本当のところ、私は誰かを好きになることを恐れたことがない。拓哉との恋では、私は惨敗した。それでも、差し出した真心は同じだけ返される価値があると思っている。寝る前にスマホをめくっていると、拓哉の「結婚予告」を扱う見出しが立て続けに流れてきた。明日、婚姻届を出すつもりらしい。記事には、玲奈が彼の腕に寄り添う姿も写っている。二人は熱いキスを交わしている。ぼんやりしているうちに、誰かがその記事をいくつか私に転送してきた。目を凝らすと、昔追加した拓哉のツレだ。そして、すぐに「すまん、誤送」と送信を取り消した。私の記憶では、この人はそんなに素っ気ない性格じゃなかったはずだ。スマホの向こうは、おそらく拓哉だ。くだらない手だ。相手にする気はない。バスルームから聖司が出てきて、顔を上げた私は思わず目を見張った。珍しく、腰に巻いているのはタオル一枚だけだ。広い肩、絞れた腰、くっきりと浮いた筋肉のラインがやけに目を引いた。私は見惚れてしまう。彼の耳たぶが、少し赤い。「その、実はさ……髪を乾かすことだけが得意ってわけじゃないんだ」どうやってベッドに運ばれたのか、よく覚えていない。私は目を閉じて心の中で唱える――「私たちは夫婦、私たちは夫婦」続く声は、笑みを含んだ聖司の息づかいと深い動きに呑み込まれた。欲望が頂点に達し、寝室には熱気が立ちこめた。枕元のスマホが鳴り続ける。また見知らぬ番号。もう力が残っていない私の代わりに、聖司がスマホをつかみ取り、応答ボタンを押した。拓哉の声はどこか疲れている。「詩帆、お前、たいした度胸だな。今回はお前の勝ちでいい。こうしよう、明日会いに来て。俺は玲奈と別れる。それに……一度結婚した身でも、俺は受け入れてやる」聖司はちらりと私を見て言う。「彼女はもう寝た」「くそ、またお前か!聖司、詩帆に代われ!」聖司は小さく鼻で笑った。「悪いけど、彼女は疲れ切ってるんでね」向こうが二秒ほど黙り込んだ。何かを感じ取ったかのように。すぐに、拓哉が怒鳴り出した。「黒川聖司、お前、人の弱みに付け込んで、何様のつもりだ!詩帆が、お前なんか好きになるわけがない!」さすがにうんざりして、私はスマホを奪い取った。舌打ちして、
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