出発前、私は校長先生と一晩中語り合った。彼女はとっくに修也が私に特別な感情を抱いていることを見抜いていたが、それでも私にこう断言した。たとえ将来、私と修也が結ばれなくても、私は永遠に彼女の大事な娘だと。大学に入ってから、私は高梨家とは一切連絡を取らなくなったが、私が渡したカードは相変わらず使われているようだった。私は以前の友人から、高梨家に関する情報を多少なりとも得ていた。彼らに災難が降りかかったのだ。美佳は芸大の試験を受ける際、またしても目の病気が再発した。今回は私が参加しなかったため、彼女は適当に上手く描けている答案用紙を見つけて名前をすり替えた。その後、美佳は甘えたり同情を誘ったりして、美術界で多少発言力のある父に関係者に口利きをしてもらい、答案用紙をすり替えたことを隠蔽してもらった。ところが、美佳は運悪く、試験官の生徒の答案用紙とすり替えてしまったのだ。高梨家の養女に芸術家の倫理がないこと、試験で不正行為を行ったことが暴露され、美佳は試験資格を剥奪されただけでなく、父の美術界での評判も地に落ちた。今回の不正事件がきっかけで、以前美佳が自分で描いた絵まで、誰かの代筆ではないかと疑われるようになった。彼女が業界で作り上げてきた病弱な天才美少女というイメージは疑念を抱かれ、美佳の絵を買った多くの人々から返金を要求される始末だった。滑稽なことに、あの養女を心の底から愛していると思っていたお人好しな父は、まるで美佳という名の毒から覚めたかのように、もはや彼女をかばったり大切にしたりしなくなった。もしかしたら、彼が本当に愛していたのは、美佳を育てることで得られる良い評判だけだったのかもしれない。美佳はそのギャップに耐えられず、高梨家から引っ越していった。もちろん、彼女が生きているか死んでいるかなど、私には関係のないことだ。あっという間に3年が過ぎ、私と修也は大学を卒業して帰国した。私は有名な医学教授のもとで学び続け、修也は自分の会社を設立すると同時に、すでに退職した校長先生のギャラリーの経営を手伝っていた。教授のもとで病院実習をする日々は非常に忙しかったが、それでも私は少し時間を作って修也とデートをし、充実した幸せな日々を送っていた。しかし、そんなある日、望まぬ来訪者たちがその得がたい平穏を打ち破った。翔太と母が私と教授のオフィスに押
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