結婚式を目前に控えたある日、私、原田小春(はらた こはる)の婚約者である白石真一(しらいし しんいち)は、原田恵(はらた めぐみ)が交通事故に遭い、失明したことで、そのすべての責任を私に押し付けた。そして彼は、私を冷蔵倉庫に閉じ込めたのだった。まる一日一夜、私は冷たい隅っこに丸まり、体は凍えて感覚を失い、意識も次第に遠のいていった。凍え死ぬのだろうか――そう思ったその瞬間だった。幼なじみの高峯健司(たかみね けんじ)が、冷蔵庫のドアを蹴破って、私を救い出してくれた。彼の手は血で染まっていたのに、そんなことはお構いなしに、ただ私を強く抱きしめ、その眼差しには痛ましさがあふれていた。それを聞きつけた母は、怒りのあまり我を忘れて車で駆けつけようとしたが、途中で事故を起こし、重傷を負ってしまった。高額な手術費に直面し、私はやむなく白石真一のもとへ行き、母が私にくれた持参金を返してほしいと懇願した。ところが彼は、同情の色すら見せず、冷ややかに笑いながら氷水を私に浴びせ、「出て行け」と吐き捨てたのだった。絶望のどん底にいたその時、高峯健司が突然現れた。彼は高額な手術費用を全額立て替えてくれただけでなく、深い愛情を込めてプロポーズまでしてくれたのだ。「小春、あいつが君を愛してないんなら、俺が貰う。一生守ると誓う。決して離したりしない」けれども、母は手術中に脳出血を起こし、結局、私の元から永遠に去ってしまった。泣き崩れる私を彼はしっかりと抱きしめ、決して離さないと約束したのだった。結婚して五年、健司の私への愛情は、まるで燃え盛る炎のように変わらず熱かった。世界中が彼が私を命よりも愛していると知り、私たちはついに愛の結晶を授かろうとしていた。その知らせを健司に伝えようと、心躍らせていた矢先のことだ。彼と秘書の会話が耳に入ったのだった。「社長、ご指示通り、ご遺言の全財産の受益者を原田恵様に変更いたしました。それと、お求めになったバッグも恵様にお届け済みです。残りの追加購入品はどういたしましょう?恵様はあまりお気に召さないご様子で……」「……じゃあ、小春にやれ」私はドアの前に立ち尽くし、体は震えが止まらず、頭の中は真っ白だった。そうだったのか……健司が私にくれたスカーフやブレスレット、マグカップ……愛の証だと思ってい
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