All Chapters of 夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！: Chapter 461 - Chapter 470

渚がくるりと背を向け出ていくのを見て、アシスタントはまだ納得いかない様子で、後を追って文句を言おうとしたが、凛に止められた。「凛さん、彼女の言い方、ひどすぎます！完全に恩知らずじゃないですか？あなたがどれだけ彼女を気遣っていたか、すっかり忘れちゃったんですかね！」アシスタントは憤懣を抑えきれず、つい口を出した。「あなたが彼女のことを高く評価していなければ、卒業したばかりの新人が私たちと一緒に仕事ができるはずないでしょう？」「もういいよ」凛は手を上げてアシスタントの肩を軽く叩いた。「私が人を見る目がなかっただけのこと」「凛さん......」アシスタントは彼女にどうすることもできず、仕方

会議室は、どこか重苦しい空気に包まれていた。設立したばかりのスタジオが大量のキャンセルに見舞われ、金銭的な損失だけでなく、スタジオ全体の士気も大きく下がっていた。会議室のメンバーは、先日のような勢いを失い、テーブルに着きながらもどこか元気がない様子だった。凛とアシスタントが会議室に入ると、皆、慌てて姿勢を正し、声を揃えて「凛さん」と挨拶した。凛は上座に進み、ゆっくりとお辞儀をした。「私の個人的な事情でスタジオに迷惑をかけてしまい、皆にも負担を強いてしまって、本当に申し訳ない」「凛さん、そんなこと言わないでください。みんな、あなたを信じています。きっとあなたのせいじゃないんです！」「

夜のとばりが下りた。凛は疲れ切った体を引きずって帰宅した。エレベーターを降りると、輝の興奮した声が聞こえた。「姉さん、おかえり！」凛が声のする方を見ると、輝と聖天が玄関の外に立っていて、インターホンを押そうとしていた。「どうしてこんなに遅くまで仕事してたんだ？おじいさんが......」輝は途中で失言に気づき、慌てて謝罪した。「姉さん、ごめん」「大丈夫よ」凛は2人に近づき、輝が持っている料理の入った箱に目をやった。北都のミシュランレストランのものだとすぐに分かった。輝は急いで箱を掲げた。「まだ夕飯食べてないだろ？ちょうど叔父さんに頼まれて、一緒に食べるように持って来たんだ！ここのシ

「以前は自分がよく分かっていると思っていました」凛はドアにもたれかかり、腕を組んで聖天を見上げた。「でも、人は変わるものじゃないですか？」聖天は視線を落とし、彼女のいたずらっぽい笑みを浮かべた瞳と目が合うと、胸がかすかに高鳴った。「志穂のことなら、少しは聞いている」輝が近寄ってきた。「彼女は鈴木家の末娘で、上にろくでもない兄がいる、名前は鈴木健太（すずき けんた）。2年前にネットギャンブルで相当な額をすって、借金取りに追われたんだ。そんな出来損ないのドラ息子が霧島家にいたら、とっくに勘当されている」輝は首を横に振った。「でも、志穂の父親は違う。借金を肩代わりしたばかりか、健太を会社

一週間が過ぎた。慶吾の怒りはまだ収まらず、修平を呼び出して尋ねた。「あのスタジオの状況はどうなっている？」「お父さんがそうおっしゃった以上、誰も彼女と仕事をする気にはならないでしょう」修平は恭しく言った。「今週は仕事の依頼が全くないそうだ。一ヶ月もしないうちに、凛は謝りに来るだろう」「よし」慶吾は顔を曇らせた。「たかがカメラマン一人、潰すのはアリを潰すくらい簡単なことだ。この機会に、彼女には、綺麗な顔以外何もないということを、聖天によく見せてやれ」「そうよ。お父さんのお慈悲で、あんな女がここまで好き勝手してきたんだ。お父さんを甘く見ているから、あんなに傲慢になれるんだよ」修平はご