父上やダンティエス、ロヴェーヌ公爵の前で「必ず私が射止める」と啖呵を切り、王宮を後にしたものの、具体的に私が出来る事は限られていて、とにかく彼女を狙う者から守る為にも出来る限り傍についていようと決めたのだった。 私自身が彼女の傍にいたいという想いもあったが……その辺は己の邪な気持ちを振り払った。 カールの事件があったので、ディアにはしばらく庭園に行かない方がいいと伝える。 彼女は気付いていないが、カールは恐らくディアの事が好きなのだろう。その気持ちをいいように操られてしまったのだ。 彼にかけられていた魔法は複雑で、それこそ解呪するのはほぼ不可能と思われる邪魔法だった――――あの時ディアが自分で解呪出来なかったらどうなっていたかと思うと今でも恐ろしくなってしまう。 彼女を狙う者はカールの気持ちを分かっていて利用している。 私の推察だが、そこまで分かるというのはやはり犯人は学園にいて、ディアの行動や周りの人々の事をよく観察している人物ではないかと考えられる。 そうだとすると、今はあまり庭園に近づかない方がいい。 決して私が彼女をカールに近づかせたくないわけではなく…………いや、それも大いにあるな。 独占欲にまみれた自分の気持ちを振り払いながら、真面目な彼女が恐らく聖魔法の練習をするだろうと考え、急いで仕事を終わらせた私は公爵邸を訪れる事にした。 突然の訪問は良くないとは思ったが、嫌な顔をせずに私を受け入れてくれて、ホッと胸をなでおろす。 そして聖魔法を使っている彼女は女神のようだった―――― 私の光魔法と彼女の聖魔法は相性がいいと言われている。 光魔法は聖魔法から派生したとも言われているし、私の力が彼女の助けになるのではと思い、手を握って補佐してみたのだ。 案の定彼女の能力を安定させ、そして高める事も出来た。 これはとても大きな事だ。私にもラクーのような役割が出来た事が嬉しくて思わず笑みがこぼれてしまう。 補佐したいと思って握った手だったが、とても華奢で柔らかい彼女の手をずっと握っていたい気持ちに駆られた時の事を思い出し、顔に熱が集まってくる……私にしては少し大胆だったかもしれない。 そして聖魔法の練習をした後にカリプソ先生の話をされ、彼女の話を少しする事になった。 「カリプソ先生は今年からやってきたってマデ
Huling Na-update : 2025-06-18 Magbasa pa