結婚式の前、私は写真館へウェディングフォトを取りに行った。でも、写真の中にいる新婦は、私ではなかった。それは婚約者の幼馴染だった。私は驚いて立ち尽くしていると、店員がもう一組の写真を差し出しながら謝った。「申し訳ございません、こちらがあなたの結婚写真です」私は呆然と、新郎が同じで、新婦が違った二つのウェディングフォトを見つめた。そしてすぐにスマホを取り出して、陸川顕久(りくがわ あきひさ)と入江鈴(いりえ すず)のウェディングフォトを撮り、SNSに投稿した。【お二人、末永くお幸せに】その後、顕久から電話がかかってきた。「蘇我心(そが こころ)、お前、何をしてるんだ?鈴はただ俺と一緒にウェディングフォトを撮りたかっただけで、そんなことで気にするなよ」突然、私は疲れを感じて、冷静に言った。「別れよう。この結婚、私はもう無理」写真館を出た私は、無造作にウェディングフォトをゴミ箱に投げ捨てた。それは私が十年間ずっと夢見ていたウェディングフォトだったが、今ではただのゴミになった。一緒に捨てたのは、この十年間の感情だった。家に帰ると、顕久が怒り狂ってソファに座っていた。私は無視して、部屋に向かって歩いた。顕久が私を引き止めた。「心、お前、どういう意味だ?たかが一枚の写真で、そんなに大騒ぎする必要あるのか?顔を合わせるのも嫌なのか?」彼は他の女性とウェディングフォトを撮っておきながら、よくも私にどういう意味かと問い詰めているね。その通りだ。これまで私は彼に甘すぎた。彼を無限に自由にさせたから、私はいつの間にか、彼に軽視されることに慣れていた。目を伏せ、私は冷たく言った。「別に意味はないわ。ただ、もう全部意味がないと思っただけ」顕久の声は次第に高くなり、苛立ちが溢れ出しそうだった。「説明しただろう、鈴ちゃんはただウェディングフォトを撮りたかっただけなんだ。彼女は心臓病で、結婚できなくて、信頼できる人は俺だけなんだ」私は呆然と彼を見つめた。「顕久、私たち、別れよう」顕久の目に一瞬の焦りが走ったが、すぐに冷静を装った。「心、お前も分かってるだろう、俺は誰にも脅されない。早く鈴ちゃんに謝れ。これで終わりにする、結婚式も予定通りやろう」十年間の付き合いの中で、私は顕久がこんなに嫌
Read more