All Chapters of 陰キャが実はネットアイドル☆: Chapter 41 - Chapter 50

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40話 二人の『T』

「なぁ、タヤカ。俺ら『T』は今年度からネットの声も聞いていこうと思うんだ。二人になったから時間的にも心に余裕ができたし」「そうね。それがいいかも。ただし、ネットの声って応援してくれるものからディスってくるものまで色々あるけどね?」「うん、二人ならできるかな?って一人でディスられたらイライラして次に進めなくなるかもしれない。でも、今はタヤカがいるし♡」「わかった。で、こないだの二人の投稿したんでしょ?ネットの声は?」ウーム、タヤカはなかなか甘い雰囲気になってくれないなぁ。なんだかビジネスライクだ。――――女バージョンのスカート、今までより丈長くね?色気が減ってて俺はガッカリ。――――私はきちんと仕事!って感じでこのほうが好き。――――俺は脚派だな。それにしても、ちらりと見えた脚。今までの『T』様の脚となんか違うんだよなぁ。コレは‘変態’の投稿だろうか?脚評論家か?「俺は歌を聞いて欲しいんだけど、みんなの意見がタヤカのスカートの丈に集中してた。やっぱもうちょっと短い方が……」「この方がって意見もあるんだから、このままで大丈夫よ!」無念。せめて、スリットでも入れたいところだけど、股間蹴られたくないから黙っておきます。「あ、歌はねー。『T』は歌が上手いってのは誰しもが言わなくてもわかるってことだから、あえてネットで発言しないかもなぁ。いや、変な歌声とかだったら別だけど、タロウはまともに歌うでしょ?」それはどうかなぁ?とはタヤカには言えない。大学では俺とタヤカは美男美女カップルとして有名になっていた。認識として、俺は『T』様によせてるイタイ人間だけど。タヤカと授業はかぶるように調整した。俺は超頑張って飛び級できるようにする!そうすればタヤカと同学年だ!「見てよあの二人は結局付き合う事になって、しかもタヤカが超美人に変身!はぁ、恋をしてあそこまでキレイになるのはすごいと思う」俺がイロイロ手を加えたからな(ドヤァ)。「タロウ君は前よりイケメン度が上がった?なんか、堂々としててイイ感じ」すごく曖昧な表現でよくわからん。今日もタヤカがうちに来てくれた。素直に嬉しい。うちの機材とか、施設に興味深々。俺(・)に(・)興味持ってくれないかなぁ?「タヤカ。今度の撮影なんだけど、タヤカを主役に考えてるんだ」「えー?どんなの?」「タヤカは嫌がるか
last updateLast Updated : 2025-05-29
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41話 タロウ、親になる。

俺は大パニック。何しろ、初めての相手だし。いや、俺の大学生活はタヤカ一筋だったが。結論「結婚してください」となった。結婚式とかは考えていないという超現実主義。今の俺の部屋は育児に向いていないから、賃貸にするなり売るなり(売れるのか?)なんかの施設にするなりだなぁ。スポンサーと要相談だな。金はたくさんある。外貨で貯金もしている。今後俺がすべきことは、タヤカの両親に挨拶だなぁ。タヤカ曰く、「おおらかな人達」だけど、デキ婚はありなのか?タヤカの両親。特に、お義父さんには殴られた。空手道場の師範だそうだ。超痛いんですけど?心の準備できてなかったし。お義母さんは「何をやってるんですか?仕方ないわねぇ?自分だって婚前交渉しまくりだったでしょうに。あらいやだ。子供の前で言う事じゃないわね。ほほほ」と、おおらかだった。「初孫は男の子と女の子とどっちかしらねー?」とも言っていた。ご両親には俺が『T』であることも話した。お義母さんは、「私、ファンなのよ。色気がいいわよね?そっかぁ男性なのね?で、高校生くらいだったから女装もしたのかしら?その時の色気もすごかったわー」とすぐに打ち解けられた。俺のサイン。署名みたいなものなんですけど?なんか芸能人みたいに難解なものは無いのです。あら?サインっていうより、署名とか記名みたいね。「私の手帳なのにタロウ君の手帳みたいになっちゃったわ」と仰っていた。お義父さんは、そんな姿を見てか「フン、芸能人みたいなことをやってたのか?しかも女装だと?けしからん!」「今は至る所鍛えてるわよ!」と、タヤカ。「ええ、動画をインターネットに投稿するということをしていたので、スポンサーもついてかなりの年収が今あります。もちろん、貯蓄もしています。いますぐにマンションくらいなら買えます」流石にお義父さんを黙らす要因となった。…認めてもらえるかな?「その資金とでタヤカさんとお腹の子は必ずや幸せにしてみせます。今後の活動は動画投稿ではなく、スポンサーに就職をして私の後を継ぐような人材を育てようと考えています」「でも、女声も男声も出る人材ってなかなか現れないんじゃ?」「育てるんです。現れるのを待っていたら、定年退職です」「フン、出来るもんならやってみろ。俺は孫が見たい」「もう、お父さんは素直じゃないんだから!いいですよ。いつでもこ
last updateLast Updated : 2025-05-29
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42話 『S』、変態2世に接触される

私の名前は田中地味子…ではなくて田中サヤカ。父さんが『T』様をしていた縁(?)で私はネットアイドル『S』として働いてます。うん、勤労学生だ。きちんと両親が養ってくれているので、趣味?バイト?なんかよくわからないけど、好きでやってます☆父さんは『T』様の時、超露出してたのに、私には露出させないようにしてるしわけわかんない!父さんが私のマネージャーというか、プロデューサーなのであんまり強く言えません。私も父さん同様に学校では地味な格好をしています。それで、周りからは『地味子』と呼ばれています。今日は女『S』様(最近世間ではそう呼ぶらしい)で撮影。「サヤカ!俺の時代と違って、今のスマホは360度見られるからね。怪我はないだろうな?」私はチャイナドレス姿で言った。「大丈夫よぉ。見て見て!似合う?扇子も持ったんだけど、どう?」「あ゛~!!そのスリット!!深くないか?」「既製服はこのくらい入ってた。そもそも!これ作ったの、父さんじゃん!」そう言うと、父さんは何も言えなくなった。曲は、90年代のポップスにしよう~!私は元気に長し目をしたり、脚をチラ見せしながら、歌った。うーん、本当は書家になりたいんだよなぁ。とはいえ、うちを父さんが支えてるからには父さんがプロデュースする子がいないとダメなんだよね。私の下のコウジが歌えるようになるまでは(しばらくは)ダメかなぁ?「雑念が感じられる。歌だけ後取りするぞ!」父さん厳しいなぁ。このなんだかよくわからない、元・父さんが一人暮らししてた部屋も役に立ってるけど、何なのこの部屋?翌日の教室の男子は煩かった。「どのアングルで見ても、『S』様は素晴らしい!」どのアングルでも見たんだよ?怖いなぁ。「あの脚最高だよな!」…脚フェチ。これが父さんがよく言う脚フェチか。確か親子で同じ高校って言ってたな。という事は、こいつの親父が父さんの脚を見て救急車で運ばれたのか…感慨深いなぁ。でも、こいつの家…。寿司屋じゃなかったっけ?いつも行く寿司屋(升だ屋)の大将が父さんの脚で救急車?…微妙。升田の目線が私の脚を捕らえた。「田中…ちょっと後で話がある」そう言われた。「升田―。地味子になんの用があるんだよ?」「うるせーな!ちょっとした用だよ」こうして私は校舎裏に呼び出された。リンチか?と思ったが、
last updateLast Updated : 2025-05-30
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43話 『S』の後…。

「お父さん、升田君に私が『S』ってバレた。ゴメンなさい」「誰だ?升田という馬の骨は?」「いつも行く寿司屋の子。なんか、‘脚’でバレた。升田君のお父さんってお父さんの脚見て鼻血で救急車で運ばれた人だよ!」「マジか?俺はそんな奴が握った寿司を‘うまい’と食っていたのか…。自己嫌悪だな」同級生の実家が何やってるかも知らなかったんだ…。普通にボッチの趣味で『T』様やってたんだなぁ。「升田君は『脚について』英才教育受けてるって豪語してた」「そっかぁ。あの変態ならやりかねんな。で、バレた。と?」「誠に申し訳ありません。升田君は黙っててくれるって言ってた。あと、父さんの生足みたいとも言ってた」「はぁ?俺の生足?当時(高校時代)よりも鍛えられたから、期待には応えられないって伝えてあげて。それはちょっと申し訳ないかな?さ、今日は男装をしてもらう」「私、地味に男装好きなんだよね?女子がキャーとか言ってるの?「私なんだけどー?」とか思うー」「ああ、それは高校時代の俺だな。俺の脚で鼻血出してるのを見て、「俺だけど?」とか思ってた」「親子だね」「だな?で、今日着るのはバーテンダーの格好だ。最後に口説いてもらうコースターにメッセージを添えて」「未成年なんだけど?」「そんなの父さんはいろいろやった。バーテンダーだろうと、バーカウンターで酔った感じのOLもやった。未成年の男子高校生が!よって気にするでない!」「了解!」ムーディーな音楽を口ずさみ、ラストにコースターで口説いた。翌日は女子が騒いでいた。「いやーん、口説かれたい!」口説きたくない。「『S』様は指もキレイなのねー。カウンターにコースターを出す指先まで色っぽくていい感じだった♡」そうなんだ。指にも気を付けよう。きちんとハンドクリームとか塗った方がいいかな?今まで放置しながら生活してたけど。ふと、升田君の方を見るとなんか含み笑いしてる。なにか不満?脚出てなかったからか?自宅ではコウジが成長を遂げようとしている。頑張って一人で歩こうとしていた。頑張れ弟よ!「父さんから聞いたわ~、あのお寿司屋さんが父さんの脚大好きだった変態の家なんでしょ?」「まぁ、そうです。私が『S』ってバレちゃったの。ゴメンなさい」「謝る事じゃないのよ、本来父さんが独自で家計を支えるべきものをサヤカが半分手伝ってるんだ
last updateLast Updated : 2025-05-31
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44話 脚フェチ達の銭湯

 あの変態の息子が…あの脚フェチの変態の息子がまさかのサヤカの同級生とは…。 しかもサヤカ曰く『脚の英才教育』なるものを受けているらしい。何だよ…ソレ。まぁ、それによってサヤカが『S』だとわかったみたいだが。 銭湯にて、「田中さんですか?」と聞きまくっている不審な男を発見。ふむ、あの変態の面影がくっきりとあるな。 「サヤカの父親を捜しているなら俺だが?」そう言うと、升田なる男は俺の脚をしげしげと観察し始めた。「昔のような嫋やかな美しい脚は亡くなったのですね…」「大学の時に鍛えたからな。残念だったな。Tの脚が目当てだったのか?」 その後俺も10分くらい脚について熱く語られた。しかも裸で。 「当たり前ですが、うちには『T』様の動画DVDが全巻揃っています!」 それは、我が家の収入源となり、お買い上げありがとうございます。「まさか、まだお前の親父さん(俺の同級)、鼻血で救急車で運ばれてたりしないよな?」「ハハハッ、いやまさかぁ」 升田君は笑いながら言う。「俺と親父のセットで救急車ですよ~」 悪化……。俺も罪だよな。「お前の他の家族によりそのDVDを視聴禁止にしてもらった方がいいんじゃないか?」「そんなっ、あのDVDは俺と親父の活力源でもあるんですよ?冗談はやめて下さいよ~」 本気なんだが?お前らの体を心配して。「お前の母さんはよほどの脚の持ち主なんだろうなぁ」「いやいや、幼馴染ってやつですよ。『25まで互いに独身だったら~』とか約束してたっぽいです」 軽いな。 などと話していた。俺達の会話は周りの男たちにも波及したようだ。「ああ、わかるぜ。兄ちゃん。『T』様の脚は良かったなぁ。チラリズムというのか?もう少しで…って限界なところがまた男心を鷲掴みだよな」「そうですよね~」 俺はゆっくりと銭湯を堪能しよう。きっとサヤカも今頃堪能しているだろう。「そして、その脚自身も形がよくてよぉ。俺は保険会社に勤めてるんだが、あの脚に保険を掛けたいと思ってたんだよ。まぁ、若気の至りってやつか?」「保険、掛けたかったですよね。わかります!傷の一つでも国家の損失って感じです」「兄ちゃん!」「オジサン!」 大丈夫か?新しい扉が開かれようとしてないだろうな?「今はよぉ『S』様ってのが出てきただろ?その脚に俺は今度こそ保険を掛けたい!」 
last updateLast Updated : 2025-07-01
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45話 サヤカの撮影

 今日は心に余裕があるなぁ。男バージョンでも撮ろうかな?…父さんに撮ってもらうんだけど。「サヤカの男装かぁ。うーん、ハスラーやる?」「ハスラーって何?」「ビリヤードする人。着崩した感のあるスーツで、次々とボールをポケットに落としていく。サラリーマンのアフターファイブ的な感じで」「ポケットに落とす?窃盗?」「あー、違う違う!ビリヤード台の穴の事を『ポケット』っていうんだ。で、1番から順番に歌いながら9番まで落としていく。カメラ目線は挑発的というか、挑戦的な感じで。「何でそんな姿勢でビリヤードって姿勢もありだ。参考までに昔、俺がやったDVDを見ろ」 へ~。なるほどね~。こりゃ、必要ないでしょって姿勢で打ってたりする。視聴者のためかな? 歌は昔の洋楽でいいかな?その方が雰囲気に合うし。 っていうかさぁ、何でこの家って何でもアリなの?「それは父さんもわからない。ボルダリング施設もPCで編集する場所も衣装を作成する場所もなんでもござれだ!」 本当になんでもあるのよねー。そして、ビリヤード台もあると。台っていうかその周りの施設全部。雰囲気からして、ビリヤードするお店だよね…。「スーツ着たけど、これでいい?」「着崩し過ぎだ!」 父さんによる修正がされた。「露出度が下がったんじゃない?」「サヤカはむやみやたらに露出をするんじゃない!」 ……自分は露出しまくってたクセに。 ま、父さんがプロデューサーだから言う事聞いてますけどね。******翌日の教室、女子の黄色い叫びが聞こえる。「昨日の『S』様見た?めっちゃ色気。スーツを着崩した感がイイよね!」「あれでビリヤードも上手いからすごいよ」「だよね!歌は上手いし、色気~!!」「『S』様は女かもしれないんだぜ?」「男かもしれないじゃん!」 私に色気ってあったんだ。「升田、感想なしか?」「ああ、男だし、脚がなかったからな」 脚かい! 今度はイライラするから女バージョン! 何でだろう?女バージョンだとストレス解消になるんだよね~。「サヤカ、なんか希望は?」「イライラするから、女バージョン!」「やっぱイライラすると女装がイイよなぁ。サヤカは違うけど」「あのバーでシャカシャカするやつやりたい!」「あれなぁ、地味に技術が必要でなぁ。やり方はネットで勉強しなさい。その間にいろいろ準
last updateLast Updated : 2025-07-02
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46話 サヤカの夢

 コウジは地味に6才だった…。 えーっと私と11歳差?それでもあり過ぎだと思うけど。「すまない!サヤカにはおそらくコウジが高校に入るまで、『S』を演(や)ってもらいたいと思う」「それなんだけど…母さんにはもう伝えたんだけど……言いにくいなぁ」「まさかっ…サヤカに変な虫がついたのか?」 変な虫って何よ?私だって彼氏の一人くらい欲しいわよ!誰も好き好んで独り身でいるわけじゃないわ!「そうじゃないわよ」 母さんがため息交じりで現れた。「サヤカは将来的に書家になりたいんですって。いいじゃない?最近は自分がなりたいものもわからずにニートって若者が多いのに、サヤカは立派だと思うわよ」「うっ、母さんが言うなら…」 父さんは相変わらず母さんに弱いなぁ。コウジが高校に入るまではあと8,9年?だと私はえーと、今17だからぁ。げっ、25,6才じゃないの?「父さん、私は25,6才まで『S』をやるの?」「書家になりたいんだろ?二十歳くらいでフェードアウトさせる。その代わりと言ってはなんだが、サヤカの書家としての姿の動画をアップしようと思う。どうだ?」 うーん、それなら年齢=彼氏ナシって事はなさそうだし、書家も出来そうだし、知名度も上がりそうだからオッケーかな?「動画がどうこうってのは師事しようと思ってる人との話し合いによるかな?堅物だったら、メディアは完全にシャットアウトな人だし」「そうか。それは大変だな。本社に掛け合って、動画投稿OK、顔出しOK、メディアOKの書家を探してもらおうか?」「そこはさぁ、やっぱり自分の好みの文字を書く人に師事したいのよね。自分でなんとかアクセスするわよ。ダメな時は父さんに頼る事にする」「そうか、わかった。いやぁ、子供子供だと思ってたのに、随分としっかりした子になっているんだなぁ」 何よ!自分だって結構、いやかなり好き勝手に高校・大学と生活してたの知ってるんだから! さて、私はこの文字が気に入ってるからとりあえずメールで連絡を取ってみよう。 離島での自給自足が原則?無理。次! 動画に投稿できるほどの達人なのか?ってバカにするのもほどほどにしてほしいわよ。投稿するのは自由じゃない。父さんのどうでもいい書なんてプレミア価格で500万近くの値がついたって聞いたけど?はぁー、時代錯誤すぎてイライラする。次! 投稿はいい。何故
last updateLast Updated : 2025-07-03
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47話 サヤカの就活

 その後俺はスポンサーをしてもらっている会社に事情を説明。 『S』も長くは出来ない事。うちのサヤカが書家を目指している事。師事する方を探しているという事を話した。 サヤカの書家としての‘書いている姿’を動画で投稿すると伝え、『S』は今後フェードアウトさせると伝えた。 書家としての姿を5,6年投稿した後に、うちのコウジを今度は『K』として動画を投稿していくと伝えた。サヤカの書家としての動画での姿は『K』までのつなぎみたいなものだ。「わかった。書家についてだが、君が指導すればいいじゃないか?」「私など下手の横好きどころか、特に書が好きというわけでもありませんし、書家でもありません」「こちらでも探しておくが、見つからない場合は君が指導を…という事になると思うぞ?昔、上司に渡した書についてだが、上司曰く「肩の力が抜けていて、出来上がるのは良い書だと思った」らしい」 肩の力が抜けていた―――そりゃあ、歌いながら書を書くんですから。 俺がサヤカを指導となると、サヤカも難しい年頃だし、嫌がるだろうな。 家に帰って俺はスポンサーの会社との会話を全部伝えた。「父さん、それ5割以上の確率で父さんが指導者になるってやつよ?」「お前もそう思うか?俺も自分は書家じゃないし、書に興味も何もないって言い張ったんだがなぁ」「はぁ、父さんは今は中間管理職ってやつ?」「おそらくな」「それじゃあ断れないじゃない!スポンサーの会社が何か言ってくる前に書家の先生を探すわよ!」 そう言ってサヤカは自室でPCと掛け合っていた。 結局、最後に行き当たったのは寿司屋の暖簾に寿しと書いている人。寿司屋だからつまりは升田家。「暖簾に寿しって書いた書家を紹介してほしいんだけど?」「田中がいきなりどうした?」「将来的に書家をやるつもりよ。動画投稿に、顔出しにメディアOKの人に師事したいんだけど、なかなかいなくて……」「あのさぁ、うちの爺さんでよければ貸すけど?」「お爺さんは書家なの?」「ちっとは名が知れてるはずだけど、『升田右左衛門』」「嘘!書の世界じゃ超有名人よ?人間国宝『升田右左衛門』!その書は素晴らしいし、名前は右なの左なのって外国で話題になるらしいわよ」「そうだよな(笑)」「是非ともお願いします!」「ああ、爺さんに言っておく。脚が魅力の女の子が弟子入りしたいって
last updateLast Updated : 2025-07-04
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48話 『K』のデビュー

 コウジが高校デビューできる年齢になった。 サヤカが26才。俺だってなんだかよくわからないうちに50才?早くない? 俺は知らないが、サヤカには彼氏がいるらしい。 そりゃ、まぁサヤカの年齢を考えればいない方が心配になるってものだけど、いるっていうのも。ちょっとは挨拶に顔出せやぁ!って気になる今日この頃の俺なのです。 コウジにはちょっと問題があった。隔世遺伝?いったい誰の隔世遺伝なんだ?いわゆるムダ毛というものが……。 そんなものがあっては女装をした時に世の男性の心は鷲掴みにできないぞっ! そんなわけで、タヤカも連れてコウジと3人で美容医療を行っているところで施術を行ってもらう。保険適用外だろう。しかしだ。医師だって医師生命をかけての施術となるわけだから、下手にエステよりも信用はできる。世の中にSNSが蔓延している以上、ちょっとした口コミで医者の命も消えてなくなってしまう。恐ろしい世の中だよ。 ちなみに、今日もサヤカは右左衛門先生のところに通っている。ホットパンツで。サヤカももうホットパンツを履くような年齢じゃないと思うのだが、それを本人に言うとしばらく口をきいてくれなさそうだから、言わない。  コウジは医者の施術でツルッツルになった。「コレは……男としてどうなんだ?って気になるけど?」「まぁ気にしない気にしない!」 と、俺は言うが俺の方はこの料金は必要経費として会社に請求できるだろうかなどと考えていた。 コウジの撮影はいたって簡単。 ああ、男を撮影していると思うとどうして気が楽なんだろう? 露出だってギリッギリの所まで攻めていける。サヤカの露出など許さん!「コウジ、高校の学業も疎かにするなよ。そして高校ではひたすら地味に地味に過ごすんだ。いいな!」 コウジが了承してくれたので、俺は安心して『K』を作る事ができる。 『T』も『S』も重要だったのはその秘匿性。正体が全く分からないことに意味がある。年齢・性別など全てを公にはしない。「コウジ、いいか?『K』として活動することは俺の会社ソニアで契約書にサインをしたよな?もし、契約書に反するような行い、正体をばらしてまわるとかしたら、契約違反。当然違約金が発生する。莫大だ。そのことを肝に銘じて行動を慎むように、わかったな?」「しつっこいなぁ。わかったよ、なんのための変装なんだよ」 俺が
last updateLast Updated : 2025-07-05
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49話 コウジの初女装

 どうしたもんか、コウジはあんまり女装に乗り気じゃない。慣れるとストレス解消みたいになるんだけどな。「初『K』だし?まぁ、軽―くあいさつ程度に。そうだなぁ、チャイナドレス着とく?ハイヒールがいいな。昔、俺が履いたやつはサイズが合うか?スリットから生足がグッと出ると最高なんだが?」「ちょっと父さん?私が『S』の時は露出したら怒ったのに、何?コウジには露出させるの?」「男女の差だ!娘の柔肌を他の男に見せてなるもんか!」「コウジなら特に構わないとね?」「ま、まぁそう言う事だな。俺の時も相当露出してたよなぁ、懐かしい思い出だ」「これ着るの?」 いかん。サヤカ仕様でスリットが浅くなっている。今すぐに改装しなくては!「この服をコウジ仕様にちょっと直すから、ハイヒールの具合を見てて」 俺は超特急でチャイナドレスのスリットを深くした。これならば結構ギリギリ感が……。そして生足にハイヒール。完璧だ!「コウジは歌いながら道を遠くから俺の方に歩いてきてくれ。歩き方は、モデルウォーク的な?いちいち足を一直線上に出すみたいな歩き方。ああ、扇子なかったっけ?扇子で口元とか顔色とか隠しながらさあ。あ、メイクメイク!」「父さん久しぶりで楽しそうだな?」「サヤカも引退しちゃったしなぁ」「髪はお団子を二つつけたい。じゃーん、何故かあるんだよ。この家そういうわけで装着。おくれ毛みたいのもつけ毛があったはず」「きゃー!コウジってば可愛い!」「うん。多分、そのハイヒールで踏まれたいって男が世界に続出するわよ?」「それは嫌だな、気持ち悪い。ねーちゃんよく平気だったな?」「うーん、考え方かなぁ?自分が世界の中心とか結構いいように考えるのよ。面白いわよ?クラスメイトとかこの格好に踊らされて、愚かだなぁとか思ってた」「うわっ、ねーちゃんひでー!」「俺もそうだな。俺の行動で性別どっち?とか討論するクラスメート見て笑ってる感じだった」「父さんまで……」「あ、目線はカメラに挑戦的なのを頼むなー。因みにだ『K』としてうまく軌道に乗せて稼ぐまでいったら、スポンサーがつくだろ?多分、俺の会社ソニア以外無理だけど、報酬が出る」「マジかよ?それを早く言ってくれよ。俺、超頑張る!」 ゲンキンなやつだよ。報酬は家計になるんだけどな。いい肉食えよ! コウジの初・撮影。 歌は……古―い洋楽
last updateLast Updated : 2025-07-06
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