「ねぇアイン、わたくしもう眠いんですけれど……。」 アインの勧誘から時は進むこと数刻。アビゲイルは眠気まなこで家路を進んでいた。「アビゲイル様、もう少し頑張ってください。あ、前に防壁が!」「ふわぁー何か言いましたかしら。わたくし、寝ぼけていてよく聞いていませんでしたわ。もう一度言ってくださる?」 ここまで読んだいただいてる読者の皆さんならばお分かりだろう。壁をぶち抜いたのだ。一瞬足りとも減速することなく。もうあと口から放射熱戦でも出せばもはやもう某怪獣である。ゴ……じゃなくて某怪獣との違いは水に沈むことくらいだろうか。「いや、なんでもないです。それより今はどこに向かっているのでしょうか。」「ん〜?わたくし、言っていませんでした?」「わ、わしはまだ何も言われておりませんが……。」「あぁそうでしたわね。もちろん行き先は当家の屋敷ですわ!」「お屋敷の場所を詳しくは存じ上げませんが、お屋敷の近くにあるという魔の森は反対です。」 進んでいなかったようだ。「……よ、予定通りですわ。(あら、うっかりぎゃくの門から出てしまったようですわね。わたくしらしからぬ凡ミスですわ。)」 彼女の為に弁明をすると本来の彼女は方向感覚に優れている方である。道に迷うこともほとんどない。彼女が行ったことない場所へ適当に放置しても無事に帰ってこれる程度には方向感覚に優れている。もはや弁明ではないが、野生の勘というやつだ。 「あの……。」「予定通り!ですわ!これ以上うだうだ言うなら一人で魔の森に一月ぶち込みますわよ?」「よ、予定通りでございますか……。魔の森に一人は死んでしまうのでご容赦いただきたく思います。」「よろしい。わかったならいいんですの。わたくしの心の広さに感謝するといいですわ!アイン、貴方にはわたくしが目にかけている騎士団で軽い慣らしをしてもらいますわよ。騎士団全員対貴方での模擬戦ですわ。ちゃーんとわたくしが死なないように見ていて差し上げますし死にはしませんわよ。そして一定時間無事に生き残ったらわたくしがご褒美をあげますから頑張ってくださいまし!」 勝てなくてもいい。なんなら攻撃が通じていなくてもいい。ただ生きてさえいれば。最後まで死なずに立っていた者こそが勝者なのだから。
Última actualización : 2026-02-06 Leer más