春子は美咲から結婚式の招待状を受け取った。美咲は春子が仕事を始めた頃に知り合った同僚で、その後の付き合いはあまり多くなかったが、最初の二年間は彼女にたくさんの助けをくれた。招待状にはとても丁寧に、往復の航空券代も負担すると書かれていた。だが、冬樹と明菜もその大学の同級生だったことを思うと、春子は気が進まなかった。招待状をじっと見つめている春子に、清嵐がそっと近づき、腰に手を回した。「行くなら、俺も一緒に行くよ。ちょうど国内の屋台料理が食べたくなったんだ」春子は彼の優しい表情を見て、自然と微笑んだ。彼はいつもそうだった。春子の気持ちや欲しいものに細かく気を配り、さりげなく望みを叶えてくれた。清嵐はすでに彼女たちのために家政婦を雇い、静香の体調もすっかり回復した。すべてが整ったあと、二人は帰国の飛行機に乗った。もともと少し休暇を兼ねた帰国なので、美咲の結婚式まではまだ数日あった。その間、春子は清嵐を連れて帝都の街を隅々まで案内し、数えきれないほどのグルメに彼は「天国みたいだ」と大喜びだった。ただ一つ、春子を困らせたのは、清嵐が彼女に構いすぎることだった。彼女が何かに数秒でも視線を止めると、数分後には清嵐がそれを買って手元に届けてくれていたのだ。「清嵐!もう荷物いっぱいよ。これ以上買い物したらスーツケース壊れちゃうわ!」春子は手を腰に当てて、少し怒ったように言った。清嵐は無邪気に肩をすくめ、言った。「入らなければ預ければいいさ。お金はちょっとかかるけど、大事なのは春子が喜ぶことだろ?」そう言いながら、春子の頭を優しく撫でた。春子はどうしようもなくなり、抱えきれないほどの買い物の山を見て、無言で彼を睨んだ。その瞬間、昔、冬樹と旅行に行った時のことを思い出した。いつもお土産を買って親戚や友達に配りたがる春子に対して、冬樹は「荷物が多すぎて入らない」といつも不機嫌だった。だが清嵐と出会ってから、どんな面倒なことでも、彼女のことを好きでいてくれる人にとっては大したことではないと気づいた。しかもそれが、喜びになるのだ。ふと自分がぼんやり遠くを見ていることに気づいた春子は、素早く財布を取り出そうとする清嵐の手を押さえた。そして微笑みながら彼の腰に腕を回し、言った。「清嵐、明日は結婚
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