかったから。「でも白石さん、ただ涙もろいだけじゃないもんね。元旦那さんに浮気された時は、一切情けをかけずにバッサリ縁を切ったって聞いたし。ほんとカッコいいですよ」 同僚のその言葉を聞いて、僕の胸がチクリと痛んだ。 ……そ
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