「ウェリトの婚約披露パーティーが三日後にある? それに参加しろって?」 『美味しいものを食べる』旅に出てから半年以上経った、ある日。 宿屋で休んでいたヴィクタール達に、精霊界から戻って来たレヴァイからそんな情報が伝えられた。 数ヶ月前にウェリトは召喚魔法が出来るようになり、精霊を喚び出せるようになったのだ。 その喚び出した精霊にウェリトがヴィクタール宛に伝言をし、それを精霊から聞いたレヴァイはヴィクタールに伝えるという、所謂仲介役を任されていた。 「聖獣神サマのお守りで一杯一杯なんですが」と、本人は非常に不服そうだけれど。 その伝言は、「たまには城に戻って顔を見せろ」という類のものばかりだったが、今回は本人の婚約披露という、なかなか重要な内容だったようだ。「えぇ。だから、その日までに絶対に帰って来い、らしいですよ」「は? ちょっと待て、三日後ってかなり急な話だな。もっと前から準備していた筈だぜ?」「精霊が弟クンからそれを聞いたのは一ヶ月も前の事ですが、その精霊、うっかり屋さんでして。今までスッカリ忘れていて、昨日ハッと思い出して慌ててワタクシに伝えに来たのですよ」「あぁ、そういう訳か……。ならしょうがねぇな」 それ以上追求せずすんなりと受け入れたヴィクタールに、レヴァイは両目を瞬かせた後、ニヤリと笑った。「そういうアッサリな所、ワタクシ嫌いではないですよ」「ありがとさん。――そっか、アイツが婚約か……。まだまだ子供かと思ってたけど、そういう年になったんだな……。けどやっぱり早いよな? それだけ逃したくなったんだろうな、あの彼女を」 兄の顔でフッと口の端を上げるヴィクタールに、リシュティナはクスリと笑って頷いた。「ふふっ、そうだね。ウェリト殿下に直接会って盛大にお祝いしなきゃだね、ヴィル」「あぁ、そうだな。アイツをうんとからかってやんなきゃだな」「もう、ヴィルったら……」 ヴィクタールとリシュティナは顔を見合わせ、微笑みを交わす。「フェニ、一旦食べ歩きの旅は中断だ。至急ラエスタッド城に行きたいんだが、お前の背中に乗って飛ぶ事は出来るか?」「本来は人を乗せて飛ぶ事はしませんけれど、そういう理由なら仕方ありませんわね。いいですわよ?」「じゃあ、私とレヴァイはここでお留守番しているね。殿下におめでとうって伝えてくれる? 気を付け
Terakhir Diperbarui : 2025-07-05 Baca selengkapnya