無数の責めるような視線に、スタンリーは尻餅をついたままたじろぐ。「……スタンリー、お前は色々とやり過ぎた。オレはお前を絶対に許さねぇ。コイツを殴った事、刺した事。それ以上の痛みや苦しみをお前に与えたくて仕方ねぇ」 射抜くような視線でスタンリーを睨みつけるヴィクタール。 その鋭い眼光に、「ヒッ」とスタンリーの喉から情けない声が漏れた。「……スタンリー殿下の次期国王は絶望的だな……」「あぁ、獣神様に認められなかったし、海獣神様の“愛し子”を刺したんだからな……。牢行きだよな、絶対に」「ヴィクタール殿下が次期国王なのは決定的じゃないか?」「そうだな……。獣神様達にも認められたし、お二方共ヴィクタール殿下に好意的だし、文句の付け所が無いよ」 聞こえてくる民衆の話し声に、スタンリーの顔が怒りと羞恥で真っ赤に染まる。「――お、お前達っ! 忘れてないか!? 兄上は婚約者がいるのに堂々と不貞をしたんだぞ!? しかも王家の宝である『古の指輪』を盗み出した!! そんな犯罪者が次期国王な訳ないじゃないか!! 牢行きなのは兄上の方だっ!!」 スタンリーの叫びに、ヴィクタールは微かに顔を顰めた。「――確かに兄さんは牢行きになるな。但し、ヴィル兄さんじゃなくてスタンリー兄さんの方だけど?」 その時、突然後ろからよく通る少年の声が聞こえ、皆が一斉に振り返る。 そこにいたのは、この国の第三王子であるウェリト・サーラ・ラエスタッドだった。「ウェリト!?」「兄さんっ! 生きてて本当に良かった……っ!」 ウェリトが勢い良く飛びついてきて、ヴィクタールはよろめきながらも彼を受け止める。「あぁ、お前も元気そうで良かったぜ。ところでお前、どうしてここに? 隣国に視察に行ってたんじゃ……?」「何か嫌な胸騒ぎがして急いで戻ってきたんだよ。そしたらとんでもない事になってるしさ――っていうか、何で兄さん上半身裸なんだよっ!? 皆の前で恥ずかしいだろっ!?」「しょうがねぇじゃん、海に飛び込んだりで色々あったんだからさ」「伝説の獣神様が二人も目の前にいるし、とんでもなく色々あったのは十分理解したけどさ!? 少しは隠せよなっ!?」「んだよ。女じゃあるまいし別にいいじゃねぇか」 溜め息をつき、ヴィクタールが目に掛かった黄金色の濡れた前髪を掻き上げる。 色艶があるその仕草に、周
Last Updated : 2025-05-20 Read more