彼女は、はっきりとしない僕をキリッとにらんできた。 でも、彼女の表情から怒りはなぜか感じられなかった。「そもそも私と悠希は、違いすぎるよ」 否定されるとその物事だけでなく、僕自身を否定されたように感じる。 「しっかりしろ!」と自分自身に言葉を投げかける。僕は『言葉』の力をまだ信じているのだろうか。それとも他人には効果がなくても、辛い時僕は『言葉』に救われてきたから自分には使うのだろうか。「まず、私たちは性別が違うよね?」 彼女は、落ち着いた声でそう言った。「それはそうだね」「性別が違うこと。悠希はきっと『たったそれだけ?』と思うよね。でも性別が違うことで、結構ズレは出てくる。その違いで、悩むことや相手に求めることはかなり違うんだよ」 彼女は、僕の目を見つめた。「女性は、私と同じようにありのままの自分を全部受け入れてほしいと思う人が圧倒的に多い。聞いてほしいけど、助言を求めていないこともよくある。一方、男性はありのままの自分を見せたくないし、そもそも自分の弱さを認めたくないと思う人が多い。そこには、男性のプライドの高さが関係している。女性からしたら大したことないと思うことでも、男性は大切に思っているということもある。どちらも自分勝手と問題視しないことはできるよ。でも、悠希はそうはしたくないんでしょ? 性別によって、こんなにも違いがあることを悠希は知っていた?」「知らなかった」 彼女の言う通りで、僕はそこに気づくことができていなかった。 また、違うからいってそこを軽視したくないし、ちゃんと理解したいとも思っている。 それが相手を受け入れることだと思っているから。「まあ、知らないことは珍しくはないと思うよ。人は意外と物事について深く考えていないから。みんな考えているように装っているだけ。私は人生の中で考えることが何度もあったから知ってるだけだから。でも、これで違いがあるのがはっきりとわかったよね」 彼女は、どうしてそんなにせつない顔をして、違いをわざわざ教えてくれるのだろう。 まずわかったことは、考える機会がたくさんあったということは、それだけ彼女の人生は大変なことが多かったということだ。「さらに、もう一つ悠希に教えてあげるよ。悠希も多くの男性と同じようにプライドを持っているよ」「僕が、プライドを?」 それは、ついさっき自分自身
Huling Na-update : 2025-06-20 Magbasa pa