宗真は警備員に外へ追い出された。それでもなお、澄乃の名を叫び続ける。「澄乃、あいつと結婚するな!やめてくれ!俺たちは愛し合ってたじゃないか!昔は俺が全部間違ってた、だからお願いだ、もう一度チャンスをくれ!行かないでくれ!」その必死の叫びに、周囲の参列客たちはざわめき立った。「まさか宗真さんが探し回っていた妻って、西園寺家の新婦だったのか?これは相当な修羅場だな」「前、宗真さんと澄乃さんって、有名な仲良し夫婦だったのに……今になってプライドも捨てて追いかけるなんて、澄乃さんも揺らぐかも」「でも西園寺家はどう思うかね。離婚してすぐの再婚って聞こえは悪いし、『お古』なんて陰口も出るだろうに……それでも神城家と西園寺、両家の当主を虜にするなんて、澄乃さんは何者なんだ」式場を離れ、手当てに向かう車中で、悠真はずっと落ち着かない様子だった。港南随一の名門、西園寺家の当主らしからぬ、不安げな子犬のような顔をして。「……あいつのところには行かないよな?」澄乃は一瞬きょとんとした後、思わず笑ってしまう。喧嘩のときは一言一句が鋭かった男が、裏ではこんなふうに取り乱すなんて。「どうして私があいつのところへ行くと思うの?」悠真は伏し目がちに呟いた。「だって……長い年月を一緒に過ごしてきただろ。あいつは狂ったみたいに君を探し回って……心が揺れるんじゃないかって、怖くなる」「揺れないよ」悠真の瞳が一気に明るくなる。だが、それでも試すように聞いた。「本当に?」「必要なら、誓ってもいいわ」そう言いながら、澄乃の声にはわずかな寂しさが滲んだ。「でも、その誓いであなたの不安が消えるの?私と宗真の過去は、事実として消えない。それがあなたの胸にずっと棘のように残るなら、そのたびに喉が詰まるような思いをするなら……私はそんな関係を続けたくない。最後には恨み合うだけの夫婦になるかもしれないから。もし時間が必要なら、私は待つわ。あなたが納得するまで」「もう十分に納得してる!」悠真は澄乃の声の中の失望を感じ取り、自分の嫉妬がどれほど彼女を傷つけたか悟った。彼女が自分と結婚するのは、ある意味賭けだ。しかも、一度目の結婚が悲惨な結末を迎えた後でのことだ。それでも自分を選んでくれた。それだけで十分な信頼の証だ。そんな想いを、他人の言
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