All Chapters of 落胤拾っちゃいました。: Chapter 11 - Chapter 13

13 Chapters

11話 落胤の兄離れ

 今日はハミがうちに来る。 俺は特に何も心配していないが……フィルの様子がおかしい。  フィルはなんだかぼーっと中空を見てる。「なんか曇ってる?今日は洗濯物を外に干せないね」 ……思いっきり晴れてるよ……大丈夫かな?「フィル、どうしたんだ?普段よりずーっとぼーっとしてなんかキレがない」「えー?俺は変わらないよ?」「「変わらない」という発言をする時点でちょっといつもと違うんだよ。どうしたんだ?母上に相談しようか?」「うわー!!それは勘弁してくれ。勘弁してください!」 うーん、母上は強いなぁ。「わかった。言わないよ。あ、ハミが来るけど一緒にレーカも来ると思う。二人で交流するといいんじゃない?ただし!婚約もしないで手を出したりしない事!」「シェイクの方が奥手じゃんかー」「コラ、ほっぺた膨らませてもダメだ。もうお前だって可愛いって年じゃないんだからなっ!」 とはいえ、ほっぺたを膨らましたフィルは可愛い。やっぱ可愛い弟だよなぁ。ハミがうちに来るようになって久しい。近所(と言っても、実際には離れてるけど……)の貴族様は『あの家の子は遂に人間を拾うようになったのか』と噂をしているようだ。俺は思う。失礼な(?)俺はフィルも拾った。フィルは立派な人間だ!「ごきげんよう。伯爵様」「あ、面倒だからシェイクでいいよ。俺もハミって呼ぶし」「では、シェイク様と……」 うーむ、身分の壁というものは分厚いようだ。「立派なお庭。特に土が素晴らしい!……あっ、こんな話は伯爵様に言う話ではないですね」「いや、面白い話だしー。あと、俺はまだ家ついでないから‘伯爵様’じゃないよ。次期だけど。……で、シェイクと呼んでって言ってるのに」「あ、申し訳ありません。ここ、いろんな動物がいて楽しいですね。庭にリスが……」「ふえっ?あぁ、戻って来たのか?以前に俺が拾ったんだけど、番見つけて帰ってきた?ここは療養所であって、‘家’ではないんだけど……」「家族と思ってもいいんじゃないですか?」「そうか?そうなのか?……なんか嬉しいな」********** シェイクが楽しそうだ。リスが戻ってきて嬉しいのか。俺も家族みたいだし。家族だろ?むしろ。 俺は嫉妬してるのか? こんな草葉の陰からのぞき見して。
last updateLast Updated : 2025-06-27
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12話 落胤の衝撃

「ハミにも紹介する。俺の弟分、フィルだ。非常に優秀な男だ」 あんまりフィルをほめちぎるとハミがフィルに惚れかねないからな。拾ったことはまだ内緒。「フィルです。主にこの伯爵家の領地経営に携わったりしてます」「で、こっちがレーカ。伯爵家の令嬢らしい。ってハミの方が知ってるか」「レーカがいたのか、いつから?」「えーと、だいたいハミが来たくらい?うふふっ、フィルの事もよく見ていてよ!」「レーカはフィルが好きだからなぁ」「私は頭の回転が速い殿方が好みなの。フィルは容姿もいいし。サイコーよ」「ふっ、そうだろう?自慢の弟だからな」「そっかぁ、レーカ様はフィル様の事が好きなんですね」「もう、ハミは私の事を呼び捨てで呼んでって言ってるのにー!」「赤面しながら言ってもなぁ?ところでフィルはレーカをどう思ってるんだ?」「え、流れ弾?えーと、俺は領地経営の事を考えてるから、何とも思ってない。かな?」「レーカ撃沈!多分フィルはうちの森のリスの方が好きだと思うぞ」「……私はリス以下……」「あ、ハミはうちにいつでも来ていいぞ。門番に伝えとく!出入り可能だ。害をなしたら、ほら……うちの番犬のようなフィルが地の果てまで追っていく」「フィルに追ってほしい……」「動機が不純だ。そんな理由で犯罪を犯すな!その場合、普通に王宮の兵士に追ってもらう」「そんなぁ……」 ふんっ、フィルをそんな理由で貸し出せるかよ。そもそも追っていかせる気などない! 自慢じゃないが、我が家のセキュリティは結構できてる。捕るのは捕れるかもしれないけど、庭の動物が騒ぐ。 ハミは言う。「ここいいですね。動物いっぱいで。うちの農地みたい!」「そういえば、ハミの家は何を作っているの?」「いろいろ作ってますよ。なので、うちの方でもたくさんの動物がいるんです。たまには害獣になるんですけどね……」「「害獣?」」 俺もフィルもわからなかった。フィルは知ってて知らないフリかもだけど。「えーっと、作った農作物を食べちゃうんですよ。うちで飼ってるわけじゃないですよ。野生の動物です。で、味をしめて代々うちの農地に来るようになるんです。うちでも対策するんですけどね」「どんな?」「え?農地を鉄条網で囲うとか?」 けっこうハードな農地にちょっと引いてしまった。農業も難しいんだなぁ。領民に感謝。「ここ
last updateLast Updated : 2025-06-28
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13話 落胤の決断

「シェイク。俺は陛下と一度向き合って話してみる」「それは重要だな。母上には話してあるのか?」「……まだ話してない……」 とりあえず、相談しましょう。「フィル、随分大胆になったわね?なんか心境の変化でも?」「流石です。そうですね。色々と……」 二人でコソコソ話している……。ズルい、俺も混ぜろよ。 そして王宮に行った。今回は一人で向かった。……というか俺が置いていかれた。母上と行った。保護者付きだな。うん。「よくぞ来てくれた。ということは王位継承の件でだな?」「はい。恐れながら王位継承権は放棄したいと思います。私はこの身をハノーバー伯爵家に捧げる所存でございます」「うーむ、決意は固そうだな。どうしようか?国を潰すわけにもいかない……」「恐れながら!王位継承権を持っている貴族は他にもいらっしゃるでしょう?その方にお任せするのが良いかと思います」 流石シェイクの母上!ナイスアシスト!一緒に来てもらってよかった。俺一人だったらなし崩し的に王位継承権を認めてそのまま王宮に留められそうなところだよ。「話は以上ですので、御前失礼いたします」「―――で?フィルは王位継承権を放棄してきたんだな?」「しつこいなぁ。しつこい男は嫌われるよ?ハミさんは大丈夫かな?」「ハミは関係ないだろ!」 突然の発言に俺は動揺してしまった。「あ、シェイクの母上には助けられた。流石はシェイクの母上だよね~って感じだった」 なんかわかってしまう自分が悲しいがそうなんだろう。「シェイクは心置きなくハミさんと婚約してください。俺はシェイクの右腕として生活してくよ。いい?」 うーん、可愛い顔でおねだりチックな事をされるとなんともなぁ。「わかったよ。フィルはレーカと婚約するんだぞ!……こっちの方が難しいと思うんだけど?」「レーカ?何で?」「いやぁ、だってレーカはフィルの事大好きだからさぁ」「俺は何とも思ってないんだけど?」 おおぅ。レーカ物凄い撃沈。海の底まで沈んでいく様が想像できた。「俺は俺が「この娘だ!」って子と婚約したい」「おお、頑張れよ」 レーカ、ご愁傷様。その後の俺らは…… 俺、シェイクはハミと結婚しました。平民?それがどうした!俺はどうぶつの森の次期伯爵だ!……とハミの家の人の了承を得ました。 夫婦仲は良好。2男2女を育てています。母上がハッ
last updateLast Updated : 2025-06-29
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