紫音が遂に起爆スイッチを押した。異世界ゲートが爆破される瞬間、紫音は突如ゲートに向かって駆け出した。 「おい!何を考えている!!!」紅蓮が呼び掛けるが紫音は止まらない。 「やっぱり私、カナタと離れたくない!!私も!着いていく!!!」そんな言葉を発しながら、紫音は壊れかけのゲートへと飛び込んだ。 ――――――飛び込む瞬間、恐怖心から目を瞑っていた紫音だったが、何の痛みも感じず恐る恐る目を開くとそこは陰気な空が広がっていた。 「何ここ……?」誰に聞かれるでもなく紫音は小さく呟きを漏らす。辺りを見回しても枯れ木や岩肌が目立つ光景であり、紫音はここが明らかに普通の場所ではないだろう事は一目で理解した。 このままここでジッとしていても始まらない、弟の彼方を探さなければと一歩踏み出した。 歩く事数分、前方に見たこともない動物が数匹いるのが見えた。ここが異世界であると仮定するのならばどう考えても魔物と呼ばれるような見た目である。 ウサギの身体で頭にはツノが生えており八重歯は剥き出しになっていたからだ。 「近付くとやばそ~、迂回しよ」紫音は近付く事を避け、別の方角へと歩き始める。 どこを目指せばいいのか、土地勘のない紫音は当てもなく歩き続けた。 数時間は歩いただろうか。岩場に腰掛けて溜息をつく。 「はぁ……カナタどこにいるんだろう?なんか薄暗いし思ってた異世界と違うなぁ」紫音の言葉は当然である。現在彼女がいる場所は魔族国内であり、俗にいう魔界と呼ばれている場所であった
Last Updated : 2025-05-26 Read more