五木さんの合図と共に"黄金の旅団"の面々が魔力を流し込んでいく。電気が溜まっていくのはランプの点灯で分かるが、そのランプが十個全て灯ると五木さんが手で大きく丸を描いた。 「準備はできたみたいだね」アレンさんが仲間に合図をして流し込む魔力を止める。 「起動します!」僕がスイッチを入れると、どでかいドーナツが回転を始め真ん中の空間が歪み始めた。色が徐々に紫と黒色のマーブル模様になると異世界と繋がった証。今回は前とは時間も違う。恐らく魔界に繋がるかもしれないが前回のように魔物が待ち構えていることもないだろう。一応事前にアレンさんへ伝えているが、全員でゲートをくぐるなら向こうでいきなり殺されるようなことにはならないはずだ。 「この電力なら起動してからおよそ五分しかもたないよ!」「分かりました!」五木さんが叫ぶ。五分か……急いでゲートをくぐってもらわないと。 「アレンさん急いでください!もう既に一分が経過しています。次に起動することはできません」「君の名前はボクらのグランハウスに刻ませてもらうよ。カナタ君、もう二度と会えないけどボクは君を忘れない」「僕もですよ。アレンさん、今までありがとうございました」アレンさんと固い握手を交わす。団員みんなと握手している時間はない。 「さぁ!急いでください!」「カナタ!お前はオレ達の盟友だ!来世で会おうぜ!」「カナタ君、元の世界に帰してくれてありがとう。この恩は絶対に忘れない」「カナタ、またな!」みな口々に礼をしてゲートをくぐっていく。残すはアレンさんとレイさんだ。 「春斗、アカリ。本当にいいんだな」「何度も言わせるなよ。俺はこっちの世界が気に入
Last Updated : 2025-08-04 Read more