「は……、おれの風魔法の攻撃を弾くとかマジかよ。ラルめ、何が魔法適性能力ゼロだ。レア中のレア種じゃんコイツ。面白ぇ。そりゃゼリゼも囲うわけだ。ハハハッ、おいジリル、こいつ部屋まで持って帰ろうぜ。ゼリゼの代わりにおれが飼う」「何マギル、気に入っちゃったの? 僕はもう少し身長も低くて可愛い子の方が好みなんだけど~」「てめぇの趣味なんて聞いてねーよ!」「はあ~? 僕だってマギルの趣味なんて聞いてないんだけど~?」「お前はしっかり聞いてただろうが!」 急に言い合いを始めた二人を見ていると、いい感じで緊張感が抜けた。 ——何か軽いなコイツら。このまま居なくなっても気が付かなかったりして……。 ゆっくり後退りしながらその場を後にする。 気持ち的には走ってしまいたいが、腹の子に何かあっては困る。やや早足で二人から離れていくと、その途中で足を止めてしまった。まるで蜜をぶちまけたような甘い匂いが香ってきたからだ。 ティータイムと言っていたから、どこかで焼き菓子でも作っているのだろう。「う……、っぇ」 急に吐き気が込み上げてきて、口元を抑えて城壁に寄りかかって座り込む。「何だお前、もしかして孕んでんのか? ゼリゼの子か?」「っ!」 座ったまま吐いていると突然頭上から声がした。 玲喜は気分が悪過ぎて、動く事も喋る事も出来ずにいる。「マギルのビンゴ~! この子の中に魂の揺らぎがあるね~しかもこれ双子じゃないかな~僕らとおんなじだね~。男性妊娠だと多胎になりやすいから~」 ——双子⁉︎ 妊娠しているというのはゼリゼに聞いていたので驚きもなかったが、双子だったのには驚きを隠せない。 しかし吐き気と闘いながら聞いていたのも有り、表情には出なかった。 何度かえずいて何も出なくなったがさすがに動けそうもない。短くて浅い呼吸を繰り返していると急に体が浮いた。「しょうがねぇなー」 マギルに横抱きにされる。「僕は甘いもの自体が嫌い~。早く行こう~?」「おれは食えたら何でもいい」「お……ろせ」「ああ? この匂いが嫌なんだろ?」「アンタの服……ッ、汚しちまう」 虚をつかれたような表情をした後、マギルが笑った。「自分を攫おうとしてる奴の心配かよっ。てめぇの心配しろっつーの。このまま此処にいても気分が悪くなるだけだろうが。抱えてってやるよ」「ゼリゼんと
Last Updated : 2025-07-31 Read more