今週初めて舞い込んできた仕事は、とある小さな町の広報担当者からの電話だった。その町は南部の沿岸地域にあるのだが、山々に囲まれた山間の町で、近年になって観光文化開発プロジェクトに指定されたばかりで、まだあまり名が知られていない。景色は抜群に良い。「ベゴニア」のようなスタジオが、こんな割に合わない仕事を引き受けるなんて、相手は最初は驚いていた。何か裏があるんじゃないかと疑っていたくらいだ。凛は誠意を示すため、明日そちらへ伺うと申し出た。早速、凛は会議を終え、早めに帰宅して荷造りを始めた。いつものように聖天が夕食をごちそうになりに来ると、リビングのソファの横に置かれたスーツケースがすぐに目
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