جميع فصول : الفصل -الفصل 20

晃宇は泣きながら家の中を探し回り、ついにほこりをかぶった暗い収納の中でいくつかの空の薬瓶を見つけた。文字が読めず、彼は急いで寝室へ冬真を探しに行った。「パパ、見て、これってママが飲んでいた薬じゃない？ママ、病気なのかな。僕たち、絶対にママを探して治療させないと！」冬真は急いで薬瓶といくつかの処方箋を手に取った。薬瓶はすべて外国語で書かれており、読み解くのに苦労した。そして、パソコンで調べたところ、これらの薬はすべて不眠症やうつ病の治療薬で、しかも用量は少なくないことがわかった。美雨はこれだけ長く服用していたのに、彼らは全く気づいていなかったのだ。あるいは、気づかなかったのではなく、彼女の顔色や体調が優れないとき、彼は一度も気にかけなかったのだろう。だからこそ、彼女は何も言わず、黙って耐えていたのだ。処方箋には市立病院の立川医師の名が記されている。冬真は立ち上がり、美雨の様子を確かめるため、病院へ向かった。美雨が一体どうなっているのか、医師に確かめるためだった。彼は晃宇を連れて立川医師の診察室に飛び込み、焦った様子で尋ねた。「立川先生、お願いします。美雨は一体どうなっているんですか？家でたくさん薬瓶と診断書を見つけました。私は彼女の夫です、どうか教えてください」冬真の必死な様子を見て、立川医師は老眼鏡を直しながら言った。「今井美雨ですか。覚えていますよ。若い子で、心配事が多く、心理的にかなり問題を抱えていました。多分、家庭が幸せじゃなかったせいでしょうね。私のところでしばらく治療を受けていました。手術後の回復状況も聞こうと思ったんですが、会えなくなってしまって……」冬真は鋭く要点を見抜き、すぐさま尋ねた。「手術って？彼女、何も言っていなかったです。危険はないんですか？」立川医師は、この男が頼りにならない夫だと察し、口調も少し冷たくなった。「まったく、あなたのような夫がいるから、彼女が苦しむんですよ。今井さんは記憶を消すため、修正型電気けいれん療法を受けることにしていました。リスクはほとんどないです。ただ、麻酔を使って、七回の施術が必要です。そしたら、脳内の苦しい記憶をほぼ消すことができます。彼女を苦しめた人や出来事も忘れることができます。彼女にとっては良いことなんです。あなたたちは、できるだけ彼女を刺

冬真は晃宇を連れて、頭の中が真っ白になったまま、街のあちこちを美雨の姿を探してさまよった。一日中探しても手がかりは見つからなかった。二人ともお腹の減りを口にせずにいたが、ついに晃宇のお腹がゴロゴロ鳴り出した。冬真は頭がくらくらするほど疲れ、どこかで二人が食事をとれる場所を探した。ラーメンを食べ始めた途端、晃宇は悲しみで泣き崩れた。「僕、ラーメンは一番嫌いだよ。ママがいたときは、もっと食べるようにいつも甘やかしてくれて、もう一口食べるとテレビを見せてくれたのに。ママはどこにいるの？どうして僕の食事を見守ってくれないの？ママに会いたい。ママに嫌われたくないよ」彼の涙がラーメンにぽたぽた落ちる。冬真は無力感しか感じなかった。「晃宇、泣いても何も解決しない。気をしっかり持たなきゃ。そうすれば、ママを探せるんだ」聞き終えると、晃宇は手で涙をざっと拭き取り、背筋を伸ばして座った。以前美雨に教わった通り、真面目に食事を始めた。「お腹いっぱい食べて、ママを探す。絶対に見つけるんだ」冬真は天を仰ぎため息をついた。本当に見つからなければ、人生のほとんどを探す旅で過ごすことになるだろう。深夜二時を過ぎ、二人はようやく空っぽの家に戻った。ベッドに横たわり、頭の中は美雨の姿でいっぱいだ。晃宇は疲れ切って熟睡していたが、冬真は寝返りを打ちながら、さらに家の中を探し続けた。クローゼットの中で、彼は美雨が残した日記帳を見つけた。日記にはさほど内容は書かれていなかったが、彼は日付だけは鮮明に覚えている。日記に記された日、彼はずっと茜のもとにいた。美雨は一人家に残り、孤独に日記を書いていた。【11月7日、テレビでニュージーランドのオーロラを見て、私も行きたいと思った。この前、一度オーロラを見に行く約束をしたはずだけど、もうチャンスはないのかな】【12月15日、冬真たちは一緒に遊びに行ったけど、私を連れて行ってくれなかった。もう私のことは好きじゃないでしょうね。もし一人でアフリカに行けたら、違う文化や風景を見て、心の痛みも少しは和らぐかも】【12月17日、今日手術を終えて気分は悪くない。多くのことを忘れた気がする。でもアフリカに行くことが覚えている。もう薬は飲みたくない。よく眠りたい】冬真はその日記を読みながら、目に涙が

美雨は、ペットの世話がどれほど大変かをよく知っていた。彼女の家庭菜園にはさまざまな野菜や果物がある。収穫できたものは近所に少しずつ配る。皆も別の野菜を返してくれるので、野菜が食べきれないほどあった。門前にはいくつかの花も植えている。どれもよく咲いていて、見る人の心を和ませた。しかし、あの二匹の野良猫と野良犬はとてもやんちゃで、しばしば菜園や花壇をめちゃくちゃにしてしまう。彼女は毎日怒鳴りながらも、ちゃんと餌を与え、時間を決めてきれいに洗ってやった。それでも、日々の繰り返しの中で新鮮さも絶えず現れるその生活を、彼女はどこかロマンチックだと感じていた。今朝、餌をやっていると、野良猫が見当たらなかった。彼女は急いで外に探しに出て、最終的に医師である柳井一颯（やない いぶき）のところでぐったりしている子猫を見つけた。一颯は子猫を抱え、眉に笑みを浮かべながら、優しい声で言った。「この子は道端で通行人からもらった餌を食べすぎたんだろうね。ちょっと具合が悪い。でも、自分で私のところに来て、診てもらおうとしているんだ。すごいね」美雨はようやく安堵し、つい苦笑した。「迷惑をかけてごめん。見つからないときは、盗まれたんじゃないかって思ったわ」「この子は賢いさ。寝ぼけてる君とは違うよ」美雨は笑って照れを隠した。一颯はこの近くのペットショップの獣医で、温和で誠実な性格だ。美雨の家にはペットが多く、普段から健康診断やチェックのために来ることが多いため、自然と二人は友人のようになった。それだけでなく、ペットたちも一颯を信頼しており、よく食べ物を求めて彼のところに走って行く。そのため、一颯は彼女がごちそうをあげないのではないかと勘違いすることもあったが、彼女は止めることもできなかった。一颯は子猫を彼女の手に置き、美雨はぶつぶつ言った。「ほんとに、よく来るわね。わざわざイケメンの家に来るなんて、恥ずかしいじゃない」それ聞くと、一颯は笑みを浮かべて答えた。「猫まで私のところに来るのに、君はどうして来ないの？猫が来なかったら、君に会えなかったし、日々の楽しみもなかったよ」美雨はその言葉を聞くと、頬がほんのり赤くなり、どこかぎこちない口調で答えた。「えっと、その、家のことがちょっと忙しくて……」一颯はわざと悲しげにため息をついた。「ああ、や

今日は4月7日、美雨の誕生日だ。晃宇は、冬真に一日中部屋に閉じ込められ、食事も摂らず、美雨が残した日記や古い写真をめくることに慣れていた。彼は、冬真が深夜によく泣き、傷ついた獣のように悲しげにうめき声を上げるのを知っていた。しかし、それでも彼は冬真を恨み、自分自身も恨んでいた。美雨を無視したせいで、美雨が傷だらけになり、失望して家を出てしまったのだ。だから今日も彼は学校を抜け出したが、先生たちは手を出そうとはしなかった。彼は花屋で一束の花を買い、自分で色を組み合わせた後、行き先も分からないバスに乗った。多くの場合、彼は毎日諦めずに探し続ければ、いつか道で美雨に会えるかもしれないと思っていた。晃宇は何度もバスを乗り継ぎ、持っていた小銭を使い果たした。彼は名前も知らない古い街区でバスを降りた。そこには何か魔力のようなものがあり、彼を前に進ませた。そのとき、寧々はコンビニから出てきた。彼女は今日は美雨の誕生日だと知っていたので、美雨が料理をしている間にプレゼントを買いに来たのだ。プレゼントを買うお金は、隣のお婆さんにマッサージをしてもらって得た百円だ。そのお金で、美雨に可愛いヘアゴムとおいしいお菓子を買うつもりだ。しかし、予想外に野良犬に出くわした。犬は非常に凶暴で、牙をむき出しにして吠え、彼女の細い手首を噛もうとしているようだ。寧々は恐ろしくなり、家に向かって走った。犬も追いかけてきた。彼女が噛まれるかと思ったその瞬間、彼女より一つ背の高い男の子が飛び出し、長い竹の棒で凶暴な犬を追い払った。晃宇は花を抱えたまま振り返り、まだ恐怖で震える少女を見た。彼女は感謝の表情で、謝辞を並べた。晃宇は大人びた口調で注意した。「一人で出かけるときは気をつけるんだよ。野良犬に噛まれたら、お父さんお母さんがすごく心配するから」寧々は笑って答えた。「分かった、お兄ちゃん、今日はありがとう」寧々は感謝の印として、晃宇に飴を一つ分けた。晃宇は、彼女が再び危険に遭わないよう、家まで送ることを提案した。寧々は彼が良い人だと分かり、笑いながら一緒に家へ向かって歩いた。彼女は歩きながら晃宇に自分の母がどれだけ素敵かを自慢し続け、晃宇は胸が痛くなった。彼は母を失くしてしまったのだ。彼は今日が寧々の母の誕生日でもあると知

美雨は少し頭を抱えていた。というのも、晃宇が一週間のうち何度も彼女のところに来るからだった。彼女はしばしば、授業をサボってはいけいないと言って、家に戻るよう説得したが、晃宇は聞かなかった。彼は言った。学校では、先生は彼を好きじゃないし、クラスメイトもわざと彼を孤立させた。だから、彼はとても悲しく、学校が嫌いなんだ。しかし、美雨のところにいる時、彼はとても素直で、寧々に漫画の読み方を教えた。普段も騒がず静かに過ごしていた。だから美雨は、彼を追い返すのをあきらめた。寧々もどうやら晃宇と遊ぶのが気に入っているようだ。冬真はついに、晃宇の様子がおかしいことに気づいた。彼の気分は良くなり、夜も悪夢を見て「ママ」と叫ぶことはなくなっていた。直感的に、晃宇に何かが起こったのだと分かった。冬真に問い詰められると、晃宇は首をすくめて嘘をついた。「早く寝て早く起きて、ちゃんと食べることで、ママを探す力が出ると思ったんだ」今の生活は、晃宇が長い間待ち望んできたものだ。冬真に壊されたくなかったのだ。冬真は半信半疑で、その夜こっそり晃宇の部屋に行き、寝言を聞いた。彼はようやく分かった。晃宇が幸せなのは、美雨を見つけたからだったのだ。しばらくして、冬真は苦笑しながらそっと晃宇の日記を取り出した。そこには、この日々彼と美雨が過ごした細かい出来事が丁寧に記録されていた。【ママが今日、料理を作ってくれた。一年以上食べられなかったけど、ようやく食べられた。どうして泣いてるのってママに聞かれた。情けない僕は、美味しいからって言った】【ママがまた寧々に新しい服を作ってくれた。僕は羨ましかった。でも自分も欲しいとは言えなかった。ママはまだ僕とパパを許していないから】読み進めるうちに、冬真の目は潤んだ。日記は二週間分書かれていた。晃宇はすでに二週間前に、美雨を見つけたのだ。この瞬間、彼は晃宇を呼んで、一緒に美雨のもとへ行き、今の彼女の姿を見たいと思った。しかし、彼はその衝動を必死に抑えた。美雨を驚かせるわけにはいかなかった。最良の態度で彼女の前に現れる準備をしなければならない。翌日、晃宇が家を出ると、冬真は彼の後ろについて一緒にバスに乗った。何度も乗り換えて小さな町に着いた。なるほど、以前美雨が見つからなかったのは、彼女がこんな偏狭な