菅原慎吾(すがわらしんご)は私の腰をつかみ、声はかすれて情欲に満ちている。「ハニー、今の純真でながら妖艶なその姿で、立花律哉(たちばなりつや)を誘惑してこい」揺れていた腰が、突然止まる。私は困惑した顔で彼を見返す。目尻が赤く、まつげは湿っている。私のそんな様子を見て、慎吾の呼吸は荒くなり、さらに激しく求めてくる。ひとしきり熱が迸ったあと、慎吾はようやく止まる。満足そうに私を後ろから抱きしめ、あごを私の肩に乗せる。熱い息が首筋にかかる。「葵、さっきの言葉、ちゃんと聞いてたよね?千紗がご機嫌じゃないなら、あとは君の出番だ」体が固まる。川口千紗(かわぐちちさ)は彼が心の中で大切にしている人で、彼女がどんな要求をしても慎吾は応える。前の夜、慎吾と私がしている最中に、千紗から電話が入った。電話の向こうで、千紗は泣きながら訴えた。律哉に振られたと。千紗は恨みを忘れない令嬢で、律哉にも捨てられる苦味を味わせたいと言い、慎吾に甘えて頼んだ。慎吾が断るはずがない。彼は私を押し倒して容赦なく動きながらも、千紗には優しい声で慰め、甘やかすように約束した。だから、私に律哉を誘惑して振るよう命じ、千紗のために復讐させるつもりなのだ。私はただの囲われ女に過ぎず、拒否する権利はない。家が破産したあと、父は高層ビルから身を投げた。母は向かう途中で交通事故に遭い、植物状態になり、高額な薬で命を繋いでいる。八方ふさがりで、私は慎吾のベッドにすがったのだ。その夜、彼はとても優しく、噂の気まぐれな菅原家の御曹司とは別人のようだった。終わった後、彼は私のあごをつまんで、名前を尋ねた。「森田葵(もりたあおい)です」私は震える声で答えた。初めてのことで震えていた。彼は微笑んで言った。「ここにいていいよ」彼は無制限のブラックカードをくれて、母の医療費は彼が払うと言った。私の涙を拭いて、指先で目の横のほくろを撫でながら言った。「葵、これからは僕がいる」それから私は彼に堕ちた。慎吾は業界でも有名なプレイボーイで、周りの女は服よりも早く入れ替わる。だけど私ができてから、彼はまるで改心したかのように見えた。丸三年、彼のそばには私だけだった。私は違うと思った。「どうして?」私の声には嗚咽が混じる。慎吾
Read more