私の夫は「コレクター」だ。 彼は初恋の相手の千枚以上の写真、制服、そして使っていたヘアゴムを集めていた。 さらに、彼女のレースのナイトウェアまでクローゼットにしまっていた。 私の心は嫌悪感に満ちた。彼が初恋相手を追いかけるのを助けるため、私は離婚届を突きつけることにした。 しかし、何の気なしにサインした彼は、真実を知った途端、豹変した。 ...... 夜になり、部屋には微かな光が灯っていた。 結城幸雄(ゆうき ゆきお)がドアを開け、身体を押し入れるように入ってきた。 彼は腰をかがめて靴を履き替えながら、淡々と言った。「どうして電気をつけないんだ?」 私の頭は真っ白で、ソファに座ったまま全身が硬直し、しばらくどう切り出していいか分からなかった。 午後、私は急に思い立って、あの物置を掃除した。 そこでダイヤルロックを見つけたのだが、きっとその持ち主は急いでいたのだろう、きちんと閉まっていなかった。 だから、私は苦もなく中にある秘密を探り当てることができた。 千枚以上の写真、二着の制服、数本のヘアゴム、そして一冊の日記。 写真に写っていたのは幸雄の初恋の人、新沼美愛(にいぬま みあい)だった。 彼女の笑顔、泣き顔、甘える顔、どの写真も撮った人間の用心深さがうかがえた。 その日記には、持ち主の愛する人への叶わぬ恋と限りない思慕がぎっしり詰まっていた。 私の全身の血が逆流し、氷の穴に落ちたようだった。 ようやく、ある事実に気づいた。 幸雄は私を愛していない、彼が愛しているのは美愛だ。 今になっても、私はこの事実に衝撃を受け、立ち直れずにいた。 幸雄は私の異変に気づかず、電気をつけ、いつものように私の前を通り過ぎた。 突然、私の視界の隅が一筋の真っ赤な色に刺された。 それは999本の赤いバラの花束だった。 私はかすれた声で幸雄を呼び止めた。彼は不審に思い振り向いた。 「何か?」 「手の中のバラ、どこで手に入れたの?」 私は幸雄の目に一瞬よぎったやましさを見た。 しかし彼は淡々と笑って答えた。「これのことか?もちろん買ったんだ。ドライフラワーにして、寝室の壁に飾ろうと思ってね。どう思う?」 私がどう思うかって? とても吐き気がする。 なぜなら、そのバラの花
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