Lahat ng Kabanata ng 黒の騎士と三原色の少女たち: Kabanata 21 - Kabanata 30

31 Kabanata

第1話 近づく終焉

 一緒に風呂に入れと言われても、桜夜が四方院家から与えれている私邸の風呂場でそんなことをしようものならどうなるか。まちがいなくサイカとホムラがキレ出し、私邸が崩壊しかねない。だから無理な命令のはずだった。 しかし四方院本邸にはあるのだ。訓練や戦闘のあとにすぐ入れるように貸しきり可能な入浴施設がいくつも。この池の近くにもある。噂では何人も池に落ちたことで作られたらしい。「あー……わかったよ」 かわいらしく桜夜の服を掴み、涙目で睨む少女に彼は降参した。◆◆◆ 幸か不幸か空いていた入浴施設を施錠すると、2人はお互いに背中を向けながら服を脱いだ。先に脱ぎ終えた桜夜が、かけ湯をして湯船に浸かっているとリオもひたひたと近づいてきた。マナーとして桜夜はリオの方を見なかったが、リオもかけ湯をすると湯船に入り、自身の背中を桜夜の背中に預けた。「気持ちいいですね」「そうだな」 しばらく沈黙が流れる。少女がぽつりと呟く。「……わたくし、不安なんです」「うん」「あなた様が、今すぐにでもいなくなってしまうのではないかって」「……」 その言葉に何も返すことはできなかった。彼は今やいのちを狙われる身、そうでなくとも荒事に対応するのが彼の仕事だ。いつどうなるかなんて、約束できなかった。なんと言えばいいか、桜夜が悩んでいるとリオは桜夜を振り返り、背中から抱きついた。「だから、わたくしにください。あなた様が、確かにここにいたという証を……」 そこで桜夜はようやく気づいた。彼女が必死に駆け引きと誘惑を繰り返していたわけを。彼女は不安だったのだろう。その不安に気づけなかったことを口の中で謝ると、彼もまたリオを振り返り、その身体を優しく抱き締めるとまた唇を重ねた。少女は瞳を閉じた。そして頬に、一筋の涙がこぼれた。◆◆◆ 宇宙のような場所で、光に対して黒いローブをまとった男が片ひざをついていた。男の名はケイオス。神殺しの槍をもつ男だ。《ケイオス、不死にならんとする者に死を。情けは無用。すべては秩序のために》 光が消えると、男は立ち上がり、ローブのフードを取った。その顔は、どこかサイカたち三姉妹と似ていた。to be continued
last updateHuling Na-update : 2025-05-28
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第2話 的中する不安

四方院本邸 貸し切り浴場 脱衣場「桜夜……さま……」「なんだい」 のぼせて倒れてしまったリオを床に寝かせ、備え付けの浴衣をかけた、浴衣姿の桜夜がリオを扇子で扇いでいた。「あい、して……います」「ありがとう。ほら、水飲んで」「飲ませて、くれないんですか?」 すっかり甘えん坊になってしまったお姫様に苦笑しながら、冷蔵庫から500ミリペットボトルの水を取り出すと、リオに口移しで飲ませてあげた。幸せそうに微笑む彼女の笑顔を守りたいと思う気持ちと、いずれ悲しませてしまうんだろうかという不安が彼の中でぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。◆◆◆ その日は突然やってきた。最初に異変に気づいたのは瞑想中の四方院玄武、次に眠っていた桜夜が突然目をさましたのだ。玄武は杖をもって自身の屋敷から出る、次いで桜夜もスーツに着替え、桜吹雪をもって私邸を出た。敷地の中心で、玄武と桜夜は落ち合った。「宗主様!」「桜夜よ、主も感じるか」「はい」 二人は一緒に空を見上げる。星も月もない新月の夜だった。やがて異変が起こった。急に空に月が現れたのだ。いや、それは月ではなかった。“光”だった。光が閃光を放つと結界を破り、桜夜と玄武の前に1人の男を降臨させた。「お前は……」 それはかつて桜夜を死の淵に追いやった穢れた槍を持つ男、ケイオスだった。「不死に近づきし者よ、貴様を排除する」 ケイオスが槍を構えたのと同時に、桜夜と玄武も刀を抜く。「二人がかりでいくぞ」「いえ、宗主様、あなたは当主たちと結界の再構築を!」 ケイオスの槍と桜夜の桜吹雪が激突する。激しい光が夜の闇に舞い散った。「じゃが……」「この戦いの余波を食い止めるためです! 急いで!」 宗主として玄武は、沸き起こる感情を理性で押さえ、桜夜に背を向けて走った。「ふ、刀があれば我に勝てるつもりか?」「さあ、どうでしょうね!」 槍を刀で下から弾くと、ケイオスの腹部に蹴りを入れる。桜夜は騎士だが、その戦い方は何でも有りだった。そんな彼の攻撃をものともせず、ケイオスは槍を構えて突撃し、何度も突きを連発した。しかし桜夜はそれを全て紙一重で交わしていく。彼に以前のような迷いはなかった。少女たちの暖かな魔力が、彼に生きる希望を与えてくれた。 突いてくる槍の軌道を刀で右に反らし、そのまま槍に刀を這わせて急接近する。今度は下
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第3話 秩序

「その男は最初のモノ=アルファをモデルに作られた出来損ないだ。だが気配は似ている。お前たちに流れる魔力がその男に惹かれるのは、我と彼女がアルファに友情を感じていたことの名残だろう」 父の言葉に、少女たちは驚きを隠せない。自分たちが桜夜に愛情を感じるのは、そんな理屈からなのだろうか。「わかったら、そこを……」 娘たちを退かそうとするケイオスをしり目に、空がまばゆく光った。 そして厳かな声が響き渡る。《ケイオス。何をしている。早くそやつらを殺せ》「そやつ……“ら”?」《そうだ。不死鳥の契約者と不死身の魔女の娘、どちらも秩序を守る上で脅威だ》「わ、我に、娘を殺せと……?」《そうだ。早くしろ。お前は秩序に忠誠を誓ったはずだ》 ケイオスはプルプルと震えると、キッとコスモスの光を睨み、槍先を向けた。「それはできない」《そうか。ならば貴様も消えよ》 コスモスは光線をケイオスに放った。ケイオスは槍で受け止めるも、桜夜からもらった傷のせいで本来の力を出し切れず、押されていた。そんな彼を助けたのも桜夜だった。突然起き上がった桜夜は桜吹雪で光線を切り裂き、消滅させてみせた。そのままケイオスの隣に並んだ。「老兵はもう限界ですか? お父様?」 からかうように言うとケイオスも笑った。「バカを言うな。出来損ない」 コスモスは再び光線を放つが、ケイオスの槍と桜夜の桜吹雪の二重殺によって無効化されてしまった。「しかしどうするんです?  コスモスは秩序の化身。いわば「神」だ。あなたに穢れの武器も僕の桜吹雪も「神殺し」と言われていますが……」 神殺しは下等生物である人間が唯一神に対抗できる武器である。しかし根本的な問題として、神の防御や攻撃が絶大な力を持ち、人間ごときでは切っ先を触れさすことすら難しい。「……フェニックスを召喚しろ。インファイトを仕掛ける」「了解」 桜夜は鳳凰を顕現させる。今ケイオスはコスモスの攻撃を受ければ即死するだろうし、長期戦になれば鳳凰の力でいのちをつないでいる桜夜の身体がもたない。まさに捨て身の攻撃だった。少女たちが状況についていけないのをしり目に、桜夜とケイオスは鳳凰に飛び乗る。 コスモスの光線を器用に回避し、ときに火炎弾で反撃する鳳凰はコスモスの光の中に突入する。 そこでケイオスは「ぐっ」と苦悶の声を漏らし、膝をつく。 桜
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エピローグ またはあったかもしれない未来

 桜夜が鳳凰に乗っておりてくると、少女たちが瀕死のケイオスを囲んでいた。 サイカは「いやだ」と泣き、ホムラは「クソ親父!」と叫び、治癒に使える水の魔力をもつリオが、決死の思いで治療に励んでいた。 しかしその努力もむなしくケイオスの身体は足元からゆっくりと光の粒子になっていった。 桜夜が急いで駆けつけ、鳳凰の癒しの炎で助けようとしたが……「……よい。我にフェニックスの力は効かぬ」 桜夜も気づいた。ケイオスは穢れによって身体を蝕まれている。下手に鳳凰の力を使えば消滅を早めてしまうかもしれない。 桜夜はケイオスに家族水入らずの時間を作ってやろうと静かに頭を下げると後ろに下がった。泣き崩れる少女たちに笑みを浮かべ、ケイオスは消滅する。 その一部始終を見届けた桜夜は呟いた。「偉大なる戦士に大いなる安らぎを……」◆◆◆ ある日、桜夜は黒い着物に身をつつみ、縁側に腰かけていた。その視線の先には永久の桜の周りで遊ぶ幼い3人の少女がいた。それぞれ、桜夜と誰かの特徴を引き継いでいた。「んー、次は男の子もほしいなあ」「それって誰の子?」 少しだけ大人になったサイカが背中から抱きついてきた。「わたくしとの子ですよね?」 桜夜の右手により柔らかく女性らしくなったリオがまとわりつく。「いーや、オレとの子だな。つええ子になるぜ?」 ニカっと笑いながら、子どもたちと遊んでいたホムラが桜夜を指差す。いつの間にか彼女の身長は桜夜より高くなっていた。「まあそれは、神のみぞ知るってやつだ」 桜夜は静かに桜を眺め、願う。この幸せが永久に続きますように、と。第3章 不死を憎むもの 完
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第4章 いざイギリス! プロローグ 宗主の密命

 夕焼けと宵闇がまじりあう時間。桜夜は黒い浴衣を着て、方には同色の羽織をかけている。 少女たちは、父親の死を報告するために屋敷を出て行った。少女たちのいない屋敷は静かで桜夜は少し寂しかった。 キセルで紫煙を煙らせながら、桜夜は思い出す。自分のさみしさの源を。『あんたってほんと仔犬よね。もっとしっかりしなさい』『あたしは犬、好きだけどね』『いつかあんたが……』 ぼんやりと思い出される記憶。涙がこぼれた。そんな桜夜は電話の着信音で現実に戻された。 乱暴に涙をぬぐうと、桜夜は電話に出る。四方院宗主、玄武からの呼び出しだった。 すぐにスーツに着替えると、桜夜は宗主の屋敷に急いだ……。◆◆◆夜 四方院本邸 玄武の私室 なぜか蝋燭だけの薄明かりの中、文机を挟んで桜夜と、四方院家宗主、四方院玄武が座っていた。「3日後、新しい英国国王が誕生するのは知っているな」「ええ、ニュースでも毎日流れていますし」「それなら話が早い、新国王にワシの名代として親書を届けてほしいんじゃ」「……あの宗主。その指示、もっと早くいただくことはできなかったのでしょうか」「さぷらいずみっしょんのがおもしろかろ?」 桜夜は露骨にため息をついてみせるが、宗主は楽しそうに笑っていた。「準備はできている。すぐに英国へむかえ」 宗主の命令に逆らうことはできず、桜夜は単身海外出張するはめになった。to be continued
last updateHuling Na-update : 2025-06-06
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第1話 ティータイム

 イギリスにたどり着いた桜夜は新たな英国王と面会できる日までの暇つぶしにと、街に繰り出し、カフェのテラス席に座った。しばらく本場のミルクティーを味わっていると、不意に声をかけられた。「桜夜さん?」 聞き覚えのある声に桜夜は顔を上げる。そこには、黄色で統一された服に目立つ魔女のローブを着た少女がいた。「サイカ? なんでイギリスに」「やっぱり桜夜さんだ。会いたかった……」 目をうるうるとさせるサイカに、桜夜は相席を勧めることにして。「時間があれば、座るか?」「いいの?」「ああ」 その言葉にサイカはいそいそと桜夜の対面に座る。そんな彼女に、桜夜はメニューを渡した。 サイカはすぐにページをめくり、ココアを店員に注文した。桜夜は少し意外に思いながら尋ねた。「ココアが好きなのか?」「うん! 桜夜さんからのハジメテのプレゼントだから……」 照れた笑みを浮かべるサイカの素直さに、桜夜は少し眩しいものを感じた。◆◆◆ しばらくティータイムを楽しんだあと、サイカは桜夜を自分たちの隠れ家に招待した。 急ぎの用事のない桜夜がついていくと、森の中に小さな建物があり、庭でホムラが素振りをしていた。「サイカねえ、おかえ……」 素振りを中断し、足音の方に目を向けたホムラは、サイカの隣にいる桜夜に目を見開いた。そして慌てて家に入っていった。「リオねえ! 桜夜が来やがった!」 やはり嫌われてしまっただろうかと桜夜が思っていると、水色のワンピース姿のリオが家から飛び出し、桜夜に抱き着いた。 なぜか泣き出す彼女の頭を、桜夜は優しく撫でるのだった。to be continued
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第3話 イギリスはトラブルの国?

 少女たちとテーブルを囲み、質素な食事でもてなしを受けた桜夜は、最初申し訳なさそうにしていた。「すまないな。お母さんに続き、お父さんも救えなくて」 少女たちはお互いの顔を見合わせ、頷き合ってから桜夜に言った。「桜夜さんが気にすることじゃないよ」「救えなかったのはわたくしたちも一緒です」「だから気に病むなよな。まったく」「……ありがとう」 桜夜は辛さを押し殺すように笑い、夕食のシチューに手を付けた。◆◆◆「桜夜さんは、なぜイギリスに?」 食後に魔女に薬酒を飲んでいると、サイカがそんな話題を桜夜に振った。「新国王様に謁見し、宗主様からの手紙をお渡しするんだ」「国王に謁見だあ、おまえがあ?」「さすが桜夜様です」 なんでお前ごときがといった態度を取るホムラと、素直に賞賛するリオ、対照的な姉妹だった。「でも、なんだか桜夜さん、乗り気じゃないよね?」 桜夜の様子から、サイカはそんなことを言った。「あー、まあ、いきなりのことだったしな」「またまたあ。どうせイギリス行くたぶにトラブルにあったからトラウマとかなんだろ」 ホムラがゲラゲラ笑うと、桜夜はぐいっと薬酒をあおる。隣を陣取っているリオがおかわりを注ぎながら尋ねる。「……まさか本当にトラブルが?」「……僕が初めてイギリスにいったのは14のときだ」 懐かしむような口調で桜夜は語り始める。「その日は国王に即位されたリチャード王子がパレードに参加していた。僕は古本屋であるめずらしい本を探していたから関係ないと思っていた、が……」 そこで言葉を切ると、桜夜はまた薬酒を飲み干す。リオは身体を寄せておかわりを注いでいく。「お、桜夜さん……?」 普段儀式以外でそこまで酒は飲まないと言っていた桜夜の行動に、サイカが動揺する。対してリオはお酌ができて満足そうだったし、桜夜の失敗談が聞けそうだと、ホムラも前のめりだ。「……ふう。なんだっけ、そうだ僕がパレードそっちのけで古本を探していたら銃声がして、リチャード王子の暗殺未遂事件が起きた。僕は咄嗟に犯人らしき男を見つけて……」「せっかく犯人捕まえてやったのに、僕まで牢屋に入れられた」「ぶはははは!!」 ゲラゲラ笑うホムラだったが、桜夜から本気の殺気を放たれたので口を閉じた。「まあそのあと……」 やはりどこか懐かしむように桜夜は笑っていた。
last updateHuling Na-update : 2025-06-09
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第4話 英国王とのキズナ 前編

 あのあと飲みすぎでサイカたちの家に泊めてもらったお礼にと、桜夜はロンドンにある自分の別荘に彼女たちを招待することにした。「ここだよ。僕のイギリスでの仮住まい」 そんな桜夜が指差したのは、古き良き英国の雰囲気を残した二階建ての建物だった。さっそく中に入れてもらった三人娘は、部屋の中を見回した。古い木造家屋の部屋に、品の良いアンティーク家具。サイカは一瞬で心を奪われた。「桜夜さん! わたし、結婚したらここに住みたい!」 サイカの爆弾発言にリオが怖い笑顔で近づいてきた。「サイカちゃーん。いつから桜夜様と結婚できると思っていたのかなあ?」「ひい!」 じゃれあう二人を他所に、桜夜とホムラは少ない荷物を2階の寝室に上げていた。「よっせっと、これで全部だな」「ごめんね。手伝わせて」「いいってことよ。それより、ベッドは1つなんだな」 クイーンサイズのベッドが置かれた寝室を眺めて、ホムラは頬をほんのり赤くした。「? 別にここに泊まる必要はないだろ?」 自分たちの夜になる前に彼女たちを送るつもりだった桜夜は首を傾げた。「いやだ! 泊まる!」 それだけ宣言すると、ホムラは逃げるように階段を降りていった。思春期だなあ。なんて思いながら、寝室の窓辺に近づき、カーテンを開けると、もうパレードが始まっているのがわかった。遠くに見える新国王リチャードの姿に桜夜は小さく微笑んだ。「おめでとう。リチャード」 to be continued
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第5話 英国王とのキズナ 中編

 新王リチャードからのお召しが来たのは、就任から10日後のことだった。桜夜は親書を渡すため、寝室で用意された新品のモーニングに袖を通した。きっちりかっちりと服装を整えると、彼は一階に降りた。そこにはそれぞれのパーソナルカラーのドレスに身を包んだ少女たちがいた。リチャードは、桜夜の屋敷に女がいるときいて連れてこいと部下を通して桜夜に命じてきたのだ。ドレスがないと断ろうとしたが、何着ものドレスを部下に持たせることでリチャードは妨害してきた。今でもため息が出そうになる。「あっ、桜夜さん!」 サイカとリオがスカートの裾をつまんでお辞儀をする。「よく似合っているね」「ありがとうございます」「桜夜さまもよくお似合いですよ」「そうかな? どうにも服に着られている気が……。……なんかホムラだけ機嫌が悪くないか?」 むすっとしてそっぽを向いているホムラの様子をリオに尋ねて。「ドレスが動きにくい! ってさっきからあの調子でして」「ふーむ……」 桜夜はホムラの方に近づく。ドレス姿で片肘をテーブルについてふてくされるホムラは、桜夜を睨んだ。「なんだよ」「そんなにドレスが嫌なら欠席するかい?」「そんなことするか!」「それなら、その素敵なドレスで立派なお嬢様姿を見せてね。レディ」 桜夜は膝をつくとホムラの手を取り、その甲に口づけをした。そのあとホムラを見上げると優しい笑みを見せる。「っっっ! やるよ! やればいいんだろ!」 真っ赤になったホムラが玄関に向かう頃には、室内はずるいずるいずるい! の大合唱だった。to be continued
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第6話 英国王とのキズナ 後編

 迎えに来た車に乗り、たどりつたのはかの有名な宮殿だった。すでに国王リチャード一世が待っていたが、出迎えをお付きが許さず不満そうだった。リチャードはすらりとした長い手足を持ち、美しい金髪とすみわたった蒼い瞳の持ち主であり、シミ1つ無い白い肌を覆うスーツは、薄いベージュだった。桜夜は一礼をすると片ひざをつき、親書を両手で捧げ持つ。それに合わせてサイカとリオも深々と頭を下げ、慌ててホムラも頭を下げた。「偉大なるリチャード新国王陛下。この度はご即位、誠におめでとう存じます。つきましては、我が主四方院玄武よりの親書をお納めください」 側近が代わりに親書を受け取り、リチャードに渡す。リチャードは軽く中身を見てから、頭を下げたままの桜夜に日本語で話しかけた。「桜夜卿、面を上げよ」「はっ」 桜夜が顔を上げると、リチャードはにかっと笑った。「そう固くなるなよ桜夜。余たちは友達だろう?」「そうは参りません陛下。あなた様は国王になられ……」「国王にだって友人は必要だ。ほれ、その方らももう頭を上げてよいぞ」 思いもよらない国王の態度に困惑し、頭を上げるタイミングを見失っていたサイカたちは、恐る恐る頭を上げた。「ほう、噂にたがわぬ美人揃いだな。桜夜、お前面食いだったのか」「陛下、あまりそのようなお言葉は……」「よいよい、ここには護衛を含めてお前と余のことをよく知るものばかりだ。昔のようにリチャードと呼んでくれ」「リチャード“陛下”」「リチャード」「リチャード国王陛下」「なんでますます固くなるんだお前は!」 桜夜とリチャードは一通り茶番を終えると楽しげに笑った。呆気にとられる少女たちを代表して、リオが恐る恐る手をあげた。「あの……桜夜様とリチャード国王陛下様とは、どのようなご関係で……?」「なんだ桜夜、話していなかったのか、余たちの冒険譚を」「冒険譚ではなく、僕がひどいめにあった物語の間違いでは?」「まあよいではないか。せっかくだ。昼でも食べながら話してやろう。桜夜、レディたち、こっちだ」「はいはい、国王陛下様。ほら、3人とも行くよ」 困惑のあまりお互いの顔を見合わせながら、少女たちは桜夜に続いて歩いた。to be continued
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