All Chapters of 魔物嫌いの魔食家令嬢: Chapter 21 - Chapter 24

24 Chapters

#20

「あら?わたくしは何しにこの森に来たんでしたっけ。まぁ、何はともあれ狩りはそれなりにしましたしこの辺で一旦終わりにしましょう。お腹も空いできましたし親交を深めるためにも食事にしましょうか。東方の島国には"同じ釜の飯を食う"なんて言葉もあるらしいですしね。それはそうとこの狐さんは何が好みなんでしょう。これとかはどうですの?」 「クゥーン……」 豚さんはダメみたいですわね。 「じゃあ……これは?」 「クゥーン……」 トカゲさんもダメですか……。 「これなんかどうですの?」 「クゥーン……」 鳥もダメですのね。 「あなた、以外と食の好みがありますのね。わたくし、野生で生き延びるためにもっとなんでもがっつくのを勝手にイメージしてましたわ。うーん……ここまで全滅となるとさすがのわたくしも困ってしまいますわね。」 「キュッ!?」 「急にがっつき始めましたけれどどうしたんですの!?別に好き嫌いしたからって捨てたりはしないから安心して欲しいですわ!わたくし、アビゲイルを甘く見ないでくださる?そうは言ったものの手持ちにあるのはだいたいが同系統の上位種と下位種ですし……。となると最初に候補から外していた"これ"も念の為試しておくべきですわね。はいどうぞですわ。」 「キャン!!キャン!!キャン!!」 「喜んでもらえてよかったですわ!どうぞ遠慮しないで食べてくださいまし!」  まさか狐の魔物が当たりだなんて思いませんでしたわ。
last updateLast Updated : 2025-12-08
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#21

 そいつは私に獲物を与えたきた。でも……魔物食べるの身体に悪いし、別にいらないんだよね私。あ、あのぉ……ほんと大丈夫なんで出来ればそのまま回れ右してお帰りいただけると幸いです。はい!「クゥーン……」 いや、でも今これを食べなきゃ殺られるかもしれないっていうのも考慮しなきゃだよね。いやでも、うーん……「クゥーン……」 いつこいつの堪忍袋の緒が切れて襲いかかってくるかも分からないしそろそろ覚悟決めなきゃだよね。いや、でもなぁ……「クゥーン……」「――"わたくしも困ってしまいますわね。"」「キュッ!?」 やばい!殺られる!た、食べます!食べますから!許してくださいご主人様!!「――――――"これ"も念の為試しておくべきですわね。はいどうぞですわ。」 おにい……ちゃん?「キャン!!キャン!!キャン!!」 え?なんで!お兄ちゃん!目を覚ましてよお兄ちゃん!ねぇってば!なんで目を覚ましてくれないの?ねぇ!ねぇ!そんな……いつものイタズラだよね?そうだよね?だってお兄ちゃんかくれんぼ上手だったじゃん!そりゃ正面から戦ったら私が勝つけどさ!『やっぱり強いな――は。お前自慢の妹だな。でもまだ俺も負けてやるわけにはいかないんだよね。だって俺は――のお兄ちゃんだからさ。』『いや〜ついに負けちゃったかぁ。強くなったな――。お前より弱い俺じゃ頼りないかもしれないけどさ、なにかあったらいつでもお兄ちゃんのことを頼ってくれよな。なにがあっても駆けつけてみせるから。』『お前なら一人でもやれるよ。母さんはああ言ってるけどさ、なんだかんだお前のことは認めてるから大丈夫。あとのことはお兄ちゃんに任せとけって!愛してるぞ、俺の自慢の妹。』 なにがあっても駆けつけてくれるって。いつでも頼れって。お兄ちゃんが死んじゃったら頼れないじゃんか……。「喜んでもらえてよかったですわ!どうぞ遠慮しないで食べてくださいまし!」 ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!
last updateLast Updated : 2025-12-09
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#22

 無事帰宅ですわ!まぁ日帰りで行ける範囲なんてたかが知れてますし無事もクソもねぇんですけどね。おっと、クソだなんてお下品な言葉を使ってしまいましたわ!こんな調子ではおばs……じゃなくてお年を召した方に怒られてしまいますわね。オホホホホホっ!「あ、そうそう!一応家族が増えるわけですしお父様……に言っても仕方ないですしお母様に報告しておきましょうか。こんなにもモフモフでプリティな狐さんですけれど一応分類上は魔物ですし"チェストォォォォォォォォォォ!!!"されない為にみんなへの紹介もしないとですわね。」  あらあら、可哀想な狐さん。こんなに震えちゃっていますわ。大丈夫ですので安心してください。わたくしがちゃーんとうっかり食べちゃわないように言い含めますわ。「あ、そうですわ!」 家族になるんですもの!名前を付けないとですわね。わたくしったらうっかりしてました。そうですわねぇ……リーゲルなんてどうでしょう!響きも悪くないですしね!たしか遠い異国の……なんてしたっけゲルマン?とかいうところの言葉らしいですけれど詳しくはよく分かりませんわ。 まぁそんなのはどうでもいいですわよね!こういうのは勢いとパッションと語感が命ですもの!我ながらネーミングセンスが冴え渡ってますわね!さすがわたくし!「おいでリーゲルちゃん!さぁ、行きますわよ!」※【独】Riegel(リーゲル):栄養バー
last updateLast Updated : 2025-12-10
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#23

「お母様お母様!ペットを捕まえて来ました!名前は|栄養バー《リーゲル》です!」「まぁ、なんて愛らしい子なんでしょう。ところでアビーちゃん?」 何か変なものでも受信したのでしょうか。名前を聞いた瞬間顔色が変わりましたわね。まぁお母様はこういう方なので気にはしませんけれど。「はい、なんでしょう。」「その白い狐さんの名前のことで一つ聞きたいことがあるの。――何か変なニュアンスはなぁい?」 何か妙なことを突然言いますわねお母様。でもこれと言って心当たりはないんですわよね。「特に何もありませんわよ?しいて言えば遠い異国の言葉らしいんですけれど意味はよく分かりませんでしたの。でも語感が良かったので採用してみましたわ!この子に相応しい名前はリーゲルの他にないと断言できますわ!なんせわたくしが考えましたもの!」「そう、ならいいわ。ところでその子はうちで飼うのかしら?」「はい、そのつもりですわ!狩人は狩りをする時に飼い慣らした獣を使って獲物を誘導すると聞いたことがありますし、きっとリーゲルはわたくしの良きパートナーになってくれますわ!」「魔物といえど生き物は生き物、その生き物を飼うというのならそれなりの覚悟が必要よ。それは分かっているの?」 ふっふっふ……お母様はわたくしを誰だと思っているんですの?わたくしはモフモフマイスター(自称)ですのよ!それくらい承知の上ですわ!「もちろんですわ!全力で可愛がるつもりですもの!」
last updateLast Updated : 2025-12-12
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