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第12話

Auteur: 小林
美月の事故死が報じられると、すぐにトレンド入りした。

彼女と翔太の愛を惜しむ声が広がる中、とあるユーザーが美月の絵を販売していたアカウントを掘り起こし、そこに麻衣が残したコメントのスクショを公開した。

ネットは一瞬でざわつき、写真の男が翔太だと判明すると、愛妻家というイメージはあっという間に崩れ去った。スキャンダルは瞬く間に国内外へ広がり、炎上は止まらなかった。

神谷グループ本社の前にはファンが集まり、抗議の声を上げ、翔太の退任を求めた。

グループの商品はボイコットされ、取引先企業も次々と契約解除を発表。

神谷グループの株価は一晩で急落した。

そして次々と、内情を知る者たちが口を開き始めた。

麻衣の大学の先輩は、彼女の学歴詐称を暴露した。美術大学には一年しか在籍しておらず、卒業証書も受け取っていなかったという。

デザイン業界の大物は、最近麻衣が受賞した作品が、自分の愛弟子である美月の作風に酷似しているとして、盗作だと非難する声明を出した。

不動産業者も証言した。五年前、神谷という名の男が20億以上をかけて別荘を購入し、その名義人が白井という女性だったという。

麻衣は
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    スマホを閉じて立ち上がろうとした瞬間、急にめまいがしてソファに倒れた。その時、あの機械的な声が響く。「宿主様、翔太の生命値が残り1%です。彼のあなたに会いたいという願望が非常に強く、時空が歪む危険があります。時空が歪むと、現実世界に戻れなくなる可能性があります。あなた自身がこの世界から消滅する恐れもあります」その言葉に、花の胸が締めつけられた。気は進まなかった。それでも、彼女は療養院へと足を運んだ。翔太はベッドに横たわり、人工呼吸器でかろうじて命をつないでいた。花の姿を見るなり、死にかけていた目に一瞬だけ光が宿る。「美月……俺、また君の夢を見たんだ」彼は苦しげに手を伸ばした。けれど花は動かなかった。骨と皮ばかりになった翔太を見つめるその目は、冷静そのものだった。伸ばされた痩せた手は宙で止まり、やがて力を失って垂れ下がった。翔太は彼女をじっと見つめたまま、目を赤くしながら問う。「君は……美月なのか?」もう命の終わりが近いことを感じていた翔太は、心の奥にある問いの答えを求めていた。昔、夢の中で見たことは全部、本当だったのか?彼の美月は、本当に別の世界から来た人だったのか?あの火災の後、違う身分でこの世界に生き続けていたのか?胸の奥にある想いを言葉にできず、翔太は焦りながら花を見つめた。やがて彼女はうなずいて、淡々と答えた。「私たちの出会いは、最初から間違いだった」翔太はしばらく呆然とした。やがて、ふっと息をつき、枕に頭を預けて天井を見上げたまま、笑みを浮かべてつぶやいた。「俺、狂ってなかった。全然、狂ってなかったんだ……」昔、プロポーズした時に、美月が真剣な目で言っていた。もし彼が裏切れば、彼女は彼の世界から完全に消えると。当時はその意味がわからなかった。けれど今、ようやく理解できた。でも、もう何も変えられない。目尻から涙がこぼれ落ちる。翔太は最後の力を振り絞って、苦しそうに言葉を絞り出した。「ごめん、美月」隣の心電図モニターが鋭く警告音を鳴らし始めた。慌ただしくスタッフが駆け込んできて、翔太の周りで救命処置が始まる。花はその横で、じっと彼を見つめ続けた。彼の目はまだ、彼女のほうをまっすぐ見ていた。けれどもう動かない。そこにはもう、怒りも、喜びも、悲しみもなかった。

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    翔太は療養院に連れ戻されてから、ひどく体調を崩した。部屋の窓はすべて溶接されて塞がれ、外に出ることはもう許されなかった。毎日、看護師が食事を運んでくるだけで、他の誰とも会えない日々だった。翔太は急に騒がなくなり、言葉も発しなくなった。まるで別人のように、静かになってしまった。そんな彼のもとへ、一度だけ麻衣が車椅子に乗ってやってきた。「どうして来たんだ?」翔太は珍しく、口を開いた。かつては自分を誘惑し、激しく愛し合い、子どもを二人産んで、短い幸せを味わわせてくれた――でも最終的には、自分の人生を完全に壊していった女だった。目の前にいるその女を見つめながら、次々と記憶がよみがえった。でも、すぐにどうでもよくなった。もし、もう一度人生を選び直せるなら、麻衣とは一切関わりたくなかった。たぶん、麻衣だって同じ気持ちだ。彼女が笑うたびに、顔の長い傷跡が一緒に動いて……それが、まるで気味の悪い毛虫のようにうねって見えた。彼女は自分の顔を指差して、こう言った。「覚えてる?あの時、あなたが私の顔に何回刃物を当てたか。医者が言ってた、46針も縫ったのよ。あの時、本気で死にたかった」傷が深すぎて、何度修復手術を受けても、どうにもならなかった。麻衣は翔太の目をじっと見つめた。その目がうつろで、いろんなことを忘れてしまっているらしいと気づくと、彼女は鼻で笑った。かつて、彼女は翔太に近づいて、会社では注目を浴びていた。でも後に不倫がバレて、世間から叩かれ、翔太には無理やり中絶させられて……顔まで傷つけられた。ここに来るまでは、心の底から彼を憎んでいた。でも今の、こんな無様な姿の彼を目の当たりにして、憎しみよりも悲しみのほうが勝ってしまった。「私のお腹に、何回メスが入ったか知ってる?」翔太が答える前に、麻衣は車椅子から身を乗り出して上着をめくり、お腹に残る茶色い長い傷跡を見せた。目を真っ赤にしながら、言った。「全部で、三回。あなたのために二人の子どもを産んだ。全部、帝王切開だった。最後は、あなたが医者に私の子宮を取らせた。ねえ、私はあなたにとって、一体なんだったの?翔太、答えてよ。私はあなたにとって、何だったのよ!」麻衣は車椅子の手すりを強く握りしめ、涙に滲む目で翔太をにらみつけた。最後には、二人とも傷だらけ

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    三ヶ月が過ぎて、花は引っ越した。理由はちょっと恥ずかしい話なんだけど。とある雨の夜、ふたりとも酔っ払っていて、勢いでそういう流れになっちゃった。ここ数日、花は店に引きこもりっぱなし。腰の痛みをこらえながら友達にメッセージを送りまくって、花をタダにするから注文して!と必死に頼み込んでた。家に帰って、あんなことをしたあと、やる気満々の凛太郎と顔を合わせるのを避けていた。そんな状態が何日か続いたある日、凛太郎が血走った目で店に乗り込んできた。近所の人たちが見てる中で、「飽きたのか?」って聞いてきた。なんでずっと逃げてるんだって。花は顔を真っ赤にして、慌てて彼を家まで引きずって帰った。その夜、ベッドが壊れちゃって、ふたりで床に布団を敷いて一晩過ごすことになった。次の日の朝イチで、家具屋にベッドを買いに走った。いろいろ見て回ったけど、在庫のダブルベッドはどれもしっくりこなく、そんな中、凛太郎が「とりあえずうちに来いよ」って言った。オーダーのベッドが届いたら、また町に戻ればいいって。花は最初、絶対ダメ!って主張してたけど、その日のうちに、ふたりでベッド買いに行ったって噂が町中に広まっちゃって、どこ行っても冷やかされる始末になった。あんなふうにジロジロ見られるのに耐えられなくて、結局花は引っ越すことにうなずいた。引っ越しトラックが停まったのは、ものすごく豪華な屋敷の前だった。花は不思議そうな目で凛太郎を見た。「これのどこがちょっとしたマンションなの?」目の前の建物は、博物館みたいにでかくて、神谷家の屋敷の十倍はありそうだった。門の前にはメイドとボディガードが二列に並んで、声を揃えて言った。「奥さん、お帰りなさいませ!」凛太郎は彼女の手を取って、いつものクールな顔でこう言った。「花、俺が君と一生一緒にいられるなんて、約束できない。明日と事故、どっちが先に来るかわからないから。でも、約束する。俺の心臓が動いてる限り、全力で君を愛する」普段は甘いことなんて絶対言わない彼が、付き合ってから初めて、ちゃんと愛を告げてきた。花の胸がじんと熱くなって、目を潤ませながら頷いた。翌日、凛太郎は自分の全財産を花に譲った。分厚い資産リストを見て目が回ったけど、彼はすべてに花の名前を入れてくれていた。しばらくして、凛太郎は教

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  • 月光は霧のように消える   第18話

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