次の一撃で模擬戦を終わりにするとは言いましたけれど……どの技にするべきかしら。 わたくし、技名覚えるの苦手なんですの。我流という建前のもと適当に技名を言って乗り切っていましたけれど……ぜんっぜん良い技名が思いつきませんわ!そもそも狙いをどこにすべきかしら。メイド長に見られている以上変なことはできませんしどうしましょう。あぁどうしましょう。 男性のナニを切るのはやはりお下品でしょうか。となると首?うっかりスパッとやってしまいそうで怖いですわね。そもそも血を被ってはきっとメイド長に怒られますし大事をとって流血しないように…… 柄!柄で殴れば血は出ませんわよね!正面からやれば嘔吐物がかかってしまって流血の二の舞ですし高速で移動しながらすれ違いざまに背中に剣の柄を撃ち込めば……大丈夫そうですわね!やったことはないですけれどなんとかなりますわよ!なんてったって未来の剣姫ですもの! この間、0.7秒である。「それでは……行きますわよ!」◇◇ 合図とともにお嬢様が消え……背中から衝撃!?「我流 断罪。」「カハッ……俺の勝ちですお嬢様。」 ギリッギリではあったが剣を杖にして立っている俺の勝ちだろう。死ぬかと思ったがお嬢様の手加減のおかげで生き残った。主君のご令嬢であるアビゲイルお嬢様は本来俺たち騎士団が命を賭して護るべき存在。「ワタクシハタイサンイタシマスワ!!」 そのお嬢様に手加減をされた上でのこの満身創痍という状態。団長として不甲斐ない限りだ。我流断罪とは恐ろしき技であった。それでも俺は生きている。今は事実に感謝するとしよう。「お嬢様。遠征中の無礼な発言、大変申し訳ございませんでした!そしてこの護るべきお嬢様に手加減をされてしまったこの事実を恥、これまで以上に鍛錬を積んでいく所存です!」「団長、お嬢様もういないっす。」「へ?」 逃げるアビゲイル。そして、取り残された騎士団長ガウェイン。 アビゲイルは無事にメイド長から逃げ切ることができるのか。そして、更なる鍛錬を決意したガウェインはアビゲイルの境地に近付けるのか。そして、二人がもう一度戦う日はやってくるのか。 それは……神にもわからない。
Last Updated : 2025-07-12 Read more