夜、香織は自宅の書斎で父親と向き合った。彼女の目には涙が滲み、声が震える。「お父様……お願いがあるの。学校で大切な人を助けたいの」父親は娘の様子に驚き、穏やかに尋ねた。「香織、どうしたんだ? 何かあったなら、ちゃんと話してくれ」香織は深呼吸し、体育館裏での出来事を説明した。強い意志が芽生えた今なら、話すことができる。男達の暴行、唇を奪われ、性器で口腔を犯された屈辱、拓海の救出、そして彼が背負う処罰の危機。父親は話を聞くうちに顔を強張らせ、娘が暴行の詳細を語り終えると、立ち上がって声を荒げた。「お前がそんな目に遭っていたとは……そいつらめ、許せん! よくも私の娘を……!」彼は拳を握り、書斎の机を叩いた。目に怒りと涙が浮かび、しばらく息を荒くしていた。一方で、当の香織は父親より少しだけ冷静だった。彼の息が徐々に落ち着きを取り戻す中、声を詰まらせながら懇願した。「柳井くんは私を守ってくれたのに、停学になるなんて許せない。お父様、理事長に掛け合って、彼を助けてください」父親は大きく息を吐いて感情を整えた後、娘の肩に手を置いて優しく言葉を返した。「……よく、父さんに辛い出来事を話してくれたな。確かにその柳井という生徒がやったことは正しいし、こちらとしては感謝しなければならない。
Last Updated : 2025-07-19 Read more