この後の数日間、陽一からの連絡はなかったが、なつみの元には毎日違う洋菓子店からケーキが届けられていた。しかも、一つだけではなく、複数届くこともあった。なつみは最初、受け取るのを断ろうとしたが、配達員たちは彼女にその機会を与えず、彼らの任務はケーキを彼女に渡すことだと直接言い、どう処分するかは彼女の自由だと言った。仕方なくケーキを受け取ったなつみものの、数日連続で食べ続けた後、彼女はとうとう我慢できずに陽一に電話をかけた。「もうケーキを送ってこないでください」「どうして?好きなんじゃないのか?」陽一は楽しそうに笑いながら答えた。その声には明らかに愉快そうな響きが含まれていた。なつみは彼がわざとやっていると感じた。――甘いものが好きだと言ったから、毎日送り続けて、飽きるどころか嫌になるまで食べさせようという魂胆なのだろう。なつみはそれ以上何も言わず、電話を切った。陽一は何か言おうとした矢先に切られ、「ツー」という音を聞いて少し呆気に取られた。携帯を耳から離し、本当に切られたことを確認すると、思わず笑ってしまった。しかし今回は怒りで笑ったのだ。なつみの気が強くなったな......いや、もともとこういう性格だったのかもしれない。ただ俺の前で隠していただけだ。だが、それはそれで良いことだと陽一は思った。――以前のように生気のない顔をしているよりはずっといい。そんなことを考えているとき、ノック音が響いた。「社長、以前ご指示いただいた高橋先生の絵画オークションの日程が決まりました。今月末、浜市です」川口延良がそう言いながら招待状を陽一の机に置いた。陽一は「わかった」と短く答えた。しかし延良はその場を離れずに立ち続けていたため、不思議に思った陽一が問いかけた。「他に何かあるのか?」「はい。本家から電話がありました。社長に連絡がつかなかったようで、明日の夜にはお帰りになって夕食をご一緒するようにとのことです」「わかった」陽一がそう返事すると、延良は安心したように息を吐き、その場を去った。彼が出て行くと、陽一はなつみにメッセージを送ろうとした。本当は今夜パークハイツに来るよう誘おうと思っていた。しかしメッセージを送信する直前で考えを改め、鍵を手に取って立ち上がった。こ
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