Semua Bab 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~: Bab 91 - Bab 100

101 Bab

そんなに感激されるとは

◇◇◇目を覚ますと、もうケイロたちは出立した後で、朝を迎えていた。初の異世界一泊目が、さっそく抱き潰されコースって……。しかもケイロが戻ってくるまで、俺の中の不思議工事が継続しちゃうから、ずっと圧迫感が消えないまま過ごさなきゃいけない。「ケイロのアホー……こっちに来ていきなり変態プレイじみたことするなよぉぉ……」一人で泣き言を呟いてから、俺はハァ……と諦めのため息をつく。まあ事情が事情だし、ただのエロ目的のプレイって訳でもないし、仕方ないよな。人間、割り切りが肝心だ。うん。俺は気持ちを切り替えると、ベッドから出て部屋の外へ向かう。尻が落ち着かないし、挿れっぱなし感が半端ないんだけど……まあ慣れれば大丈夫、かな?ドアの前で深呼吸して、念入りに平常心を作り上げていく。神官さんたちの前で発情して感じちゃってる顔なんて、絶対に見せられない。見られた日には心が死ぬ。一生思い出して悶死する自信しかない。意気込んでからドアを開けると、広々とした大理石の廊下と、均一に並んだ柱が視界に入る。おおっ、古代ローマの神殿っぽい造りだ。ファンタジーらしいファンタジー建物だ!辺りをキョロキョロと見回しながら歩いていくと、柱の陰に、いくつか小さな光球が浮かんでいるのが見える。こっちの精霊だ。俺は近づいて光球たちを見上げ、声をかけてみた。「こんにちはー。俺の言葉、分かるか?」一瞬、光球たちが驚いたように動かなくなる。それから疎らに光を強め、返事をしてくれた。「おっ、あっちの世界の精霊と同じ反応だ。ってことは意思疎通バッチリできるってことか」精霊は顔がないし、百彩の輝石以外は喋らないから無機質なエネルギー体に見えちゃうけど、意外とリアクションが豊富で感情豊かだ。早速こっちの精霊たちも俺に興味を持ったようで、自分から近づいて、俺の周りをクルクルと周り始める。動きがちょっと速めで、浮足立っているような?まるで遊び盛りの子犬がはしゃいでいるみたいだ。ということは――。「歓迎してくれてるんだな! ありがとう。俺も会えて嬉しい。俺、坂宮大智。よろしくな」こっちが挨拶すれば、光球が点滅して挨拶を返してくれる。出会って数分で仲良くなれるんだから、精霊と心通わすって難しくないんだけどなあ。そうだ。せっかくだし、精霊たちにここらを案内してもらおうかな?と思った矢
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-06
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どうせ後で食べるなら

オーレムさんは涙で滲んだ目元を拭ってから、にこやかに笑った。「ちょうど朝食の支度ができたと大智様をお呼びに参ろうとしていたところ……ささ、どうぞこちらへ」「ありがとうございます、オーレムさん!」昨日は着いて早々に抱き潰されて、そのまま寝ちゃったからなあ。やっと食事できる……しかも異世界の食事。めっちゃ楽しみ!ワクワクしながらオーレムさんについていくと、縦長の大きな部屋に到着する。天井高っ。テーブル長っ。今にも使い魔的な鳥が飛んできて、手紙とか落としそうなイメージが湧いてくる。学園系ファンタジーもののアニメや映画で見かけるような、巨大な食堂だ。そして――人、めちゃくちゃいる! みんなテーブルに座って、一斉にこっちを見てきた。誰も何も言わないから静かなものだ。でも向けてくる視線がやかましい。もしかして、神殿にいる全神官さんたちが勢揃いしてるのか?俺たちが来るまでおあずけ状態で待ってたのか?変な汗を背中や手の平に滲ませる俺に、平然とした様子でオーレムさんが食堂の奥を指さした。「私たちの席はあちらの一番奥になります。お口に合えばいいのですが……」「は、はい……」ゆったりと歩いていくオーレムさんの後ろを、俺はロボットのようにぎこちなく歩く。長さは百メートルもないと思うけれど、延々と歩かされているような気がしてくる。しかも一番奥って、大きな祭壇っぽいものがあるんですけど!? そんな仰々しいヤツの真ん前にあるテーブルがそうなのか? わざわざ階段上ってステージっぽい所に行かなくちゃいけないんだけど。これ、向かい側の一番離れている神官さんにまで姿見られながら、食事するってことかよ……。ああ……異世界旅行、甘く見てた。というか、ケイロの嫁になるってこういうことなんだなって、嘘のような現実を突きつけられた気分だ。ケイロ……いきなり
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-08
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こっちに来たばかりなのに!?

◇◇◇神官さんたちと和気あいあいとしながら朝食を楽しんだ――異世界の食事は派手さはないけど、どれも美味しかった――後に、ようやく俺は外に出ることができた。神殿の外観は、写真で見たことがある古代西洋の神殿を新築で建てた上に、壁やら屋根の装飾を豪華にした王道ファンタジー的神殿だった。そして神殿がある場所は、郊外の森の入り口。 近くに他の建物はないけれど、遠くの方に賑やかそうな街が見えた。「大変申し訳ありませんが、どうか近辺の散策のみでお願い致します」異常がないか見張ってくれる神官さんが、申し訳無さそうに言ってくる。「はいっ、ありがとうございます」俺は満面の笑みで答えると、さっそく辺りをキョロキョロと見渡した。「おお……何もないけど、冒険の始まりって感じがする……っ」この世界の人たちから見れば、刺激のない所かもしれない。 だけど俺からすれば、何をどう見ても俺が今までいた世界とは違う場所でテンションが上がる。異世界転移だよ! 夢のファンタジー生活だよ! ……これで尻の中の違和感がなければ最高なのに……。ケイロにやられた尻の不思議工事のせいで、純粋に異世界ライフを喜べない。 早くこっちに戻ってきて解除してくれないと、俺の記念すべき人生初異世界旅行が楽しめない……と嬉しさと嘆きが入り混じった気分で、俺は神殿周りをグルッと散歩する。あんまり植物には詳しくないけど、そこら辺に生えている草花も木も見たことがない形をしているような……?花びらがうっすら虹色がかっている神々しい花とか、細長い葉の葉脈が模様になってるとか、幹に小さな水晶をいくつも生やしている木とか……あっちの世界にはない気がする。そういえば今朝の謎肉も、どんな動物なのか分からなかったし、生き物も違うんだろうなあ。これだけ自然が豊かなんだし、虫とか小鳥とか見れば分かりそう――。神殿から離れられなくて退屈するかもと思ったけれど、意外と異世界ウォッチングで楽しめる。それについ最近まで赤点補習で地獄を見てたから、この緩やかな時間の流れと自然に癒やされる……ありがとう異世界!俺なりに異世界を堪能していると、ふと視界の脇が光った気がして振り向く。大きな木の陰で、薄緑の光球がフワフワと浮いている。 だけどしきりに光の点滅を繰り返していて、何か様子がおかしかった。「どうしたんだろ? ……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-09
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精霊たちの力を借りて

このまま隠れてやり過ごせばいいか? でも気絶させられた神官さんが危なくないか? 俺が見つからないからって人質にしたり、自分たちの存在を気づかせないために殺したり――。どう考えてもヤバい。 自分のことだけなら精霊の魔法でなんとかなりそうだけど、無関係の人を助けるとなると、難易度がグンッと跳ね上がる。なんでこんな時に限ってケイロたちがいないんだよ!? ……まさかいないと分かった上で、俺をさらいに来た? ということはケイロの弱みを掴みたいヤツが、神殿内にいるってことか? もしくはお城――。パンッ! 俺は自分の両頬を叩いて、グルグル考えちまうのを止める。腹を括るしかない。 神官さんを助ける。そんでもって、怪しいヤツらを捕まえる。ただの平凡男子高生だけど、アプリゲームや携帯ゲームで鍛えた戦闘観を舐めるなよ!俺は精霊たちを見回して声をかける。「ここにいるのは、緑と黄緑色、白が多いな……何か自分たちの魔法とかできるか?」俺の問いかけに光球がそれぞれビクッと跳ねて、オロオロと惑うように飛んでから、バラバラに光る。これは……人間が問いかけるなんて! って驚いて、お互いにどうする? って確認し合ってから一応頷いたって感じかな?我ながら、表情も声もない光の球の動きで、よく分かるなあと思わなくもない。でも分かるんだし、今は使えるものは使うしかない。「緑は草タイプ、黄緑は風タイプ、白は……光タイプってところかな? それぞれで魔法使ってみてくれないか?」俺のリクエストに光球たちがパッと光って了解すると、言われた通りにやってくれた。緑の光球たちは、蔓を生やしてユラユラ動かす。 黄緑は心地良いそよ風を吹かせ、白はキラキラと辺りを煌めかせる。……待って。どれも攻撃に向いてないぞ!? 強いて言えば、蔦は敵を縛るのに使えるってぐらいだ。しかも蔦の動きは遅い。先に動かなくしておかないと、相手を縛るなんて無理そうだ。思わず頭を抱えながら、俺は精霊たちに尋ねてみる。「えーっと……今の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-10
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精霊とハサミは使いよう

精霊たちの映像を見ながら、俺は身を隠しつつ男たちに近づく。そして草むらにしゃがみ込み、精霊たちに目配せして合図する。……喋らなくても分かってくれるよ精霊。アイコンタクトで動いてくれるんだから、意思がしっかりある証拠だ。黄緑色の光球たちが、男たちの真横にサラサラッと風を起こす。「おっ、何かいるのか?」ヤツらが気づいたら、今度は前に、前にと風を吹かせながら動いてもらう。草を揺らしながら移動する様は、誰かが逃げているように映るはず。案の定男たちは「逃がすか!」と湧き立ち、追い駆けいく。よし、ここまでは狙い通りだ。このままアイツらの気を引いてもらって、その隙に神官さんを助けよう!俺は男たちと反対の方向に駆け出し、倒れている神官さんの元へと向かう。「大丈夫ですか……!?」駆けつけて声を掛けてみると、小さく唸ってから神官さんが目を開く。「大智様……いったい何が……?」「よく分からないんですけど、俺をさらいに来た人が……今、精霊たちに協力してもらってあっちに行ってますけど、すぐに戻ってくると思います」「精霊が協力……ああ、なんと尊い――」「わぁっ、拝まないで下さい……っ! それどころじゃないんで……とにかく神殿から人を呼んできて下さい! 俺は精霊たちに守ってもらいますから!」「は、はい……っ!」フラつきながら立ち上がると、神官さんは足を引きずりながら神殿に向かう。足を捻ったっぽいな。すぐの助けは期待できない。どうにか俺と精霊たちとで乗り越えないと。俺が額に滲んだ汗を拭っていると、「居たぞ! こっちだ!」男たちの声が飛んでくる。様子がおかしいと思って引き返してきたか……でも予想はしていた。神官さんを逃がすっていう目的は果たした。後は自分で自分を守れば良い。俺は男たちを待ち構えながら、白い光球たちに目配せした。ガサッ、ガササ……ッ!男たちが草むらを分けて俺の元に向かってくる。俺の顔がよく分かる所まで来ると、何故か男たちが戸惑いを見せた。「黒髪の黒い目……だが、コイツでいいのか? 」「あ、ああ……なんというか、普通だよな」「地味で平凡を絵に描いたような……本当にこんなボウズが金になるのか?」クッ……自分で自覚はしてたけど、面と向かって言われると傷つく。ちょっと心の中で泣きながら、俺は精霊たちに声をかけた。「みんな、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-11
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どうしてここに!?

シュルシュルシュルッ。 男たちの周りを何重にも囲むように蔦を出し、そこからまとめてギュッと締付けさせる。蔦だけなら気づいて逃げてただろうけど、視界が邪魔されてパニック状態の男たちには効果テキメンだった。「よし! 計算通り……っ」望んだ通りの展開になって、思わず俺は拳をグッと握る。精霊たちも嬉しそうに飛び回って、弾むようなリズムで光を点滅させる。これが人型ならハイタッチして喜び会うんだけど――ん?俺はふと違和感を覚える。 捕らえた男たちが俺を見ながらニヤニヤと笑ってる。なんでだ? と首を傾げそうになった時、「なるほどなあ……普通じゃないってことか」低くザラついた声と同時に、大きな手が俺の腕を強く掴む。ハッとなって振り向けば、巨体の男が俺を捕らえながら見下ろしていた。「まだ仲間がいたのか……っ、離せよ!」「あー、あんま騒ぐな。腹殴って気絶させられたいか?」物騒なことを言われて、俺はヒュッと息を引いて口を閉じる。俺、痛いのヤダ。殴り合いのガチなケンカなんてしたことないし、一発殴られたら即KO間違いなし。格闘ゲームですら適当ボタン連打の偶然任せな技発動で、最弱レベルの相手を倒せるぐらい。俺、肉弾戦のセンスはないんだよ……。こんな時は従順にするのが一番。 逆らう気は一切なし。完全白旗モードで情けないな、と落ち込みそうになっていると――グイッ。大男に顎を掴まれ、強引に顔を上げさせられた。「おい、この縛ってるやつを解け。妙な真似したら――」「わ、分かってるって……ごめん、悪いけど蔦を解いてくれないか?」精霊に話しかけてみるが、光球はまったく光らない。オロオロと困ったように飛び回るだけだ。まさか……。 俺は冷や汗を滲ませながら精霊に尋ねた。「もしかして……解けないのか?」俺の言葉に光球がピッカンピッカン光る。 クイズ番組で正解が出たら光るアレと同じだ。マジかー……と遠い目をしていると、大男が俺を覗き込んできた。「さっきから一人で何言ってんだ? さっさと解きやがれよ!」「え……?」当たり前に見えるから、この世界の人間ならみんな精霊が見えると思ってたけど……そうじゃなかったのか!?これ、無理ですって言って通じるのか? チラッと大男の顔を見たら、今にも怒りが爆発しそうにこめかみをヒクつかせてる……。青ざめて思わず体を情け
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-15
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特別な事情

俺がケイロの腕の中で悶絶していると、神殿のほうから疎らな足音が聞こえてくる。良かった、助けが来た。もう大丈夫なんだと腹の底からホッとする。平凡一般人にガチ戦闘は荷が重いってよく分かった。「こんな目に遭うなら、これからは絶対にケイロと行動する……別々になるなら部屋で引きこもってる……」「それはいい心がけだ。この件で大智が狙われていると判明したから、城のヤツらに言ってやれる。俺から大智を引き離そうとするなら、襲撃した仲間とみなす、と」言葉の中身だけ聞けばキツめの冗談に聞こえるけど、ケイロの目は本気だ。実は俺が襲われてブチ切れてる? 気持ちは分かるけれど、このままだと暴走して周りに迷惑をかけまくる気がする。ちゃんと愛されてるなあ、俺。なんて少し嬉しく思いつつ、俺は女房役らしくケイロなだめた。「あんまり無理言って、お城の皆さんを困らせるなよ。意味なく敵作っても、後で困るのはケイロになるんだからな」「無理ではない。当然の主張だ」ああ……ケイロが頑なになっちまってる。これから大丈夫なのか? と不安を覚えていると、オーリムさんや他の神官さんたちが駆けつけてくれた。「ケイロ様、もうお戻りになられたのですか!」驚くオーリムさんに、ケイロは短く頷き、倒れている男たちを顎で指す。「ああ、大智の危機だったからな……アイツらを捕らえておいてくれ。後で牢獄の役人が到着するから、引き渡してくれ」「ええ、もちろんでございます」言われる前から神官さんたちは大男を縛り、精霊が縛ってくれた男たちと一緒に神殿まで引きずっていく。その様子をオーリムさんが見て確かめると、ケイロに向き直り、恭しく頭を下げた。「このような事態になってしまい、大変申し訳ありませぬ……そして差し出がましいようですが、此度の予定を繰り上げ、大智様を城へお連れすることを進言致します」予定? 俺の知らないところで、何かやるつもりだったのか?引っかかりを覚えている俺を他所に、ケイロは短く頷いた。「可能であればそうしたい。神官長のお前がそう判断するということは、大智を認めたと捉えていいのだな?」「はい……大智様は精霊と心を通わせられる、言い伝えのごとくな素質を持たれたお方。我々を気遣い、機転もあり、己の身よりも神官の無事を優先される……ケイロ様の伴侶に相応しいお方でございます」……もしかして俺
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-28
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だから俺は大智がいいんだ

◇◇◇……結局、また一日も空けずにケイロに抱かれた。魔法で体も回復できるし、俺のこと好きだよなーコイツって手応えがめちゃくちゃあるし、何より気持ちいいけどさ――気力は回復しないんだよ……イキまくると精神も疲れるんだよ……。俺がベッドの上でぐったり突っ伏していると、ケイロが体を起こして俺を見下ろす。「どうした? あれだけ悦んでいたのに、不満そうな顔だが……まだ足らないか?」「馬鹿……足りすぎて疲れてんだよ……なんでお前はそんなに元気なんだよ……」瞳だけ動かして、俺はケイロを恨めしげに見る。どう考えてもケイロのほうがいっぱい動いてるし、俺の中で何回も出してるし、俺と同じで心の疲労度は高いと思うんだけど……むしろ終わった後のほうが顔色良くて、活き活きしてるように見える。なんてタフさだよ。この恨めしさを口に出してぶつけてやりたいけれど、口を動かすのも億劫だ。視界に入ってくるケイロの割れた腹筋が、俺との差を物語っているようで悔しくなってくる。軽く唇を尖らせていると、ケイロが俺の頭を撫でてきた。「それだけ大智と一緒にやれるのが嬉しいんだ。俺が心から認めた相手を伴侶に迎えるなど、絶対に不可能だと思っていたくらいだからな」……ああ、こそばゆい。前よりもケイロが俺への気持ちを素直に言うようになってくれて、嬉しいんだけれど恥ずかしい。さっきまでエッチしてたから、体にまだ余韻が残っていて落ち着かない。頭撫でられてるのもあるけど、言葉ひとつで疼くなんて、俺の体が完全にケイロに堕ちてやがる。俺の顔も腰の奥も熱が戻りそうになっていると、ケイロが顔を近づけ、俺を覗き込みながら告げてきた。「本来の予定では神官長に大智を見極めてもらい、俺の伴侶に相応しいかの報告後に、父王が大智に会って判断する流れだった……だが襲われたことで、父は合否に関わらず大智を保護すると宣言した。だから――」「つまり、まだ俺は認めてもらえていないってことか」「そうだ。だが、大智はそのままでいればいい。父王が認めようが認めまいが、俺は大智を選ぶ。もし認めないというなら、俺がこの国から去るだけだ」迷わずに俺を選んでくれるのは嬉しいけれど、それは――。気だるい手を上げ、俺はケイロの頭を軽く小突いた。「そうしたら、この国の人も精霊たちも大変なことになっちゃうだろ……俺、認めてもらえるように頑張
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-29
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ファンタジーらしい移動手段だけどさ……

◇◇◇翌日、神官長のオーレムさんや神官さんたちとお別れして、俺はケイロと共にお城へ向かうことになった。てっきり天馬とか竜とかファンタジーっぽい物に乗ったり、魔法で空飛んで行ったりするのかな? と思ってワクワクしていたけれど――。「さあ大智、城に行くぞ。しっかり俺の手を掴んでいろ……どうした? なぜそんな不味い物でも食べたような残念そうな顔をしている?」「だって……せっかく異世界に来たんだぞ? 移動手段、どんなのだろうって色々と期待するだろ……なのに、これ……」案内されたのは神殿の最奥の部屋。小さな部屋の中に入って目に入ってきたのは、すっごく見慣れた光のモヤだった。「俺の部屋にあった不思議工事のモヤじゃねーかぁぁ……ファンタジーっぽいのに、慣れすぎて物足りない……っ」俺とケイロの部屋を魔法で繋いで、お互いにいつでも行き来できるようになっていたアレが目の前にある。初めてだったらもっと感動したんだろうけどなあ……と贅沢な不満のため息をついてから、俺は目を据わらせてケイロを睨む。「しかもお城と神殿、直通なんだな……改めてケイロに騙されてたって思うと、腹が立ってくる」「機嫌を直せ。城での用事が終わったら、大智の世界にはない乗り物に乗せてやるから」「……約束だぞ? あれこれ理由つけて無しにしたら、エッチは三日に一回だけにするからな」「それは困るな……二学期とやらが始まっても、あっちに戻るより優先してやろう」「二学期は間に合わないと困るから! じゃないと俺、卒業できないかもしれないから!」そんな睨んだり、焦ったりなやり取りをしながら、俺はケイロと手を繋いで光のモヤに入っていく。ケイロに触れると体が疼くから、たったこれだけでも力が抜けそうだ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-02
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俺がゲームで馴染んできた好きなファンタジー世界とは違うけど

コツ、と。今までしなかった足音が鳴る。光のモヤを抜けると、そこは天上がやたらと高い広間だった。床は大理石。壁には宗教画みたいな絵が直接描かれていて、天上に近い所はステンドグラス。しかも白い光球がいくつもフワフワ漂っていて、なんとも豪華ながら神秘的だ。これぞファンタジーって感じでテンション上がる!でも豪華過ぎて、俺がゲームで馴染んできた好きなファンタジー世界とは若干ズレてる……俺、きらびやかな貴族ものより、夢と冒険が詰まった爽快ファンタジーが好きなんだけどなあ。転生せずに俺のまま異世界に来れた上に、元の世界にも戻れるんだから、俺の好みを押し付けるっていうのは贅沢すぎだよな。うん。そんなことを城内の豪華さに圧倒されて、口をポカンと開けながら見惚れていると、ケイロが俺の手を引いた。「一旦、俺の部屋に行くぞ。他のヤツらに見つかったら騒がれる。グズグズするな」「え……? なんでそんな逃げるようなことを――」俺が尋ねたその時だった。いくつかある扉の中でも一番大きな扉が、ギギギ……と開く。そこにはアシュナムさんやソーアさんをはじめ、何人もの人がズラッと並び、俺たちを見ていた。交流のある二人を除き、信じられないものを見たかのように目を見開いて驚いている。中にはケイロに似たイケメンお兄さんや、この中で一番威厳ありそうな服を着た銀髪のイケオジも目を点にしていた。「チッ、来てしまったか」ケイロが舌打ちする。面倒なものが来たと言わんばかりだ。アシュナムさんは頭を押さえてため息をついているし、ソーヤさんは頬を引きつらせながら苦笑を浮かべている。事情はよく分からないけれど、この鉢合わせは予定外で、アシュナムさんたちも避けたかったことなんだろうと思う。グイッ、と繋いでいた手をケイロに引っ張られる。そして体を引き寄せられたと思ったら、ケイロの手が俺の肩を抱いた。「前から言っていた通り、異なる世界から連れて来た。坂宮大智……俺の妻だ」言いながらケイロは俺の左手を取り上げ、薬指にある婚華の指輪をみんなに見せる。ざわ……ざわざわ……。動揺が広がり、次第にざわつきが大きくなっていく。何を言っているのかはよく分からないけれど、歓迎されていない気配だ。ケイロ似のイケメンが一歩前に出て、あからさまなため息をついた。「この愚弟が……異界の男を娶るなど、何を考え
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-03
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