セックスレスの結婚生活も五年目に突入したある日、仏教を信仰している夫と義理の妹がホテルに入ったというメッセージが突然スマホに表示された。その直後、私が夫を誘惑しようとセクシーな姿で近づいたものの、冷たく突き放されたプライベート写真が、私の勤め先のグループチャットに晒された。グループ内は嘲笑と皮肉で溢れかえった。【命懸けで川村社長との結婚を迫ったくせに、川村社長は身の潔白を守るために出家までして、愛する人とも別れる羽目になったんだよな】【五年間も彼女を我慢してたんだから、今さら本命とヨリを戻すのは当然の流れでしょ】重い病を患っていた父は、この屈辱に耐えきれずそのまま息を引き取った。だが、夫は葬儀にすら姿を見せなかった。その晩、私は川村景吾(かわむら けいご)の母の前にひざまずき、離婚を申し出た。「昔、あなたはおっしゃいました。私は景吾の運命の人で、私たちが結婚すれば、彼の未来は大きく開けると。だから私は高額な医療費を支払っていただくことを条件に、五年間この結婚を続けると約束しました。今、その五年が終わりました。どうか、もう私を解放してください」景吾の母は私を見つめ、目にはどうしようもない諦めが浮かんでいた。「昔ね、景吾の運勢を占ってもらったことがあるの。早織と一緒になると、大きな災いを招いて、家が傾くって言われたのよ。でもあなたは、ずっと景吾のことを想ってきたし、運勢的にも彼を助けられる『福を呼ぶ女』だって言われてね。それで医療費を理由に、無理やりあなたに景吾と結婚させたの。でも、そのせいで景吾はあなたに強い反発を抱くことになって、世間にも誤解されてしまったのよ。ずっと辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい。彼の運命にその災いが避けられないなら、もう好きにさせるしかないわね」景吾の母は静かに頷き、私は立ち上がって自分の部屋に戻った。スマホが止まることなく震えている。藤田早織(ふじた さおり)からだった。目に飛び込んできたのは、目を覆いたくなるような写真の数々。冷たく禁欲的だったはずの景吾が、今はうっとりとした目で、まるで信者のように早織の足の甲に口づけしていた。結婚した夜、彼が手首の数珠を見せながら「家族の教えで七情六欲を捨てた」と言っていた、あの冷めきった表情とはまるで別人だった。早織の得意げな
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