◇◇◇「すごいね二人とも! 決勝まで行っちゃうなんて」昼休みに一旦教室へ戻って昼食を摂っている最中、悠がホクホクとした笑顔で声を弾ませた。「いやー、百谷が本気出しちゃってさ。もう独壇場。コイツが点取り出したら誰も止められないぞ」言いながら、なんか旦那自慢しているような気がして背中がこそばゆい。でも事実は事実だし、貸した漫画さながらのプレー連発を湛えたくてたまらない。だってダンクだけじゃなくて、三点シュートも打てるし、ドリブルシュートも華麗に敵を抜いて決める。ディフェンスが手を伸ばして妨害してきても、軽く後ろに跳びながらシュートもいける。守りに回ればパスカットと相手ドリブルからボール奪取連発。もちろんゴール下のこぼれ球はハイジャンプでがっちりゲット。速攻で俺にボールをパスして、すぐさまダッシュで敵陣までケイロは移動したところで俺からパス。そのままシュートで得点追加。観衆の中には例のバスケ漫画を知っているヤツもいるようで、「あのシーンの再現じゃん!」と嬉々とした驚きの声も聞こえてきた。珍しく俺が表立って褒め称えていると、ケイロがあからさまに嬉しそうな笑顔と視線を向けてくる。「全部俺の手柄だと言いたいところだが、パスを上手く出したり、俺が望んだ位置に先回りしている女房役がいる。おかげで俺も身動きが取りやすかった。決勝もこの調子で頼む」……コイツの口から女房役なんて言葉を出されると心臓に悪い。まさかここぞとばかりに嫁自慢でもしてるのか?ケイロと目が合って、思わず俺は照れて視線を逸らす。二人だけしか分からない、甘い空気が薄っすらと漂ってこっ恥ずかしい。優勝したら、また褒美をくれてやるって散々抱いてくるんだろうなあ。ああクソっ。分かりたくないのに、ケイロの言動が手に取るように読めちまう。弁当を食べながら心の中で頭を抱えていると、「百谷、坂宮、大変だ!」バスケでチームを組んでいるクラスメートたちが、俺たちの元へ駆け付ける。やけに切羽詰まった顔をしていて、俺は首を傾
Terakhir Diperbarui : 2025-04-23 Baca selengkapnya