殿下と仲直り出来て胸のつかえが一気に取れた感じがした私は、転生してようやくクラウディア先生と気持ちが1つになれたように感じた。 今までは肉体は彼女のものでもどこか他人事のように感じていたところもあったのだけど、今回クラウディア先生の色んな感情を受け入れた事で気持ちが1つに溶け合えたように感じたのだ。 これで良かったのよね、きっと。 ホッとしたところで、今日の出来事について殿下に聞いてみる事にした。 「殿下…………あの、今日の事ですけど」 私がそこまで口にしたところで、言葉を制止するように殿下の手がそっと私の唇に触れる。 「出来れば昔のように呼んでほしい……ジーク、と。それに話し方も普通でいい、ここには私と君しかいないのだから」 「ええ、分かったわ……えと、ジーク?」 私が殿下に向かってそう呼びかけると、片手で顔を覆った殿下は俯いてしまった。 どうしよう、これで良かったのかな……でもよく見てみると耳まで真っ赤だったので、間違ってはいないらしいと少しホッとしたのだった。 「すまない。続けてくれ、ディア」 そう言って照れくさそうに少し顔をこちらに向けたかと思うと、指の隙間から覗く瞳がひどく熱を帯びていて、ドキッとしてしまう。 私の髪をひとすくいして、髪で遊ぶかのようにいじりながら私の言葉を待っているジークの様子に、何故か心臓がうるさくなっていく。 突然距離が近くありませんか?こういう時はどうしたらいいんだろう――――私は誤魔化すように話を続けたのだった。 「あ、あの今日の事だけど、どうしてジークがあの場に来たのかなって」 「あれは、偶然理事長室の窓から君達が見えて……何だかカールの様子がおかしいし、君に対して魔法を使っているように見えたから急いで庭園に向かったんだ」 このドロテア国では、回復魔法系や補助系以外の魔法を人に向けて使う事を禁じられている。 授業など特殊な状況の場合は許可が必要で、そのため風魔法の実習授業の時に理事長であるジークが見に来ていたのだ。 カールが私に向けて魔法を使っているというのは禁忌を犯しているという事になるので、彼は急いであの場へ来てくれたのだろう。 「理事長室って庭園が見えるのね。ジークが来てくれて助かったわ、ありがとう」 「いや……私も色んな意味であの場に行けて良かった」 「え?」 「君
Huling Na-update : 2025-06-08 Magbasa pa