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Lahat ng Kabanata ng 君を救えるなら、僕は: Kabanata 21 - Kabanata 30

32 Kabanata

二十章 「そもそも違いすぎるよ」

 彼女は、はっきりとしない僕をキリッとにらんできた。 でも、彼女の表情から怒りはなぜか感じられなかった。「そもそも私と悠希は、違いすぎるよ」 否定されるとその物事だけでなく、僕自身を否定されたように感じる。 「しっかりしろ!」と自分自身に言葉を投げかける。僕は『言葉』の力をまだ信じているのだろうか。それとも他人には効果がなくても、辛い時僕は『言葉』に救われてきたから自分には使うのだろうか。「まず、私たちは性別が違うよね?」 彼女は、落ち着いた声でそう言った。「それはそうだね」「性別が違うこと。悠希はきっと『たったそれだけ?』と思うよね。でも性別が違うことで、結構ズレは出てくる。その違いで、悩むことや相手に求めることはかなり違うんだよ」 彼女は、僕の目を見つめた。「女性は、私と同じようにありのままの自分を全部受け入れてほしいと思う人が圧倒的に多い。聞いてほしいけど、助言を求めていないこともよくある。一方、男性はありのままの自分を見せたくないし、そもそも自分の弱さを認めたくないと思う人が多い。そこには、男性のプライドの高さが関係している。女性からしたら大したことないと思うことでも、男性は大切に思っているということもある。どちらも自分勝手と問題視しないことはできるよ。でも、悠希はそうはしたくないんでしょ? 性別によって、こんなにも違いがあることを悠希は知っていた?」「知らなかった」 彼女の言う通りで、僕はそこに気づくことができていなかった。 また、違うからいってそこを軽視したくないし、ちゃんと理解したいとも思っている。 それが相手を受け入れることだと思っているから。「まあ、知らないことは珍しくはないと思うよ。人は意外と物事について深く考えていないから。みんな考えているように装っているだけ。私は人生の中で考えることが何度もあったから知ってるだけだから。でも、これで違いがあるのがはっきりとわかったよね」 彼女は、どうしてそんなにせつない顔をして、違いをわざわざ教えてくれるのだろう。 まずわかったことは、考える機会がたくさんあったということは、それだけ彼女の人生は大変なことが多かったということだ。「さらに、もう一つ悠希に教えてあげるよ。悠希も多くの男性と同じようにプライドを持っているよ」「僕が、プライドを?」 それは、ついさっき自分自身
last updateHuling Na-update : 2025-06-20
Magbasa pa

二十一章 「僕が君を救いたい理由」

「まずは、僕の覚悟を伝えるね」 彼女を救いたい理由を言う前に、僕の覚悟を先に伝えた方が納得してもらえるか思ったからだ。 彼女は、小さく頷いてくれた。 今僕の胸は、恋のドキドキとは違う意味で音を激しく鳴らしている。「僕の覚悟は、どんな否定も弱い自分も完全に覆すまで決して諦めないことだよ。この思いは、決して中途半端な思いじゃない。僕は、何があっても折れないよ」「えっ!?」「今、そして未来を生きていく上で華菜を失う以上に辛いことは、僕にはない。やっとそのことを堂々と伝えられるようになった。華菜が辛い顔をしてると、僕も心が痛くなった。最初はなんでかわからなかった。人が悲しんでる顔を見るのが好きな人はなかなかいないだろうけど、この気持ちは、同情とかとは少し違った。それがやっと何かわかった。本気で思うからこそ相手の苦しみは、自分の苦しみでもあるんだね。僕も一緒に苦しませてほしい。そして、二人で前を向くための行動をしようよ。その苦しみに押しつぶされないだけの『愛』が僕にはある。華菜を守りたい。僕が笑顔にしたいと思うよ」 彼女はまだ驚いていたから、僕は少し戯けた。「僕って意外と根性があることを知ってた? 周りの人がなんと言おうと、華菜すらも『無理だよ』と言おうと、そんなの気にしない。障害の話もしてたけど、僕たちの間に乗り越えられない障害なんてないと僕は思ってる。だって僕たちには、確かな『信頼』があると思っているから。これまで一緒に過ごした月日がある。『障害』って、確かに大変なものもあるよ。でも、自分たちで『障害』と呼び、諦めているものもあるんじゃないかな。そして、どんな大きな障害も少しは抵抗できる気がする。さっき華菜が言ってたものに強いて名前をつけるなら、道に落ちているただの『石ころ』だよ。そんな小さなものは気にもならない。僕が、簡単に払い退けて覆すよ」 僕は、この時間が二人の関係をさらに深められることを祈りながら話す。「それに、僕にダメな部分があってそのために華菜を救えないのなら、何がなんでもそんな自分を変えるよ。華菜のために自分を変えることを嫌だとは思わない。全然大変でもじゃない。そんな大変さより、華菜の幸せを僕自身が奪うことの方がずっと苦しい。そのためなら、僕はいくらでも強くなるよ」「悠希、そこまで考えていてくれたのね」  彼女の表情が、少し柔らかく
last updateHuling Na-update : 2025-06-21
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二十二章 「わかり合えないよ」

「涙って、複雑だね」 彼女は、ゆっくりと顔を上げた。 今彼女は涙を流していた??「どういうこと??」「今、悠希の私を思うまっすぐな気持ちが嬉しくて涙が出た。涙を流した理由は、それがかなりの割合を占めてることは確かなことだよ。でも、実は私の心にずっと浮かんでいる別の感情があって、それも関係して『涙』という形で外にあふれたのだと思う。涙がもっと単純で、一つの感情だけで流れればいいのにね」 彼女の横顔は、大人っぽいけど寂しそうだ。 僕は子どもの頃から我慢して涙を流さないように生きてきたから、涙の仕組みはよくわからなかった。 「同じ体験をしないとわからないこともある」と彼女はさっき言っていた。その言葉が突然ずしりとのしかかってきた。 彼女のために涙はどうして流れるかすぐに考えてみた。同じじゃなくても、わかることができると彼女に伝えたい。 人はどうして、どんな時に、涙を流すのだろうか? 多くの場合、ある言葉や行動を受けて、何かしらの大きな感情が自分の中で生まれたからではないだろうか。 つまりは、感情の放出だ。 それはずっとため込んでいたものもあれば、今の気持ちだけの時もあるだろう。 きっと涙とはあふれるもので、流している本人もその時はそんなに難しいことを考えていない気がした。  もちろん、『嘘泣き』などのようにわざと泣いている場合は、これらからは除外される。 だからだろう。涙を流しながらも、涙について彼女が冷静に分析をしている姿に、僕はさっき寂しさを感じたのだろう。 涙について深く考えて悩む人もたぶん多くはないだろう。 そして何より涙を流している時ぐらいは、誰かに甘えて頼っていいのにと僕は思う。人間はそんなに強い生き物ではないのだから。 でも、彼女はそれを一切しない。いつも一人で何でも解決しようとする。一人で平気なふりをする。 彼女が平気なふりをしていることに、僕はやっと今気づけた。本当は全然平気なんかじゃないのに、彼女は笑顔を見せる。 僕は、彼女を抱きしめた。「華菜をずっと苦しめている別の感情って何?」  僕は、彼女に聞いた。 彼女が自分から助けを求めないなら、僕が行動を起こせばいいだけだ。 先ほど伝えた僕の思いだけではまだどうにもできないものがあるなら、もっと彼女に関われば変えられるかもしれない。 普段はしない行動も、す
last updateHuling Na-update : 2025-06-22
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二十三章 「二人の問題」

「華菜は、いつも一人で抱え込みすぎだよ。いや、他の人なら、一般的に一人で抱え込まないことまでも、華菜は抱え込むところがある」 彼女は、じっと話を聞いている。「そして今華菜が悩んでいることは、一人で抱えるにはあまりにも大きすぎることだよ」「だからって、どうして悠希の問題でもあると言えるの?」 彼女の唇は少し震えていた。「華菜がさっき言ってたよね? 『もう後には戻れない』って。あれは言い換えれば、『助けて』という言葉だと思えた。少なくとも、今僕はそう感じている。助けを求められたなら、もう僕はこの問題の関係者だよね」「何を言ってるの?」 彼女は、かなり困惑している。 でも、僕は話すことをやめなかった。彼女を安心させるためなら僕は何度でも言葉をかける。 『言葉』は、それだけでは小さな力しかないかもしれない。 でも、他のことと組み合わせることで、力を大きくできる可能性があるかもしれない。「僕は、華菜が苦しんでいるのをもうほっておけない」「悠希。優しすぎるよ」 彼女の言葉から『苦しさ』があふれてきた。 彼女は誰かに優しくされることも怖いかもしれない。 でもそれを怖がるのは、彼女も優しい証拠でもあると僕は感じた。 相手のことを思っていなければ、きっとなんとも思わない。だって相手が自分のためにどんな感情になっても、自分には関係ないことなのだから。 でも、彼女の優しさは、他人に大きく傾いている。いや、たぶん他人しか向いていない。いつも相手のことを思い考えている。 少しでもその優しさが自分に向けばいいのにと僕は思った。優しさを自分に向けることは、おかしなことではない。 自分を一番知っているのは自分だ。感情が簡単なものではないことはわかっている。自分を褒めるのって意外と難しいのも知っている。 でも、だからこそ他人だけでなく、自分にも優しくしてほしいと僕は思う。「優しいのは、華菜だよ。自分が苦しいのに、今僕のことを気にしてくれてるのだから。僕もそばにいるんだから一緒に考えさせてよ。僕は、華菜を救うんだから」 彼女は、僕の目をちらっと見た。 今彼女は悩んでいるのだろう。 彼女の手を握りたいと、僕は強く思った。「問題解決法を今思いついた。解決法というよりは考え方に近いけど、誰かと比較したり常識などの社会のきまりのようなものに、自分の悩みを無理
last updateHuling Na-update : 2025-06-23
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二十四章 「全て教えなきゃダメなの?」

「私は悠希に全てのことを教えなきゃダメなの? それを受け入れるのは難しいよ」 彼女は、同じ言葉を繰り返した。 彼女が同じ言葉をすぐにもう一度言う時は、何かしらの強い思いがあることを僕はもう知っている。 彼女と言葉を重ねるごとに彼女のことをどんどん知っていくのに、彼女の心の扉を僕が開くことをいまだにできていない。 何があれば彼女は心を開いてくれるのだろう。彼女が時折見せる違和感から僕はそれを見つけることができるだろうか。 そして、今回はいつもより彼女の言葉から強い抵抗感がにじんでいた。「そういう意味で言ったんじゃない!」 彼女の思いに向きあいたくて、僕はつい強く言ってしまった。 自分の声に自分自身が驚いて、そして、また後悔した。 強く言ったところで相手に思いが早く伝わるわけではないし、相手を怖がらせるだけだ。その行動はマイナスなことしか生み出さない。 僕は、僕の伝えたいことと彼女が僕の言葉から受け取ったことに大きな違いがあることに気づいた。 僕は、彼女が嫌がっていることを無理やり聞こうとは思ってはいない。そういう意味で「もっともっと話してくれないかな」と言ったんじゃない。 その誤解をどうにかして解きたいと思った。 僕が考えているうちに、彼女はまた話し始めた。「私はたとえ好きな人や大切な人でも、全てのことを教えようとは思わないし、むしろそれは意味のないことのようにさえ感じる」「華菜はどうしてそう思うの?」 僕は、そんな風に考えたことがなかった。 大切な人だからこそ、信頼してなんでも話したいと僕は思う。 この点に関しては、彼女の考え方と真反対だとわかった。 それなら彼女はどんな人なら頼ろうと思うのだろう。僕はどんな人になればいいのだろう。 そして、彼女はどうしてそういう風に思うようになったのか純粋に知りたくなった。「それは相手の全てのことを知らなくても、会話、デート、そして生活さえもすることができるから。相手が言いたくなさそう部分はあえて聞かず、見て見ぬふりすればいいだけよ。何も難しいことじゃないし、みんなしてることだよ。どんなに親しい人であっても、触れられたくない部分はあると私は思う。それに大多数のカップルや夫婦は、相手に全てをさらけださずに一緒にいるよ。つまりは、それをする必要性はそんなにないのよ。別に全て知っていなくても、
last updateHuling Na-update : 2025-06-24
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二十五章 「何を恐れているの?」

「華菜のことを、また考えられていなくてごめん」 そう言いながら、僕は彼女に謝ってばかりだと気づいた。 僕は、謝ることは嫌ではない。 でも、謝られることも人によってプレッシャーに感じることもあるのだろうか。 何度も申し訳ない顔を見ることを、気まずく思う人もいるかもしれない。「謝ることじゃないよ」 彼女は、はっきりとそう言った。 でも、それは僕をかばっているのではないとすぐにわかった。 彼女の意志は、強くて変わらないようだ。 僕は、空を見上げた。 僕は、一体どうしたらいいのだろう。 彼女の気持ちや思いを聞き、彼女のためにどうしたらいいか考えてきた。それらはすぐにはうまくできなかったけど、少しずつ彼女の心に近づいている気がしていた。 でも、僕はまた間違えたようだ。 いや、彼女の言う通りで、誰かが誰かを救うことは本当にできないのだろうか。 答えはまだわからない。でも、僕は救えないことにどうしても納得することができなかった。 いつのまにか太陽は沈み、うっすら暗くなってきている。 彼女を探しに外に出た時は、まだ昼間だった。それから彼女を見つけ、今もずっと話をしている。 かなり長い間外で話していると僕は気づいた。 話し合いをすることはとても体力のいることだし、さらに外にいるとどうしても気を張って疲れてしまうものだ。「まだ話は終わってないけど、寒くなってきたから僕の家に戻らない?」「うん」 彼女が僕の言葉を受け入れてくれたから、僕たちは家に向かって歩き出した。 帰っている間手は繋いでいたけど、僕たちは特に会話をしなかった。きっと彼女も疲れていたのだろう。 僕は、その間に救うことについて考えていた。 彼女にプレッシャーを与えず、救うにはどうしたらいいのだろうか。 彼女の辛いこと、抱えているもの、彼女の気持ちを知った。 僕が頼りにしていた『言葉』だけでは、彼女を救うことはできなかった。 また、いくら思いが強くても、それが相手に届かないようでは意味がないとわかった。 もしその思いをちゃんと何かの行動にすることができれば、彼女の心に届くのではないだろうか? 常識にとらわれず客観的にもう一度彼女の苦しみについて考えてみることで、あることに僕は気づいた。 彼女を探している時ははてしない時間のように感じていたのに、帰りはすぐに家に着い
last updateHuling Na-update : 2025-06-25
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二十六章 「彼女が恐れていたこと」

「私の負けね」 彼女は、突然そう言った。「負け??」 僕は正直何の話なのかわからなかった。もちろん僕は彼女と勝負をした覚えがない。「そう。悠希の観察力と私に対する思いの大きさに、私は根負けしたのよ。だから、私が恐れていることを教えるよ。でも、その前に悠希に謝りたいことがあるんだけどいい?」「謝りたいこと?? いいけど、何か華菜は悪いことをしたかな」 考えてみたけど、僕にはすぐには浮かばなかった。 むしろ、僕は彼女のために大したことはできていないと思っている。 僕がもっとしっかりしていれば、彼女を救えるはずだ。「今まで悠希を一切受け入れず、屁理屈ばかり言ってごめんなさい。私がそんな態度ばかりとるからだから、悠希はかなり困ったよね」 彼女は深々と頭を下げた。「そんなこと気にしなくていいよ」 予想外な展開の話ではあったけど、そんなことは本当に小さなことだった。 むしろ、彼女と話すことで僕は新しい考え方を知ることもできた。 僕から感謝の気持ちを伝えたいぐらいだ。「私がそう振る舞ったのは、恐れているものが大きく関係している。私が恐れているのは、『私の力のせいで悠希が不幸になること』だよ。私が今まで悠希に言ってきた言葉はすべて嘘よ。いや、本心ではなかったと言う方が正しいかな。きっと本心をそのまま言えば、悠希に悪影響がでてくると思った。心の中では悠希が言ってくれた言葉一つ一つがどれも本当に嬉しく感じていた。感動も何度もした。何をしてもダメな私に、何度も何度も真剣に向き合ってくれて感謝の気持ちしかない。こんなに私を愛してくれる人は、きっと今後いくら探してもいないだろうと思った。だからこそ、私はどうしても悠希を不幸にしたくなかった」「不幸にすることと、本心を言わないことはどんな関係があるの?」 僕には、まだ彼女の話がうまくつながっていない。それでも彼女の手を、いや心の扉を今つかみたいと思った。 今なら開けられる気がした。「私が、悠希の言葉を素直に受け入れるときっと悠希とさらに仲を深めることになる。二人の距離が近くなると、私の力のために悠希が不幸になる可能性がぐっと高くなるから。私が今まで不幸にしてきた人は、私と関係性が深くなった人が圧倒的に多いから」 僕はその言葉を聞きながら、彼女の母親や彼女の従姉妹で今はもう亡くなってしまった美琴が頭にすぐ
last updateHuling Na-update : 2025-06-26
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二十七章 「僕が、君を守る」

華菜は、今まで誰にも頼らず、一人で自分自身を守ってきて本当にすごいよ。人は強くないから、なかなかできることではないよ」 僕は、彼女を褒めた。 褒められたり認められると心が温かくなるから。 彼女がこれまで自分自身を褒めてこなかった。その分を今日から僕がたくさん褒めようと思った。「まあ無自覚なんだけど」 彼女は、乾いた笑顔を浮かべた。 僕はその表情さえも変えたくて、さらに言葉を紡ぐ。「そんなことは関係ないよ。これまで生きていてくれてありがとう。華菜がどこかで人生を諦めていたら、僕は華菜に出会うことすらできなかったんだから」「私に出会えて本当によかった?? 私は悠希に大したことできていないし、迷惑ばかりかけてきた気がするけど」 彼女も僕と同じで、自分に自信がないと今ではよくわかる。 彼女は神秘的だけど、僕とよく似ているから。「僕は、華菜に出会えて幸せだよ。それは誰に何を言われても、覆らないことだよ。華菜のおかげで様々な考え方も知れた。華菜に出会わなければ、今の僕はいない」 彼女は、僕の言葉に耳を傾けている。「そして、これからは僕も華菜を守るよ。華菜はもう一人ぼっちじゃないよ」「悠希も守ってくれるかあ」 彼女は僕の言葉を受け入れるかのように、ゆっくり繰り返していた。「まずは、前に少し話した話だけど。僕が華菜の安心できる場所になるよ。前にそのことを言った時、どうなるかまでは話していなかったよね?」「そうね」 彼女の表情が少しだけ柔らかくなった。「僕には、いつでもなんでも辛いことを言っていいよ。ただ僕がそばにいるだけじゃない。僕は華菜の全てを受け止めるから。何があっても裏切らないし、僕だけは華菜の味方だよ。それだけじゃ華菜も申し訳なくだろうから、僕もこれからも華菜には隠し事はせずになんでも話すようにする」「お互いに心のうちを見せ合うのね」「そうそう。あと華菜は『自分自身を嫌い』と言ってたよね? それなら僕がそれ以上に華菜を好きになる。暗い感情さえも、僕がそばにいることで変えてみせるから」 僕はそのまま話を続ける。「次に、前に華菜が言っていた『親の世話』について詳しく教えてほしい。具体的にどんなことをしているの?」 僕は今までそのことに触れてはいけない気がしていた。聞き方によっては相手を傷つけるかもしれないから。でも、それは言い訳
last updateHuling Na-update : 2025-06-27
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二十八章 「『堕天使』に優しさを」

「華菜の心に棲みついている『堕天使』の話だけど」 僕はこの話もしっかり二人で話し合い、お互いの考え方を知りたいと思っている。 相手の考え方がわかっていないと、困っているときに求められている行動をすぐにとれないから。 彼女は、僕の言葉を聞いて、ビクッと体を震わせた。 僕は、彼女が何に怯えたか予想がついた。 彼女はきっと僕と同じようなことを思っている。「大丈夫だよ。華菜が今想像したような話じゃないから」「えっ!?」「華菜は心に棲みついている『堕天使』を追い出すことを躊躇っているよね? 大丈夫。僕は追い出そうと言わないから」「どうして私の気持ちがわかって、さらに悠希もその考えを受け入れてくれるの?」 彼女はいつものように不思議そうな顔をしていた。 その顔を見ながら、僕はハッとした。彼女は不思議そうな顔が|様《さま》になるのではなく、不思議そうにしている仕草や表情が素敵に見えるのだ。それは『堕天使』が心に棲みついているからだけではないだろう。『不思議』が似合う人はきっと多くはいない。それも彼女の魅力の一つだろう。 そのことをまた彼女に話そうと思うと、胸がワクワクしてきた。「それは、華菜はどんなに辛い話を僕にしている時でも、一度も『堕天使』のことを悪く言う言葉を言っていなかったから。原因は『堕天使』にあるだろうに、僕はそこになんだか違和感を感じた。確かに追い出す方法は現時点ではわかっていないけど、積極的に追い出す方法を探している感じも見られない。そこまではわかったけど、その理由までは僕にはわからなかった。華菜が追い出すことを躊躇っている理由を教えてくれないかな?」「悠希の考え通りで、私は『堕天使』を心から追い出したくないと思っている。その理由は、追い出した後のことを考えるからだよ。私は、『堕天使』、いやこの子の存在を消されたくない」「それは、どういうこと??」 僕は『堕天使』を彼女の心から追い出せば、彼女も苦しまなくていいと思っていた。『堕天使』のその後のことまでは考えたことはなかった。「確かにこの子はたまたま私の心に棲みついただけだよ。でも、もし私が追い出してしまえば、神様はきっと弱っているこの子を必死に探し、完全に殺すと思う。『堕天使』は一般的には『悪』と勝手に決めつけられ、いてはいけない存在とされている。でも、たったそれだけの理由で殺
last updateHuling Na-update : 2025-06-28
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二十九章 「僕は、不幸に思わない」

「華菜がそばにいてくれれば、何が起きても僕は不幸と思わないよ」「私がそばにいれば?」 彼女は、手を口にあてていた。 驚くことを僕はわかっていた。彼女は今まで自分がそばにいることで人を不幸にしてきたと思っているから。 でも、驚かせるだけじゃなく、僕には今回お話をすることで変えたいものが明確にあった。 ただ結論を伝えれば、会話とはよいものではないと僕はわかった。結論に至った流れやその理由も合わせて伝えることで相手は安心できる。「華菜は僕にとって『天使』だよ。出会った時から華菜はずっと僕を照らしてくれている。うまくできないことが多い僕にとって、華菜は本当に光って見えた。それはきっと『堕天使』が心に棲みついているためだけじゃない。華菜自身が確かに輝きを放っていた。華菜は気づいていないかもしれないけど、これまで僕は何度も何度も華菜に救われてきたから。それは大きなことから小さなことまで様々なことがあった。だから、そばにいると誰かを不幸にしてしまうなんて悲しいことは言わないで。華菜は、僕を何度も救って幸せにしてきたことは、紛れもない事実だよ」「悠希」 彼女は涙を流しながら、僕の名前を呼ぶ。「それに、たとえ自分にとっては人生は『苦しみ』であっても、他の人が同じように見えているかわからないよ。相手の心は深く関わらないと見えないから、『苦しみ』は表面的には見えないと思う。または、心まではわからなくても、華菜が頑張って生きてる姿に勇気をもらえている人はいるかもしれない。心のうちを知った僕にも、華菜は今も輝いてみえるよ。そして、僕の一番の『幸せ』は、華菜といることだ。『僕のそばにこれからもいてくれない?』とお願いをするよ。僕の人生に華菜がいないと想像しただけで、胸がすごく痛くなる」 彼女のことをたくさん知った。 でも彼女はやっぱり神秘的で、『天使』という表現がぴったりだと今でも僕は思っている。「『天使』だなんて、褒めすぎだよ」 彼女の顔は、一瞬で真っ赤になった。 その後で彼女は、僕の話したことをゆっくりと受け止めていった。「本当にずっとそう思ってるんだから」 僕は彼女の疑問に思うことに答えながら、そう言った。「そうだったんだね。私なんかをそんな風に思ってくれていて本当にありがとう」「『私なんか』とか、自分を下げる言い方をしなくていいんだよ。華菜は立派に
last updateHuling Na-update : 2025-06-29
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