Semua Bab ホーリーソウル 闇を切り裂く少女: Bab 1 - Bab 2

2 Bab

第1話 救世主はシャイな女子高生

 月明かりしかない静かな夜の公園。 剣が激しく重なり合う音だけが鳴り響いていた。 暗闇の中、二つの影がせわしなく動いていく。  影が交わる瞬間、剣がぶつかり合う音が大きく鳴った。 一人は屈強そうな肉体をもった男だが、まだ大人とはいえない幼さが残る青年のような顔立ちをしている。  相手をまっすぐ見据えるその|眼《まなざし》は、血のように真っ赤に染まり、浅い呼吸を繰り返している。 その男に真っ向から向かい合うのは、小柄な少女だった。 長い黒髪から覗く大きな瞳に小さく色白の顔。  華奢な肩を上下に揺らしながら浅い呼吸を繰り返している。 その体には無数の傷があり、傷からは血が滴り落ちていた。 圧倒的に男の方が有利なのは目に見えている。 男が少女に問いかける。「おまえ……なぜ倒れないっ」 男はわからなかった。 なぜあそこまでボロボロになりながら、立っていられるのか。  ――命を張れるのか。 あの小さな体のどこにそんな力が宿っているというのか。 少女は口の中に溜まった血を吐き出すと、不敵に笑った。「そんなこともわからねえのか、てめえ」 その可愛らしい容姿からは想像できない言葉遣いだ。  男も以外だと言わんばかりに眉を持ち上げる。 少女は男をまっすぐ見る。 その瞳はとても強い意志と光を放っていた。「腐りかけたその魂を叩きなおすためだっ!」 少女は手に持っていた白く輝く剣を男の心臓へ向けてかざした。 男は数秒少女を見つめたあと、可笑しそうに笑う。「おまえ、馬鹿か! こんなことしても無駄だ、俺は変わらない!  どうしたって変わらない、どうしようもないことがあるんだ。  努力ではどうしようもないことが、この世にはあるんだ!  現状も、自分も、何も……変わらないんだ!」 男は、苦しそうに叫んだ。  そして、何かを消し去るように首を振った。 男は少女を暗く淀んだ瞳で見つめる。「……おまえは無駄なことをしてるんだぜ、無駄なことに命をかけてる。  それでおまえに何の得がある?  おまえが死んだら、ただの無駄死にだろうが!」 男は右手にある黒い剣を強く握りしめる。「うおおおっ!」 男が剣を振りかざし少女に突っ込んでいく。「無駄じゃねえ。なぜなら、私は決して、おまえになんか負けないからなあっ!」 男と少女の剣が再び交
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-17
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第2話 思い出

「綺麗……」 登校していく生徒たちの間を、桜の花びらが舞い散っていく。 並木道の桜たちがざわめき、春の暖かな風が|木立《きだち》あゆのおさげ髪を撫でていった。  眼鏡の奥にある瞳には綺麗な桜が映っている。「桜か……。あの子、元気かな」 桜を見ると思い出す。 ある男の子のこと。  小さい頃、悲しいことや辛いことがあったとき、よく立ち寄ったあの場所で出会った男の子。  ずっとあゆの思い出として心の支えとなっていた。  あゆは小さい頃からおとなしく、人と関わるのが苦手だった。  目立つのが嫌いで、いつも定位置は隅と決まっていた。 みんながきらきら眩しくて、あゆ一人だけが違う世界の住人のように思えていた。 そんなあゆのことをいじめる者も多かった。  おとなしく反抗しないあゆは、標的にしやすかったのかもしれない。 その影響もあり、さらにあゆは人と関わることが臆病になっていったのだった。 家族とも折り合いが悪かった。 父はごく一般的な普通の人だったが、そこまで愛のある人ではなかった。あゆのことも適当に可愛がってはいたが建前のように感じられた。 母は父の再婚相手で、あゆと血が繋がっていない。  あゆと仲良くするつもりは無いようで、はじめの挨拶のときに笑顔でこう言った。「ドライにいきましょう、あなたと私は他人なんだから。私も好きにするし、あなたも好きにしなさい」 この人は母親になんかなる気はさらさらないんだなと思った。 学校でも家でも居場所がなく、孤独で寂しかった。  誰かを心から求めていた。 そんなとき彼に出会った。 私の唯一の居場所、彼の存在が私を救った。  彼は今頃どうしているだろうか……。 昔に思いを巡らせ、前をよく見ていなかったあゆは、誰かにおもいっきりぶつかってしまった。「あ、す、すみません」 「なんだ? おまえ」 その声にびくっと小さな体が跳ねる。 恐る恐る顔を上げると、こちらを鋭い目つきで見下ろす、|大川《おおかわ》|大地《だいち》と目が合った。 先生からは要注意人物と扱われ、生徒から恐れられている存在。  彼は校内でも有名な不良少年だった。 ど派手な金髪が太陽の光に当たってさらに色を増している。両耳にはピアスがいくつも光輝いていた。 そんな彼が、切れ長の鋭い目であゆを見下ろしてくる。 ど、どう
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