All Chapters of 三年ぶり、夫と息子と共に帰還: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話

翼はそのまま彼の義理の母を押しのけた。「美優、やっと目を覚ましたんだね!体の具合は?安心して、あなたをいじめた奴らは全部片づけたから」圭吾は目を赤くしていて、私はたった一晩寝ただけなのに、二人ともまるで何十年ぶりに会ったかのようだ。「私は大丈夫よ、圭吾。心配しないで」それから息子に視線を向け、柔らかく聞いた。「翼、パパに怒られなかった?」息子は一瞬固まり、悔しさから唇を尖らせ、涙をこぼした。「……ないよ。パパは怒ってない」「嘘」私は息子が嘘をつくのが一番嫌いだ。けれど小さな彼はそれでも「怒られてない」と言い張る。圭吾の性格を私が知らないはずがない。息子は絶対に叱られた。私はそっと抱き寄せて慰め、ついでに圭吾を睨んだ。心当たりがあるのか、圭吾は少し気まずそうにその場で固まった。「ママ、もう二度とママを傷つけさせない。今回のことは全部僕のせいだ、ごめんね、ママ」このきれいな子を見ていると、胸がとろけそうになる。「翼を守るのはママの役目よ。ママは怒ってなんかいない」その後、梨花は息子を連れて部屋を出ていき、病室には私と圭吾だけが残った。彼は頑固に私の患者服を脱がせて怪我を確認しようとする。ガーゼを巻かれているのに、何が見えるというのか。圭吾まで息子の真似をして甘えてくる。「もう……見せればいいんだろ?」圭吾は傷口にそっと息を吹きかけ、くすぐったくて仕方がない。「美優、二度とこんなことは起こさせないと約束する」私は苦笑する。今回の件が彼をどれほど不安にさせたか分かるからだ。「分かった、信じるわ。私が一番愛してるのは圭吾よ。命は大事にしてる、だって一生一緒にいるんだから」私の言葉に、圭吾の目に笑みが宿る。本当に、子供みたいに単純だ。家に戻って安静すればいいのに、圭吾と息子はどうしても私を病院に置きたがり、医者を何人も呼んでは何度も検査を繰り返し、私が完全に元気だと確認してからやっと退院を許した。荷物をまとめていると、病室のドアが急に開いた。背を向けていた私は、息子だと思って声をかけた。「翼、ママの櫛を持ってきて」「美優……俺だ」手が止まり、振り返ると、久しぶりに見る涼介の姿。顔はまだひどく腫れている。「何の用?」圭吾のボディーガードの
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第12話

「自分の下半身をちゃんと管理していれば、わけのわからない子どもなんてできなかったでしょう。今になっても自分の過ちに言い訳ばかりして……情けなくない?ゴミみたいに腐りきったあなたに、なんで私が振り向くと思うわけ?」涼介がまだ口を開く前に、駆けつけたボディーガードたちに押さえつけられ、圭吾も顔をしかめる。「涼介……本気で死に急いでるのね」圭吾は険しい目つきで私の無事を確かめると、ボディーガードに命じて彼を引きずり出させた。「圭吾、彼女が本当にお前を愛してると思うのか?お前なんて、俺の代用品にすぎないんだぞ」涼介がそう吐き捨てた瞬間、圭吾は彼を殴り倒し、意識を奪った。私と涼介のことは、圭吾も知らないわけじゃない。結婚して何年も経つのに、彼はまだ不安を抱えている。きっと私が本当に彼を愛していないと思っているのだ。去っていく圭吾の背中を見つめながら、胸が痛んだ。涼介のように、私たちを引き裂こうとする存在なんて、死んでくれて構わない。夜、家に帰ると、壁に掛けられたウエディングフォトにふと目が留まった。そこには愛情に満ちた圭吾と、少し距離を置いた表情の私。あの時はビジネス結婚で、確かに多少の衝動もあった。でも、長い時間を共に過ごすうちに、私はこの人に心を奪われていた。額を外すと、その裏に隠された秘密が現れた。大きな額縁の裏いっぱいに、私の写真が貼られている。私が圭吾のことを知らなかった頃から、彼はもう私のことが好きだったの?中には、私が大学時代にアルバイトでチラシを配っていた時の写真まである。高校卒業の時のものまで。圭吾が帰宅する時、私はソファでその「秘密」を眺めていた。彼は怯えたように近づく。「美優……それは……」まるで悪いことをした子供のように、私を見られない。少しからかってやろうと思った。「そんなに好きなら、なんで早く追いかけてこなかったの?おかげで涼介みたいなクズに会っちゃったじゃない。でも写真、すごくいいわ。気に入った」圭吾は一瞬、呆然とする。信じられないといった表情だ。「美優……怒ってないのか?」「怒る?何を?」「俺は……あなたの生活を覗き見してた変態だ」「何言ってるの。全然変態なんかじゃないわ。私には愛情しか感じない」いつもは冷静な圭吾が、ぽろ
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