Semua Bab もしもあの日に戻れたのなら: Bab 191 - Bab 200

205 Bab

姉弟と仲間と魔神と⑦

「まあまあ、今は良いじゃろ。それよりもカナタがこの場にいるのは世界樹の精霊との約束があるからじゃ」唐突にクロウリーさんが会話に割り込んでくると話をすり替えてくれた。危ない……もう少しでアレンさんどころかこの場にいる人みんなにバレるところだった。ここにはアカリやフェリスさんだっているし、言及されたらヤバかった。  「世界樹の精霊との約束は魔神を倒すこと。そうじゃろ?」「はい」「ならばこの場にいなくてはのぉ。だってそうじゃろ?カナタを除け者にして儂らが倒してしまえばそれはカナタの功績になるんかいの?」確かに言われてみればそれもそうだ。頼り切りではいけない。僕が作戦の中心にいなければならないんだ。 「しかし……失礼だが貴殿の魔力量はあまりにも……」「少ない、だろう?ロルフ団長。でも大丈夫さ、彼には絶対に離れない護衛がついているからね」そう言いながらアレンさんは僕の隣にいるアカリへと視線を移した。アカリがいれば大抵の事は対処できる。もしアカリで対処できない相手が出てこれば、もはやそれはアレンさんレベルの人が必須になる。アカリは四天王すらをも倒せる実力者なのだから。 「なるほど……神速がついているのか。それならば安心できる。……分かった、私はアレン殿の指示通りその作戦を支持しよう」「俺も異論ねぇぜ」「団長に従います」「私も同意です」部隊長を務める彼らが賛成すると、今度はアレンさんが地図を取り出した。魔族国の地図なんてどうやって手に入れたのかなんて聞くのは野暮だ。まあ……何かしらの手段があるのだろうがここは深く聞かないでおこう。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-15
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姉弟と仲間と魔神と⑧

「ゾラ、やつらは動き始めたか?」「はい。数はおよそ三百人、中にはあの殲滅王や剣聖もいるようです」「ふん……かなり待たせてくれたものだ。来るならすぐにこれば良いものを」魔神ヴァリオクルス・リンドールは苛立たった様子で部下の一人ゾラ・マグダインから報告を受けた。その内容に顔を顰める。殲滅王と剣聖は魔神にとっても無視できない相手であり、他の人間と一緒だといえる強さではないと理解していた。 「もう一つ報告がございますリンドール様」ゾラと同じく傅いたもう一人の四天王であるロック・ノックが口を開く。魔神が顎で合図をするとロックは続きを話し始めた。 「討伐隊の中にはあの魔導王の姿も見受けられました。ここは是非とも吾輩にお任せください」「魔導王……クロウリーだったか。あの死に損ないめ、まだ生きていたのか」魔導王の名は魔族国の中でも有名であった。人間の身で魔族に匹敵するどころか優に超える魔力量で、魔法への深い知識。気にならないはずがない。 今までにも何度か魔導王とやらを確認すべく魔族がクロウリーの元へと向かったが、誰一人として生きて帰ってくることはなかった。 それも一人や二人ではない。何十何百という魔族が全て亡き者にされている。 魔神にとっては殲滅王と同じく警戒せざるを得ない相手であった。  「あれらが相手ではお前達では勝てん」「大変申し訳ありません。我々にもう少し力があれば……」四天王は既に二人もいなくなっている。彼らとて弱いわけではない。人間の強者があまりに強すぎたのだ。 「それともう一つ……報告し
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-16
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姉弟と仲間と魔神と⑨

「さて、始めようか」アレンさんが掌を空に掲げると七色の光が天高くどこまでも伸びていく。戦闘開始の合図だ。ポジションについたみんなが雄叫びを上げながら古城目指して駆け出した。「僕はどうすればいいんだろう」「カナタはここで待機」側にはアカリと姉さん、そして護衛であるリヴァルさんがいる。僕が前に出ても大して役に立たないのは理解しているが、ずっと後方で守られているのはどうにももどかしくなる。クロウリーさんから教えてもらった邪法は寿命と引き換えに莫大な力を得られる。だからあまり多用はできないが、少しくらいなら使っても大丈夫だ。ちょっとだけでもみんなの力になりたいんだけど、僕が一歩前に進むとアカリが服の裾を掴んで引っ張る。無言の圧で僕はまた元いた場所に戻る。それを数回繰り返していると、いよいよ戦闘が激化し始めた。遥か前方では魔法が飛び交っているのか火柱があがったり、氷の壁が出現したりと派手な様子だった。「ほう……なかなか粘るものだな」不意にリヴァルさんが口を開く。「子爵位の魔族相手に善戦している冒険者もいる」「それって凄いことなんですか?」「爵位を持つ時点で魔力量は有象無象の魔族を上回っている。そもそも魔族と人間では魔力量に差があるが、あそこまで対等に戦えるのは技術あってのものだろう」リヴァルさんは感心しているようで、食い入るように前方での戦いを見ていた。分析までしているし、余裕がある。「ねぇリヴァル。リヴァルならあの討伐隊の人とも対等に戦えるの?」「数人を除いて俺が負けることはあり得ん。それだけ伯爵位の魔族と人間では隔絶した力の差がある」数人、というのは恐らくアレンさん達の事だろう。リヴァルさんのような伯爵位魔族にも怖れられるアレンさん達がおかしいのであって、普通は高位魔族と戦っても勝てるはずがないのだ。「あ、凄い魔法……」唐突に空が光ったと思うと無数の稲妻が落ちてくる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-17
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姉弟と仲間と魔神と⑩

「チッ、俺の力を見せてやる」アカリの自慢げな顔がムカついたのかリヴァルさんは苛立った様子で両手を空に掲げた。 「近づく有象無象など、俺の敵ではないと知れ!メテオフォール!」空から真っ赤な隕石がいくつも降ってくると、僕らに近づこうとする魔物を直撃する。当たった瞬間派手に砂埃を巻き上げ、至る所にクレーターを作っていく。 「うわっ!」砂埃が僕のところにまで飛んでくる始末。隕石が当たった魔物はひとたまりもないだろう。  「人間に負けてはおれん」リヴァルさんはそれだけ言うとチラッと姉さんを見た。なるほど……いいところを見せたかったんだな。案外魔族も人間と変わらないな……。  「へー!凄い魔法だね!私も使えたらなぁ」「紫音には無理だ。魔力量があまりになさすぎる」「残念……瞬間移動とか夢なのになぁ」確かにそれはそう。瞬間移動できたら通勤とか楽だろうな、なんて考えしまうのは日本人のさがだろうか。  そんな事を考えている時だった。突如熱風を感じ振り向くとそこには一人の魔族が手をこちらに翳して突っ立っている。 青白い膜が僕を覆っているけど、これはなんだろうか。 「嗅ぎつけるのがうまいやつめ……何の用だザラエル」「ククク……人間に味方している魔族がいると思えばお前だったかリヴァル。今その人間を守ったな?これは明確な裏切り行為……オレがこの手で縊り殺してやる」熱風を感じただけで済んだのは、咄嗟にリヴァルさんが僕を守るよ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-18
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人間対魔族①

「リヴァル!」業火の熱波に包まれたリヴァルさんを心配してか姉さんが声を荒げた。ザラエルの顔付きは嫌な笑みを浮かべている。 「……リヴァルはこの程度では死なない。伯爵位魔族はこの程度で倒せるはずがない」アカリがぼそっと呟くと同時に業火はかき消え、その中心には無傷のリヴァルさんが立っていた。 「この程度かザラエル。所詮は子爵位のお前では俺に傷一つつけられん」「それはどうかなぁ!?ブラストカノン!」「ッッ貴様!」今度は掌を僕らに向けたかと思うと先ほどの魔法を放ってきた。リヴァルさんは相殺するように僕らの方へ向けて魔法を放ったが、それは当然隙となる。 「かかったなぁ!?リヴァル!シャドウスラッシュ!」ザラエルが隙をついてリヴァルさんへと黒い斬撃を飛ばした。僕らを守るため結界を張っていたリヴァルさんは対処に遅れ、斬撃はリヴァルさんの肩を掠った。 鮮血が舞いリヴァルさんの顔は険しい表情へと変わる。 「卑怯な真似を……」「これが魔族ってやつだろうがリヴァル!お前の弱さはそれだ!侯爵位に迫るほどの力を持ちながらも伯爵の地位から脱却できねぇのはそれさ!」リヴァルさん、侯爵位に近しい力を持ってるのか?とんでもないな……。なにげに強いんだリヴァルさん。 それにしてもあのザラエルってやつ、ムカつくな。卑怯な手といい口調も苛立ってくる。 「アカリ、僕らはいい。リヴァルさんに手を貸してやってくれ」「それは無理。多分私が離れたらアイツは即座にカナタ達を狙う」アカリが手を貸せば楽かと思ったけどそういうわけにもいかないのか。確かにあんな卑怯な手を使うザラエ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-19
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人間対魔族②

アカリの言葉にザラエルは吹き出すように笑い出した。 「ブハッ!おいおい、嬢ちゃん。冗談が下手だぜ?」「…………」アカリは何も答えない。それどころかアカリが放つ魔力の波は少しずつ大きくなっていく。 「ほう……?人間にしては割と魔力量が多いな。だからといって簡単にはやられてやらんがなぁ!?」段々とザラエルの口調が腹立ってきた。 「ほら、掛かってこいよ。人間が魔族に逆らうとどうなるか、その身に刻み込んでやる」「……そう。じゃあ、遠慮なく」その言葉を最後にアカリがその場から姿を消した。 「なっ!?」「神速絶刀・一閃」アカリの声が聞こえたかと思うといつの間にかザラエルの背後で刀を逆手に持ち首元へと刃を沿わせていた。ザラエルは背後に回り込んだ事に気づいたようだったが、ワンテンポ遅い。 アカリの斬撃がザラエルの首を捉えるとそのまま刀を振り抜いた。 また姿が消えたかと思うと突然僕の目の前に現れる。 「うわぁ!?」「……驚きすぎ」「いや……驚くだろ」瞬間移動じゃない、な。多分とてつもない速度で動いただけだ。その証拠に僕の目の前へと現れた時、アカリの髪が揺れていた。 圧倒的な速さ、それこそが神速と呼ばれるに至った所以なのだろう。  首を斬り裂かれたザラエルは口から水の音のようなコポコポと水泡が割れる、そんな音を響かせながらその隙間に挟み込まれる掠れた声を絞り出す。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-20
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人間対魔族③

ザラエルを葬った後はまた前線の戦いを眺める。今頃遥か前方では何人も死んでいるだろう。魔族や魔物の数も減ってはいるが、遠くから見ている限り人間側も多少数を減らしているように見えた。 「だいぶ苦戦しているのかな」「そうでもなさそう。団長の姿は見えないけど他の冒険者達はなんとか戦えてる」アカリ曰くアレンさんを筆頭に三人の主力はどこに行ったか分からないらしい。できる限り力を温存したいって言ってたし多分隠れて魔神が出てくるのを待っているんだろう。  「僕ももう少し前に行ったらだめかな」「だめ。混戦になればいくら私でも守り切れない」アカリに強く服の裾を捕まれ拒否される。傍観者でいるのもなんだか卑怯者みたいで嫌なんだけどな。 「む……小賢しい真似を……」突然リヴァルさんが振り向いて僕らの後ろを凝視しながら呟く。どうしたんだろうか。僕の目では土煙が上がっているくらいしか見えないけど。アカリもハッとした表情で振り返ると土煙をジッと見つめていた。 「何かあった?」「……あの土煙は自然発生したものじゃない」「というと?」「何かがこっちに向かって爆走してきてる」もしそうだとするならかなりの数がこちらに向かってきている事になる。僕の目でも見えるほどの土煙だ。数人程度が走ったところで上がる土煙じゃない。  「チッ。前に行くぞ。ここにいれば飲み込まれる」「それがいい。カナタ絶対に私から離れないで」「え?な、何が来ているんですかリヴァルさん」おおよその予想はつく。ここは魔族国だ、魔物か魔族しか考えられないが
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-21
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人間対魔族④

魔物の群れが後ろから迫っている。それはレイさんにとっても想定外だったようで、慌ただしく他の団員に声を掛け始めた。 「背後から敵の急襲!範囲攻撃が可能な者は後ろへ!」「俺が行く!」「私も行くわ!」「盾持ちが必要ってんならオレもいるぞ!」 "黄金の旅団"のメンバーは即座に行動を開始する。僕らの後ろへ回った人員は十人ほど。それ以上は前衛が崩れてしまうため回せないらしい。 「魔物の数はわかりますか?」「……恐らく五百はいるだろう。俺一人で全ては防ぎ切れん」「五百……十人程度を後ろに回したとて焼け石に水ですか。とはいえ前衛をこれ以上減らすのも……」前門の虎、後門の狼といったところか。僕もそろそろ加勢した方がいいかもしれない。 「アカリ、僕も手伝ったらだめかな」「んー、だめ」駄目か。やっぱりアカリは僕が力を使う事を拒んでいるようだ。 「団長は?」「アレン団長は今どこにいるか分かりません。少なくともこの戦場にはいるかと思いますが」レイさんもアレンさんの所在を把握できていないらしい。居てくれれば五百の魔物もなんとかなったかもしれないのに。 「俺が広範囲魔法を使ってもいいが、他の魔族に俺の所在を知られる。そうなれば恐らく裏切り者だと躍起になってここへ魔族が押し寄せるぞ」「それは……リスクのある行為ですね。ですが他に手はありません。リヴァル殿、やって頂けますか?」レイさんのお願いをリヴァルさんは黙って頷く。 後方から迫る魔物の大群に手を翳すとリヴァルさんの頭上に巨大な魔法陣が展開された。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-22
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人間対魔族⑤

リヴァルさんが範囲魔法を放ってから数分が経ったが今のところは他の魔族が押し寄せる気配はない。 「前衛も持ち堪えてくれているようですし、一旦私はここで待機するわ。リヴァル殿、貴方もまだ魔力に余裕があるようだし、カナタ君と紫音さんを守ってもらえますか?」「……問題ない。ただ高位魔族と戦うことになれば守り切れんぞ」「その場合はアカリ、お願いするわね」アカリはレイさんの言葉に親指を立てて頷く。女の子に守ってもらう男という構図もなんというか情けないが、こればかりは仕方がない。 高位魔族を相手に僕程度では傷一つ付けられないだろうから。邪法を使えばいけるかもしれないが、まだ使う場面ではないだろう。できれば魔神相手に使いたい。  「ムッ!来るぞ!」僕が考え事をしているとリヴァルさんが両手を上に掲げ結界を展開した。それと同時に四方から魔法が飛んでくる。 「な、なに!?」「やはり来たか……レイとやら、あれらは子爵、男爵級だ。お前達でもやれるはずだが隙を見せるな。中に一人伯爵級が混じっているぞ」「忠告感謝します。全員迎撃体勢!数は七!全て爵位級、各個撃破を狙いなさい!」その場にいた冒険者が空から飛来する魔族に向かって矢や魔法を放つ。当然魔族も同じように魔法を放つが、リヴァルさんの張った結界を貫ける威力はなく青白い壁の向こうで霧散する。 「伯爵級は……私がやる!」確かレイさんも二つ名持ちだったな。 レイさんはじっくり空を飛び回る魔族を見つめ片手を空に向けて狙いをつける。 「リヴァル殿、伯爵級はどれですか?」「右から二番目、白い角の生えた男だ」「ありがと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-23
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王の名を持つ者①

アレン達主力の三人は姿を消して少し戦場から離れた場所で戦いの行方を見守っていた。 「ほう、あの冒険者も割と頑張っておるのぉ」「ん?ああ、セルのことかい?彼は冒険者の中でも上位だからね」クロウリーは基本山に籠もっているため冒険者界隈の事など殆ど知らない。当然"破滅の灯火"の団長であるセル・ブリジットの事も知らなかった。 「まあそこそこだな。それよりこの作戦上手くいくのか?」テスタロッサが言うこの作戦というのは、三人が姿を消して様子見する事であった。現在矢面に立つ最高戦力は剣聖レオンハルトであり、魔神が最も警戒する相手である。 アレンの考えついた作戦というのは最大戦力である三人が姿を消して魔神が警戒する対象を剣聖一人に絞るつもりであった。隙を見せた瞬間一気に攻勢に出て魔神に大ダメージを与える。それが作戦の内容だった。 単純明快だがそれが一番効果的であると判断したアレンだが、本当にそんな上手くいくのかとテスタロッサは半信半疑だった。 弟子であるレオンハルトを疑うわけではないが、この場にいる三人に比べて些か実力で劣る。魔神が出てくる前に高位魔族相手に負けるのではないかと若干の不安があったのだ。 「多分上手くいくさ。正面からぶつかるのは得策じゃない。何しろ今の魔神は前回の討伐作戦から十分な休息を経ている。だから最盛期といっても過言じゃないのさ」「ふむ……まあいいだろう。サッサと出ていてもらいたいものだな……」テスタロッサは魔神と正面切って戦ってみたい衝動に駆られていた。とはいえここで足並みを崩すのも如何なものかと我慢する事に決めていた。  「おお、いよいよ四天王が出てきたようだぞ?」クロウリーが指差す方向には四天
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-24
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