僕は、すぐに家の周辺を探すことにした。 彼女は何も持たず出て行ったから、スマホに連絡しても意味がない。非常事態の時に、いつも使っているものは役に立たないことが多い。 彼女が家を出てすぐには追いかけられなかったけど、まだ彼女はそんなに遠くに行っていない気がしたから。 僕には、彼女がどこに行ったか検討がつかなかった。 突然のことに頭が混乱してるところもあるけど、すぐに思い浮かばなかったことは情けなかった。 僕は、好きな人の困っている時に助けられないことを意味しているような気がしたから。 それでも、僕は歩みを止めることはできない。 僕が、彼女を探し出さなければいけない。これは僕が巻き起こしたことだから。 あたりをしばらく探してみたけど、彼女の姿は見当たらなかった。 もし彼女がいたなら、遠くからでも気づける自信があった。 彼女は他の人にはないオーラを放っているから。 もしかして彼女の背中に羽根が生えていて、それを使い飛んでいったのだろうか。 そんな考えが浮かんだけど、僕はすぐにそれを否定した。 いくら彼女でも、それはあまりにも非現実的だから。 息を切らしながら再び前見上げると、小学生が集団で楽しそうに下校していた。 人の楽しそうな顔を見ると、彼女のそんな顔が頭に浮かんだ。 彼女の笑顔を見たい。 でも、僕が彼女の笑顔を奪った。 その変えることができない事実が何度も心を痛めつけてくる。 一方で、もうそんな時間なのかとも思った。彼女が家に来て、ずいぶん時間が経ったとその時に気づいた。 僕は、時間を使うのが下手だと思った。こんなにも時間があったのに、彼女が前に涙を流した理由を全く聞き出せていないのだから。 かなりの時間を無駄にしたようだ。 そのまま家から一番近い駅に向かった。 彼女が、電車に乗って僕の知らないどこか遠くの地に行ってもう二度と会えない気がしたから。 そんな大したことじゃないかもしれない。 先程のことをただのケンカのともとれる。確かに二人は離れ離れになった。でも、きっと今後一生会えないわけではないだろう。 でも、僕はどんな時でも彼女を大切にしたいと思っている。 たとえ他人が些細なことと感じても、僕にとっては今回のことは|大事《おおごと》なのだ。 『探す』という選択肢しか僕には浮かばなかった。 そもそも僕と彼女
Last Updated : 2025-06-10 Read more