麻衣の顔に浮かんでいた愛想笑いが消えきらないうちに、償いと言われて、顔がさっと青ざめた。目の前の男にすがりついて、そんな酷いことやめてって必死にお願いした。でも翔太は一切動じなかった。彼は麻衣の手首を掴むとそのまま車に押し込んで、病院へ向けてアクセルを踏み込んだ。病院の入口に着いたとたん、翔太の目的に気づいた麻衣は、何度も頭を振って全力で抵抗した。「翔太、ごめんなさい……お願い、子どもだけは殺さないで……」言い終える前に手足を縛られ、頭上に手術灯がパッと灯る。眩しさに思わず目を細めた。翔太の冷えきった声が落ちてきた。「お前と腹の子、どっちか一つしか残せない」信じられないって顔で、麻衣は涙を流しながら翔太の母親の名前を叫んだ。「翔太、そんなひどいことしたら、絶対に報いを受けるわよ!」そして恨みがましい目で翔太を睨みつけながら、冷笑した。「美月を殺したのは本当は誰か、わかってるんでしょ!」もう後がないと悟った麻衣は、溜め込んでいた思いを吐き出すように言葉を重ねた。涙を浮かべながら、唇には皮肉な笑みを浮かべて。「最初に私に手を出したのは、酔ったあなたよ。そのままずるずる関係が深くなって、子どもまでできた。私はただ、その事実を彼女に伝えただけ。何が悪いの?あなたの世界に私を引き入れて、宝石を買うのが日常みたいに思わせて、友達や家族に紹介してくれた。届かないと思ってたものが、手を伸ばせば届くって……そう信じられるようになったのも、あなたのおかげ!私の野心を煽って、子どもを宿らせて、彼女とやり合える力をくれたのも、あなたでしょ。結局、彼女を殺したのは二人の間で揺れてた、あなたなんだよ!」翔太の目が鋭くなり、怒りを浮かべて麻衣を睨みつける。その視線のあまりの冷たさに、麻衣は自分の言葉を後悔しかけた。でも翔太は、ふっと苦笑いした。「そうだな。俺にも責任がある。だから、償いはする。でもまずお前を片付けないと、美月の怒りは消えない」麻衣を睨みつけ、そのまま背を向けて手術室を出ていきざま、冷たく言い放った。「始めろ」バタンと音を立てて手術室の扉が閉まる。医師たちが麻衣に近づき、首筋にチクリと痛みを感じた瞬間、意識が遠のいていく。冷たい金属が体内を通るような感覚だけが残っていた。腹の中の何か
Read more