◇◇◇保健室のあれこれを味わい尽くした後、どうにか部活を終えて帰宅――といきたいところだが、俺は休みたい気持ちをグッと堪え、隣の百谷家へ足を運んだ。「……ちわー。失礼します」リビングへ行けば、既に帰宅していたケイロと百谷先生たち――ソーアさんとアシュナムさんが、気難しい顔を突き合わせて何か話し込んでいた。だけど俺に気づいた途端、ソファに座っていたケイロが真っ先に俺へ振り向き、やけに表情を輝かせてきた。「よく来たな太智。早くこっちに来て座れ」真横の座面を指でトントンと叩くケイロに、俺は頬を引きつらせる。「そこに座れってお前……何考えてんだよ。嫌に決まってんだろ」コイツの傍に近づくと、俺の体は疼いておかしくなる。発情スイッチを付けられて強制発動させられるようで、すでに俺の中で不本意と理不尽がカンストを起こしてしまっている。しかも今日は部活前に濃厚な関係を持ったばかり。いつも以上に触れるな危険状態だ。俺はいつも通りにケイロから距離を取り、ソファの端に腰かけた。「俺が来るまで、あの黒い狼の襲撃のことを話してたのか? 今までもあんなことあったのか?」俺の質問に三人がまばらに首を横に振る。「あそこまで大規模な襲撃はなかった……太智殿の手を煩わせて本当に申し訳ない」アシュナムさんがまた土下座しそうな動きを見せて、今度は俺が全力で首を振って制止させた。「もう済んだことなんで気にしないで下さい! あと、土下座はそう何度もやるものじゃないですから……やり過ぎると効果が弱まって、逆に軽薄な印象を持たれます」「そ、そうなのか。難しいな、異世界の風習というのは……」眉間に深いシワを作ったアシュナムさんに苦笑してから、ソーアさんは表情を引き締めて眼鏡の端を上げる。「まさか彼が罠を張っていたとは思いませんでした……ケイロ殿下に言われた通りに運
Terakhir Diperbarui : 2025-04-18 Baca selengkapnya