All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜: Chapter 81 - Chapter 84

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第1部 一章【財前姉妹】その7 第四話 コーヒーの研究

80. 第四話 コーヒーの研究  私は竹田梓(たけだあずさ)。夫と娘の3人で暮らしてる普通の主婦です。 近頃、娘の様子がどうもおかしい。いや、おかしくはないのか? というのも最近、娘はいつも部屋に籠って勉強している。いつもなら最低限の宿題などをやる以外は麻雀ゲームか1人麻雀をしてるのに。それでも成績は良いのであまり文句も言えないのだが、しかしそんなに遊んでばかりでいいのかと心配にはなる。が、最近は勉強してる。 (あやしい)  最初はやっと3年生の自覚が出てきたのかと思っていたが、こんなにも変わるものだろうか。高校受験の時だって勉強らしい勉強はしなかった子なのに。なにがどうなっているのだろう。そもそも、娘はどこに進学する気なのだろう。 そう言えば、進学を希望しているかどうかも知らない。前回の進路調査では進学するとか言っていたけど、それだって真面目に考えてるわけじゃなさそうだった。単純に『進学』って言っとけば解決するんでしょ。みたいな感じで書いたのが見て取れた。 (コーヒーのいい香りがする。コーヒー飲みながら真面目に勉強してる……。自分用のケトルまで買って部屋でコーヒー淹れてるな。ふむ)  あやしいと思いつつも杏奈はいつも成績優秀だったので、まあ、大丈夫かと思っていた。  次の日も、その次の日も杏奈はコーヒーを飲みながら勉強していた。そしてふと気付く。(……こんなにコーヒー飲む子だったっけ?)  すると杏奈の部屋に散らかっている本のタイトルが目に入ってきた。 『美味しいコーヒーの淹れ方』『喫茶店で働くには』 (なにこれ? もしや、最近ずっとやってる勉強はコーヒーの研究!?) 「
last updateLast Updated : 2025-05-05
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第1部 一章【財前姉妹】その7 第伍話 アクセサリー

81. 第伍話 アクセサリー (ねえ、woman)《なんですか》(womanってさ、痛覚とかあるの?) カオリは常々気になっていた。womanは痛いとかあるのか? と。どうも気にしてしまい伍萬を切る時だけはすごく慎重にそっと捨てている自分がいた。《ありませんよ。私は肉体はありませんから。魂だけの存在だと思ってください》(そうなんだ、良かった。なら作ってみたいものがあるの)《なんでしょう?》(うふふ~。なーいしょっ!)  翌日。カオリは手芸屋に行った。(えーっと……。ハンドドリルとヒートンと金属やプラスチックに使えるセメダイン、あとネックレスチェーンか……)  2260円で全部揃った。(よーし、これで作れるぞお!)  『ひよこ』から貰ってきた予備牌の赤伍萬を今までは巾着に入れてそれをポケットに入れていたが、それだとポケットが無い時に困るということに気付いた。最近は暖かい日が多いので上着を羽織らない時もある。そういう時にwomanをポケットに連れて行けない時があるのでいっそペンダントにして首から下げちゃおうと思ったのだ。でも、ダイヤのついた赤伍萬キーホルダーはシイナさんから譲ってもらった大切な宝物だからあれは自分の部屋で管理するとして。普通の牌をペンダントトップにするにはドリルで穴あけしてヒートンという丸い金具を付けなければいけない。その道具を手芸屋で買ったのである。 「よーし、やるわよお」《あっ、もしかして私。アクセサリーになるんですか?》「そーよ、これからは薄着の時でも毎日ずっと一緒~」《それは楽しみです♪ ありがとうございますカオリ》「じゃあ穴あけるからね。本当は痛いならすぐ言ってね!」《大丈夫ですってば》
last updateLast Updated : 2025-05-06
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第1部 一章【財前姉妹】その7 第六話 リベロ夏実の守備範囲

82. 第六話 リベロ夏実の守備範囲  その頃、麻雀部の方にまた1人新入部員が入っていた。浅野間サトコの中学の後輩だと言う。 「1年の野本夏実(のもとなつみ)です。中学では浅野間先輩と同じバレー部でリベロやってました。相手の考えを読むことには長けているつもりです。よろしくお願いします!」「麻雀部に興味あるって言うから連れて来ちゃったんですけど。良かったですかね?」とサトコが言う。「もちろん、大歓迎よ。よろしく、野本さん。私は佐藤ユウ。野本さんは何で麻雀部に入ろうと思ったんですか?」「私、本当はアタックがしたかったんです。でも、背が小さいから。拾うのも大切だと思って拾いに徹していたらリベロに任命されてて。それはそれで楽しかったけど、でもいつかはアタックして攻撃の主軸になりたいと願っていました。でも……」「なるほど、身長がまるで伸びなかった……と」「はい……」 野本ナツミは身長150センチあるかどうか程度だった。これではアタッカーにはなれそうもない。「なので尊敬してた浅野間先輩と一緒に高校ではお料理でもしようかと思ったらそっちはメインじゃないって言うじゃないですか。それで、何をしてるのか聞いたら麻雀って。私、麻雀はお父さんがよくパソコンでやってるからやり方は一通り知ってるんです。自分で言っちゃいますけど結構強いんですよ。だから、私も混ぜてください!」「へえ、自分から強いって言えるほどか…… 特技とかはあるのかしら?」「特技ですか……そうですね、推理の幅が広いです。守備範囲とでも言いましょうか……。鋭さはありませんけど、柔らかいつもりです。この予想が外れたならこっちかな、という切り替えに長けています。これはリベロの時と同じなんで」「なるほど、リベロの守備範囲ね」「どこに打っても拾われるのでは? という圧迫
last updateLast Updated : 2025-05-07
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第1部 一章【財前姉妹】その7 第七話 三人麻雀

83. 第七話 三人麻雀  野本ナツミは父親の影響で麻雀ゲームを中学の頃からやっており普段はケータイで『雀ソウル』というゲームをやっているようだった。とくに好んでやっているのは三人麻雀東風戦で、理由を聞いてみると「早いから」だそうだ。これはベテランあるあるで、どアマチュアの参加率がリアルとは比較にならないほど高い『インターネット』という環境だと1ゲームは長すぎて疲れてしまうという事がある。なので打ち慣れた人達はネットでは東風しかやらないというのはよくあるパターン。待ってられないのだ、テンポが遅くて。それに付け加えて三人麻雀を好むということはそれ即ち最速の勝負。 つまり、猛者が辿り着く最後の地のひとつが三人麻雀東風戦なのである。そこを棲家とする野本ナツミはそれだけで(只者ではなさそうだ)とユウに直感させていた。 「雀ソウルは私もサトコもダウンロードしてあるわ。丁度いい、今からその普段からやってるって言う三人麻雀東風戦とやらを一緒にやってみて野本さんのその腕前を見せてもらいましょう」「いいですよ! じゃあ友人戦卓立てますので、参加してください!」  ノモノモ(野本ナツミ)準備OK!ゆーちゃん(佐藤ユウ)準備OK!サトリ(浅野間サトコ)準備OK!  ──対局開始!!── 東家サトリ南家ノモノモ西家ゆーちゃん  『北を抜くわ』『北を抜くわ』  開局早々サトリが抜きドラの北を2枚抜いた。しかし、その後サトリからの攻めはなくゆーちゃんがリーチしてツモあがる。『ツモ!』『リーチツモピンフドラ1』3900点だ。この三人麻雀はツモ損というルールを採用しており普段4人麻雀だと子供2人から1300貰えたので1300+1300+2600=5200だった
last updateLast Updated : 2025-05-08
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